学芸大学の街の米屋さん『飯塚精米店』の「おむすび」が心にしみるほど美味しい理由

2020年9月19日(土)10時50分 食楽web


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 お米の収穫が終わり、新米の季節がやってきました。つきたて、炊きたてのご飯は、どんな手の込んだ料理よりも、ダイレクトに美味しさを感じます。

 おにぎり(=おむすび)ラバー(lover)と公言する著者は、知らない場所に訪れたとき、偶然いい感じの“おむすび屋さん”を見つけると、お腹がすいていなくてもつい買ってしまいます。一番食べたいのは、お母さんが握ってくれるような、手作り感溢れるもの。そこで思い出したのが、昔住んでいた町にあった「おむすび屋」。それが、今回訪れた『飯塚精米店』でした。


店頭には常連さんなどが絶え間なく訪れます

 学芸大学駅から徒歩約2分。お米とおむすびの店『飯塚精米店』は、昔と変わらない風情で街角に佇んでいました。店頭に立つと「いらっしゃいませ〜」と笑顔で出迎えてくれて、家族で経営されるアットホームさが伝わってきます。


2世代の親子がそれぞれ作業を分担してお店を切り盛りする。左から2番目が、現在の店主・飯塚隆夫さん(東京米(マイ)スター)

 “お家で握ったような素朴さがありながら、しみじみと感動する美味しさ”。それが『飯塚精米店』のおむすびです。創業は昭和27年。おにぎりを販売し始めてから、約43年。元々は店主である飯塚隆夫さんのお姉さんが学校に持参した昼食の“おにぎり”が「美味しいね」と話題になり、駄菓子やパンなどと一緒に販売を始めたのがきっかけだそうです。

 当時はまだ、おにぎりは買うよりも家で作る時代。それでも評判を呼び、販売を続けてきました。それは『飯塚精米店』のお米への愛とこだわりが詰まっているからでしょう。

「おにぎりは冷めてから食べることが多いから、固くならず、ボロボロと崩れない程よい食感を大切にしています」(隆夫さん)。そのため、主に「おにぎりくん」というおにぎり用のオリジナルブレンド米を使っています。このお米がとにかく美味しい! 一粒一粒、粒が立っていて、お米の素晴らしさを堪能できるのです。そのお米を際立たせるのが、厳選された海苔と具材です。さて、どんな「おむすび」があるのか、みていきましょう。

オススメの「おむすび」はこれ!

 店頭のショーケースには、優しく握られた「おむすび」がたくさん並んでいます。さけ、梅、たらこなどの王道からウインナーや唐揚げ、ツナマヨ、しらすなどもあり、バラエティ豊か。どれも美味しそう…と悩んでいるところに、「赤飯が炊き上がったよ」と店の奥から嬉しい声が! ここのお赤飯は大人気なんです。新潟のもち米「こがねもち」を使い、小豆は岡山産の「だるまささげ」を使用。大きなセイロでゆっくりと蒸された赤飯は、昔ながらの桶でほぐしていきます。

セイロで蒸したほくほくの「お赤飯」が絶品!

 湯気を上げて美味しそうな匂いを漂わせるお赤飯に見とれていると、「炊きたてが一番旨いから、食べてごらん」と先代がサッと丸めてくれました。


「お赤飯」おにぎり150円、パック480円

 お赤飯というと、モチモチッ、ネバネバッとした独特の食感を想像するかと思いますが、ここのお赤飯は粘り気が程よく、一粒ごとの美味しさを噛みしめることができます。お米の食感、豆の食感が際立ち、ごま塩の塩加減も絶妙なのです。

「美味しすぎます!」。熱々なのにペロリと平らげてしまうと、「もうひとつ、食べるかい?」とまた握ってくれました。いくらでも食べれそうなこちらのお赤飯は、今までで食べた中で一番、美味しかったかもしれません。10時半過ぎに訪れると炊きたてが手に入るので是非、味わってみてください。

さけやすじこ、みそ、唐揚げ…バラエティ豊か!

 色々迷えど、「おむすび」選びはその日の気分で変わるもの。そんなわけで、本日選んだイチオシのおむすびはこちら!

店主イチオシの「すじこ」


150円

「おむすび」ならやっぱり、海苔で巻いたものが食べたい! そこで、持ち帰って最初に味わったのが、店主がオススメする「すじこ」です。具に使われている魚介類は、築地から取り寄せているため、素材の鮮度、美味しさはお墨付き。一口目から、すじこと海苔、爽やかな大葉が絡み合います。すじこの塩気がお米をコーティングして美味しい…。お米の粒とすじこのプチッとした食感のコラボがたまりません。

 そして忘れてはいけないのが、海苔の旨さ。「うちは時間が経っても歯切れがいい千葉県産の海苔を使っているんですよ」。おにぎりの奥深さをすっかり、堪能しました。

一番人気はやっぱり「さけ」


130円

 不動の人気といえば、やっぱり「さけ」でしょう。しょっぱすぎず、バランスのいい味わいで、ほっこりとします。ここの「おむすび」は女性でも2個、3個と食べられる大きさがいい。そして、具の量もたくさん入りすぎず、ちょうどいいのです。この絶妙なバランスが、お米も具材も美味しく感じさせてくれました。

素材の旨みを噛みしめる「みそ」


130円

 こちらはみそを両面につけただけ(焼いてません!)の、どこか懐かしいおむすび。これが、著者にはかなり美味しかった! キュウリに味噌をつけて食べる感覚と似ていて、素材そのものが美味しくないと成立しないのです。普段は海苔巻きのおむすびを好みますが、お米が美味しいので海苔なしでもグッと心惹かれてしまいますね。

「自家製つけもの」も侮るなかれ


1パック 100円

 おむすびのお供に欠かせないのが、漬けもの。こちらの「自家製つけもの」は、昔ながらの少し酸っぱめな“浅ぬか漬け”でした。絶妙な漬かり具合で「これを食べるなら塩にぎりでもよかったなー」と思ったほど。そして、箸休めどころか、力んだ心もほぐしてしまう味わいでした。

 何を食べても美味しい『飯塚精米店』のおむすび。その美味しさの秘訣は、家の近くにあったら幸せな気分になれる “人情味溢れる味”にあるのかもしれません。

(撮影・文◎草地麻巳)

●SHOP INFO

飯塚精米店

住:東京都目黒区碑文谷6-1-5
TEL:03-3712-7281
営:7:00〜19:00
http://www.iizukakometen.co.jp/index.shtml

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