7歳の少女にスクールバスを運転させたら即衝突?いったい何が起きていたのか?

2024年10月25日(金)17時0分 カラパイア


 アメリカでは小学校に通うのに、日本のように子供たちだけで登下校というスタイルはほとんどない。基本的には親が送迎するか、スクールバスを利用する。


 ミズーリ州のインディペンデンス市にある小学校で、7歳の少女がこの黄色いスクールバスを運転して軽い衝突事故を起こしたというニュースが飛び込んで来た。


 またいたずらで?と思った人も多いと思うが、どうやらこの「事故」の責任は少女にはなかった。いったい何が起きていたのか?


保護者に届いた「スクールバスの事故のお知らせ」


 2024年10月15日の朝、インディペンデンス市のスリー・トレイルズ小学校の保護者たちは、こんなメールを受け取ってビックリ仰天した。


今朝、スクールバスから生徒たちを降ろす際、お子さまのバスがゆっくりと別のバスにぶつかるという、軽微な事故が発生しました。


事態は迅速かつ慎重に処理されました


 授業は通常通り行われたということだが、メールには事故の詳細は記載されていなかったという。



image credit:Pixabay


危機管理の為、運転手が7歳の少女にバスの運転を教えていた?


 だが当初報道されたのは、事故の際にバスを運転していたのは7歳の少女だったという信じられないニュースだった。


 この少女の名前はアラナ・シェフェンちゃん。スクールバスの運転手に言われるまま、バスを運転したのだという。


本当にビックリしました。運転席に座るよう指示されたのが、実は私の子供だったというんです!


 アラナちゃんの母親のアンブローシアさんはこう語る。アラナちゃんが母親に説明したところでは、バスの運転手女性は児童たちに、自分の身に何かが起こった際、どうすればいいのかを「指導」していたのだそうだ。


 窓やドアの開け方くらいならまだよかった。だがこの運転手は、児童たちに「バスの運転の仕方」まで教えようとしたのだという。


 運転手は児童たちに、誰か運転の練習をしないかと呼びかけたが、志願する者がいなかったため、アラナちゃんを指名した。


 運転手はアラナちゃんを運転席に座らせると、運転教習を始めたのだ。


彼女は私に何かを押してみるように言って、私がそれを押すとバスはバックし始めたの。それからアクセルを踏んだら、バスは突然止まっちゃった


 アラナちゃんの姉で10歳のアミヤちゃんは、その時の状況をこう付け加えた。


事故が起きて、バスの後ろをぶつけたとき、彼女は何も言わずに戻ってきて、何事もなかったかのようにバスを駐車したんです



image credit:photoAC


保護者の間に衝撃が広がる


 この事故を知った保護者の間には、当然ながら衝撃が走った。保護者の1人、シーラ・ハリソンさんはこう語っている。


自分の子供がバスに乗っていて、運転を手伝わされたり、他の子供が運転しているバスに乗せられたりするのは、あまり好ましいことではありませんよね


 アンブローシアさんも、この件がさらに大きな事故につながらなかったことに胸を撫で下ろしていた。


自分の娘がこんなことをさせられているなんて、私は知りませんでした。ということは、他の保護者の中にもきっと知らないでいる人がいるはずです。
それが目下、私の最大の関心ごとです。だって、何か大事故を引き起こす可能性だってあったんですから



image credit:photoAC


調査の結果、「事故」ではなく「実習」バスにエンジンはなかった


 だが17日になって、インディペンデンスの学区は、次のような声明を出した。


明確に言うと、この事故はバスが生徒を乗せたまま2mほどゆっくり動いて、停車中のバスに衝突したものです。
映像を確認した結果、バスの運転手は安全手順のデモンストレーションの一環として、子供を運転席に座らせたのであって、バスを運転させるためではなかったことがわかりました。
エンジンはついておらず、子供はバスを「運転した」とみなされるような操作はしていませんでした


これを「衝突」と表現するのは、実際に起こったこととは大きく異なる表現です。
バスは時速約1km程度でゆっくりと後ろに下がり、駐車中の車両にぶつかりましたが、ケガ人や損傷は発生しませんでした。
軽微な事故であったため、警察には通報されませんでした。


運転手が行った安全デモンストレーションは、善意にもとづくものではありましたが、このような事故が二度と起きないよう見直しが行われる予定です


過大な報道が誤解を生んだ?


 また、今回の件はメディアが過大に報道したもので、保護者や地域社会に不要な恐怖と誤解を与える原因となったと、メディアへの不快感もあらわにしている。


インディペンデンス学区は児童の安全に引き続き尽力しており、このような事態が二度と起こらないよう対策を講じています。
事実が公平に伝えられること、些細な出来事が誇張されて家族に不要な不安を与えないようにすることが重要なのです


 アラナちゃんが実際に運転席で何をしたか、しなかったのかについては、学区の説明ではよくわからないが、本人は最後に次のように言っていたそうだ。


私がこの「訓練」で学んだ最大の教訓は、二度とスクールバスを運転しようなんて考えないってことです


 車が後ろに動いたというのは、傾斜があってサイドブレーキが解除されていたのならありうる。だがアラナちゃんが運転させられたというのは作り話だったのか?


 そのとき運転手はいったい何をしていたのか? 運転手の処遇はどうなるのか? 責任の所在はどこにある?


 まあここ最近、「子供が車を運転[https://karapaia.com/archives/456473.html]してビックリ[https://karapaia.com/archives/457445.html]」なニュースが続いたのでまたかと心配してしまったが、イタズラや事故じゃなかったようで、今回は一安心だったと思っていいのかな。


References: Independence School District responds to school bus incident[https://fox4kc.com/news/parents-concerned-after-7-year-old-crashes-two-independence-school-buses/]

カラパイア

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