老化に伴うオーラルフレイルに要注意!

2022年11月30日(水)11時0分 ココカラネクスト

摂食嚥下が良好だと食事も楽しい

立派な「のどぼとけ」飲み込むと動きますね

 以前参加した健康日本21推進全国連絡協議会 第2回分科会のテーマは「フレイル予防」でした。

先ずフレイルとはどのようなことなのか?おさらいしてみましょう。フレイルとは、老化に伴う種々の機能低下が基になって、種々の健康障害に対する脆弱性が増加してくる状態です。具体的にいうと、体重が知らず知らずに減ってきて、原因も思い付かない疲労を感じる。運動をほとんどしないで、歩く速さが極端に遅くなる。握力も低下する。といったことが当てはまるとフレイル又はフレイル予備軍に該当するのです。

このような身体的フレイルの他に精神的フレイルや社会的フレイルもあることはお知らせしました。

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身体的フレイルに関係した「オーラルフレイル」(口の衰え)についても講演されていました。最近摂食嚥下(食べ物飲み物を口に運んで飲み込むまでの動作)の障害により、誤嚥性肺炎に罹らないための予防について、よく見たり聞いたりしませんか?

東大高齢社会総合機構などが、千葉県柏市在住の要介護となっていない65歳以上の約2,000人を対象に、自分の歯の本数,噛む力が弱い,むせ易いなど6項目を追跡調査しました。すると調査開始から4年後では、6項目中0のグループに比べて、3項目以上該当するグループの方が死亡率が2.09倍、要介護となった割合も2.35倍と多かったそうです。

オーラルフレイルの進み方によっては、スムーズに飲み込む方法として、飲み物に「とろみ」を付けることが効果的です。お好みのとろみを付けてくれる自販機もお目見えしています。それだけ摂食嚥下で苦労されている方が多いのでしょう。私の知る介護施設でも、お世話する高齢者によってとろみの強弱を調整して、トラブルを回避するように配慮しています。

「噛む砕くこと」と「飲む込むこと」は違いますよね。この両方が良好でないと摂食嚥下がうまく行くとはいえません。口の機能が衰えて来ると、口腔のことだけでなく全身にフレイルが及んでしまいます。いくら筋肉を維持増加させるためにタンパク質(例えば肉料理)を食べようとしても、しっかり噛んで飲み込んで消化されなければ何にもなりません。口の働きが弱くなると、食べるものも制限されてしまいますよね。

摂食嚥下の段階の内、咽頭期(ゴックンと飲み込むステージ)には独特の検査方法があります。「反復唾液嚥下テスト」(Repetitive Saliva Swallowing Test)という方法です。30秒間に何回つばを飲み込まるか?を計るのです。この回数が飲み込む機能の評価となります。3回以上飲み込めれば誤嚥のリスクが低いと判定されます。臨床の現場では、お医者さんが被験者の咽頭突起(喉仏)と舌骨といわれる部位に人差し指と中指を軽く当てて、その上下の動きを飲み込めた回数とするのです。しかしその上がり下がりが判定し難い人もいらっしゃるとか。男性よりも女性の方が判定し難いように推察するのは、私だけではないように思います。(唾液がなかなか出ないためにRSSTができないようならば、それはそれでドライマウス(口の中が渇く)の疑いがあるかも?)

健康イベントなどで「**年齢を測定中」という案内をよく見掛けます。「**」には「肌」「骨」「脳」「血管」などなど色々あります。それぞれ専用の計測器を使って測定しています。測定結果に一喜一憂している中高年の方も多いことでしょう。

そこで嚥下機能の評価を「ゴックン年齢」とでも称して、嚥下機能を計ってみるのは如何でしょうか?

オーラルフレイルを身近なことと認識してもらって、簡易的なオーラルフレイルの早期発見と予防に努めてもらう切っ掛けになると思います。

参考;健康日本21推進全国連絡協議会第2回分科会「なぜ老いる? ならば上手に老いるには」東京大学総合老年学 飯島勝矢教授 講演

[文:健康わくわくサイト]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

株式会社SOily 代表取締役 岡本 頼幸

幼少時代から生命の不思議に取り付かれてきました。
生体の分化発生の不思議を研究 〜 免疫検査を通しての患者様への想い 〜 医療・健康機器のユーザー様から頂いた奉仕の心・・・。
これらのことから医療・健康の大切さを、長年にわたって実感して参りました。
今、予防医療というポピュレーションストラテジーが重要になっています。
更に「競技スポーツ」に「健康スポーツ」という親しみ易い概念も取り入れようとしています。
みなさまが人生の目的を達成するために大切な、「健康」についてのトレヴィアをお届けしたいと思っています。
みなさまの目となり耳となりそして足となって得た豆知識を、私の経験を交えてできるだけ分かり易くお伝えできれば幸いです。

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