リンゴが死にまくっていることが判明! 謎の奇病が蔓延、木が枯れ、黄色くなり… 破滅的天変地異の前触れか!?

2019年4月20日(土)14時0分 tocana

イメージ画像:「Gretty Images」

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 聖書に出てくる果物、リンゴは禁断の果実や知恵の実ともいわれ、日本でも『奇跡のりんご』が大ベストセラーとなったように、オカルト的にも最も重要な果物とされている。アメリカで一番消費されている果物もリンゴだ。全米32州で栽培され、年間4000億円を売り上げる——。そんな「We Love Apples」が今、危機的状況に陥っているのをご存じだろうか。


■アメリカで“謎のリンゴ病”が蔓延


「Science Alert」(3月28日付)によると、果樹園で働く人々が、最初の異変に気づいたのは2013年ごろだという。木の成長が止まり、木肌が黄ばみだし、やけに小ぶりな葉をつけたかと思うと、やがて変色してしまう。1本の枝から徐々に木全体へと広がっていき、最後はなす術もなく枯れてゆくだけ——。


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 これまでの調査でわかったことは、病気になったリンゴ樹の症状が周囲のリンゴ樹に次々と伝染するだけでなく、果樹園内をまるで飛び火するように、随所で同時発生することだ。これには、リンゴ農家も手の打ちようがない。


 この不気味な病は、RAD(Rapid Apple Decline)もしくはSAD(Sudden Apple Decline)と呼ばれているが、アメリカでは1980年代にも流行している。当時も「謎のリンゴ病」であることに変わりなかったが、今回ほどの異常事態までは至らずに済んだという。


 ペンシルベニア州立大学のカーリー・ピーター博士は、大学の実験果樹園でリンゴ樹が突如として死んでいく様子を目撃し、いち早く対応した1人だ。あらゆる薬剤を使い大量死を防ごうとしたが、時すでに遅し——。


 博士らは原因究明に乗り出したが、症状が、これまで発見されたどの植物病原菌にも一致しない。唯一判明したのは、細く、深く、広く張るべき細根がまばらで、養水分吸収能力が不十分ということくらいだった。


 2017年の夏には、コーネル大学の植物病理学者テス・グラスウィッツ博士が次のような調査報告を発表した。


「リンゴの突然死は、ミツバチの蜂群崩壊症候群(Honey Bee Colony Collapse disorder)に近い現象といえるでしょう。つまり、たった1つの直接原因ではなく、複雑に絡み合った危険因子によるものという見方です」


 だが、リンゴ農家が納得する回答にはならなかった。


■困難を極める原因解明と解決策


 現在、「ニューヨーク州立りんご研究開発プログラム(New York State Apple Research and Development Program)」が、コーネル大学とオンタリオ湖フルーツチームの共同研究に資金を提供しているが、研究費としてはまったく足りていない。そのため、大規模なプロジェクトを推進することができず、スポンサー側も科学的データでの実証がない限り、莫大な援助は難しいという。なんとも、はがゆい状況だ。


 RADは今、ペンシルベニア州から中央部、さらに北東部から北西部、ついにはカナダの一部へと拡大中だ。ノースカロライナ州にある果樹園では、約80%が壊滅的打撃を受けたと報告されている。


 ほとんどの植物が、死ぬ原因は寿命ではなく気象害や病虫害といわれる。しかし、RADが一地方特有のウイルスによるものなのか、他の樹木からのストレスなのか、昆虫が病原体を運んでくるのか皆目見当がつかない。そしてこの間にも、1本、また1本とリンゴ樹は倒れていく。リンゴ農家にとっては死活問題。樹木の再生能力を文字通り、根絶やしにしてしまう威力は疫病そのものだ。


 リンゴは、アダムとイブが楽園を追放されたシンボルとされる。「禁断の実」が一斉に朽ち果てるとき、なにが起こるというのだろう。破滅的天変地異など不吉なことの前触れでなければいいが。
(文=佐藤Kay)


※ イメージ画像:「Gretty Images」

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