「2024年に日本が終わる…!」子どもがネットをうのみにしないために、親が知っておくべき「10代と40代の情報源の違い」

2021年8月22日(日)16時30分 マイナビ子育て

ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。

執筆者プロフィール 鈴木朋子さん ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザースマホやSNSなど、身近なITサービス全般に関する記事を執筆。なかでもSNSに関しては、コンシューマーからビジネスまで広く取材を行い、最新トレンドを知るジャーナリストとして定評がある。また、安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『インターネットサバイバル 全3巻』(日本図書センター)など。

AIの登場で、ますます難しくなるネットとの付き合い方

「2024年に日本が終わる」「タレントの○○さんが亡くなった」ーーTikTokやYouTubeにはこんなフェイクニュースや偽情報が流れています。つい手を止めてみてしまうと、次々に同様の動画がおすすめに表示されるようになり、段々と真実であるかのように錯覚してしまいます。真実を知るために検索してみると、検索サイトのトップにはAIが生成した概要が表示されます。たとえばGoogleの場合、AIが情報元としたWebページも表示され、なぜこうした文章が生成されたのかがわかるようになっていますが、概要を読んで終わりにしてしまう人も多いでしょう。手軽な検索手段ではありますが、生成AIの文章をそのまま信じてしまうと誤っている場合もあります。

画像や動画についても、判断が難しくなりました。ネットには、AIで生成した画像や画像編集ソフトで加工した画像が数多く数多く出回っています。実在しない人間が実在しない場所で微笑んでいるだけならいいのですが、実在している人物の姿や声を使って、実際には話していないことをしゃべらせるディープフェイク動画も誕生しています。

いつでも知りたいことを調べられる、情報の宝庫であるインターネットですが、付き合い方がますます難しくなってきています。子どもから大人まで、フェイクニュースや偽情報にだまされないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。

情報の発信者を見て判断する10代

ネットにあふれる偽情報には、すぐに嘘だとわかる情報もあります。たとえば、冒頭の「2024年に日本が終わる」というデマに関しては、うのみにする大人はあまりいないかもしれません。しかし、子どもは信じて怯えてしまいます。とすると、子どもの方が偽情報にだまされやすいのでしょうか。

確かに、大人には常識で簡単に判断できる情報もあります。一方で、政治経済や世界情勢に関する偽情報の場合、子どもはその内容を理解できないため受け流すことが多いですが、大人は知識があるからこそだまされてしまう可能性があります。

国際大学グローバル・コミュニケーション・センターが2023年5月に発表した「Innovation Nippon 偽・誤情報、陰謀論の実態と求められる対策」によると、偽情報や誤情報に触れた媒体が世代によって違いがあることがわかりました。

20代をメインとした30代以下の人はSNSやマスメディアで偽・誤情報に触れることが多く、40代以上はマスメディアやネットニュースで知ることが多くなっています。陰謀論に関する調査でも、同様の傾向があります。

偽・誤情報を最初に見聞きした媒体(年代別)(出所:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)

ただ、こちらは情報の取得に関する違いで、この情報を信じるかどうかはまた別の話です。調査報告書では、「若い人ほど情報をすぐに正しい情報だと信じづらく、まずは『わからない』と捉えやすい傾向にあった。一方で、中高年は情報の分野に限らず情報を信じやすい傾向にあり、とりわけ偽・誤情報と事実のニュースでは、50代と60代で信じている人が多かった」とまとめられています。

年代別に「以前は誤った情報だと思っていたが、今は正しい情報だと思っている理由」を見てみると、10代は「SNSで正しい情報だと言っているのを見たから」(25.7%)と「専門家が正しい情報だと言っていたから」(21.6%)が高く、40代と50代では「マスメディアで正しい情報として報じられていたから」がもっとも高くなっています(40代:32.4%、50代:39.6%)。10代は発信者を信頼して情報を信じる傾向にあり、40代はマスメディアなどの企業の発信を信じていることがわかります。また、60代では、「論理的に考えて正しいと思ったから」が他の年代よりも高い結果(16.6%)になっています。

以前は誤った情報だと思っていたが、今は正しい情報だと思っている理由(年代別)(出所:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)

世代によって、フェイクニュースやデマに触れる媒体が異なり、また信じる理由も異なる傾向があります。我が子がフェイクニュースやデマにだまされないようにするには、まずこの違いを知っておくとよさそうです。

国や代表的なプラットフォームの対応策は?

ネットにフェイクニュースやデマが流れていることについて、プラットフォームや国も手をこまねいているわけではありません。

GoogleはYouTubeに投稿されているフェイクニュースやデマについて、信頼できる情報源を出すような機能を拡充したり、「ほんとかな?があなたを守る」というテーマのキャンペーンを展開し、人気YouTuberがリテラシーを高めるための動画を配信する取り組みを行っています。情報を判断する「3つのポイント」として、以下を挙げています。

<情報を判断する3つのポイント>①フェイクニュースはすぐそばに潜んでいる②発信元の確認、他の情報との比較など事実をチェックしよう③軽い気持ちでの情報拡散はリスクになる

YouTube「ほんとかな?があなたを守る」プレイリスト

TikTokは、AIが生成したコンテンツに対してクリエイターがAIで生成したことを記す「AI-generated」ラベルを設定、もしくは自動的にラベル付けをする機能を2023年9月に発表しました。誤情報についても、機械学習と人的チェックで対策を行っていると述べています。

TikTokはAIで生成された動画にラベル(左下の赤い囲み)を付与する(出所:Bytaedance)

総務省も、フェイクニュースやデマについて、特集ページを作って注意を呼び掛けています。フェイクニュースやデマを拡散してしまうことについても触れられており、全体の約15%が「拡散した経験がある」と回答したと書かれています。拡散とは、ネットでのシェアだけではなく、家族や知人に直接会って話す行為も含まれています。ほとんどの人が後から訂正をしているとのことですが、訂正情報がきちんと全員に届いたかどうか、心配な面もありますね。

まとめ

お子さんを守るために親が知っておきたいことは、若い人はSNSでフェイクニュースやデマに触れることが多いこと、そして信頼できる人の発信を信じやすい傾向にあることです。前述のYouTubeの啓発動画は、その点で効果が高いと思われます。ぜひ親子で見てください。また、SNSで驚くような情報に触れたとき、すぐに信じたり、慌てて拡散したりしないことも話しておきましょう。

大人もだまされてしまうフェイクニュースやデマですが、お子さんと一緒に真実を見抜くリテラシーを身に付けていきたいですね。

(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)

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