あの「マナーバトル漫画」の続きが読める! バズった翌朝には動き出してた編集者に聞く、連載決定の舞台裏

2022年10月5日(水)17時0分 Jタウンネット

皆さんは覚えているだろうか、あのマンガを。

互いに「マナー」をぶつけあい、マナー違反を犯すと電流が流れて敗北を喫する、あの恐ろしいバトルを——。

マンガ家・たむらゲンさんの作品『遙かなるマナーバトル』をJタウンネットで初めて紹介したのは、2022年6月上旬のこと。

5月下旬、たむらさんが『遙かなるマナーバトル』のプロトタイプにあたる第1話をツイッターに投稿し、またたく間に注目を集めていたのだ。

そして8月11日、なんとマンガワンで同作の隔週連載がスタートした!

ツイッターで話題になってから二か月半ほどで連載開始とは、スピード感が凄まじい。どのように連載が決まったのか。編集部が目をつけたポイントはどこだったのか。

記者は9月2日、小学館マンガワンにてたむらゲンさんの担当編集を務める、フリーランス編集者の成田卓哉さんを取材した。

ツイートの翌朝には連載へ

『遙かなるマナーバトル』は、主人公・真那が「世界最強のマナー講師を決める4年に1度の祭典・マナーバトル」で優勝するために戦う、バトルマンガである。

マナー本『完全マナーマニュアル』の著者・光上光子を始め、強者ぞろいのマナー講師たちと死闘をくり広げながら、真那はその頂点を目指していく。

同作の連載が決まった経緯について、成田さんはこう語る。

「5月22日にたむらさんがツイッターで『遥かなるマナーバトル』の1話を投稿していて、翌日の午前10時頃には連載の方向で上司と話が進んでおりました」

想像以上にとんとん拍子だ。「連載にするならなるべく鉄が熱い内に」ということで、8月に連載開始という弾丸スケジュールになったそうだ。

最初は、マンガワンで開催している「投稿トーナメント」という、連載権を獲得するためのイベントに出す予定だった。

「ですが、ツイッターでのリツイート数やいいね数の結果を受けて、上司に連載にできないかとかけ合いました。このスピード感や連載決定のやり方は、WEB連載ならではだったかなと思っております。マンガワン内でも正攻法のやり方ではありませんでしたが......」(成田さん)

ツイッターで大勢の注目を集め、目に見える数字で評価されれば即、連載できるかもしれないというのは夢がある話だ。

もちろん、一般ユーザーの評価に加えて、漫画を読むプロである編集者が光るものを感じなければ、連載には至らなかったはず。成田さんは、『遙かなるマナーバトル』のどこに「それ」を見出したのだろう。

実は、作者のたむらさんは、過去にもマンガワンの投稿トーナメントに何度か作品を応募していたという。

「(たむらさんは)どの作品にも突拍子もない設定や展開をぶち込んでくるのですが、『そういうものなのか...』と納得させられる力を持っています。
今回の『遥かなるマナーバトル』は、たむらさんのそういう納得させ力が、納得させられたら成り立つ「マナー」(※個人の主観です)という題材と悪魔合体して、多くの人の心を掴む作品になったと感じました」(成田さん)

決め手は、「納得させ力」。しかし、本作の題材であるマナーが、「納得させられたら成り立つ」ものというのは、どういう意味だろう。

マナーの目的は「自己保身」?

「コレを言ってしまうのはマナー違反かもしれませんが...、そもそも論として全てのマナーは、最初は架空から始まった、そもそもが架空のものではないでしょうか」(成田さん)

作中では、「名刺にゴシック体を使うのはマナー違反」「大工である私の発言に釘を刺すのはマナー違反」など、現実世界では通用しないような「マナー」も数多く登場する。

しかし成田さんは、現実に広く知られていて多くの人が遵守しているようなマナーも、もともとは誰かが言い出して別の誰かがそれに共感し、同調圧力で広まったに過ぎないのではないかと述べる。

「たとえば『ご祝儀は偶数にしない』『目上の人に「了解しました」を使わない』などのマナーがありますよね。しかし、『了解しました』と部下に言われて怒る上司は何に怒っているんでしょうか?」
「マナーを守ろうと思って行う所作は結局、相手を思うより保身でやっている気もしますし、自分としては気持ちが伝わればどのような所作で行っても良いと思っております」(成田さん)

マナーとされている行為には、明確な必要性はないのではないか、というわけだ。

どんなマナーも、実は「架空のもの」であり、同調圧力で広まったそれに従うことより、自分の気持ちが伝わることのほうが大切——これこそが「本作品の核」だと語る成田さん。

成田さんとたむらさんは、作中で行われるマナーバトルの相手やシチュエーションなどについて議論を重ねながら、共に作品づくりを進めている。

現在は隔週木曜更新で、10月4日現在、「先読み」(先行配信)の第5話「就活マナー 後編」までマンガワンで掲載中(6日に更新)。

真那が知り合った就活生・生田は、圧迫面接がきっかけで面接が怖くなり、会場へ向かうと涙が止まらない状態になってしまう。それに抗議するべく、真那が採用面接に挑むというストーリーだ。第1話はいつでも、2話以降は先行で配信されている「先読み」の作品以外は毎日回復する「ライフ」を使うことで無料読めるので、真那の戦いは気軽に追うことができる。

はたして、マナーを守ることに意味はあるのか。それは誰のためのマナーなのか。マナーを守ることで我々は何を守っているのか......その答えは、真那がマナーバトルを勝ち抜いた先に待っているのかもしれない。

Jタウンネット

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