就活生に親がしてあげられること 覚悟がないなら黙って見守るべき

12月2日(月)7時0分 キャリコネニュース

親ができることとは?

誰にでも入社を喜ばれる一部のブランド企業を除き、多くの会社の採用担当者は、就活生の親をある意味「敵視」しています。というのも、親世代に知名度の低い新興企業や中小企業では、内定を辞退される理由の結構な割合を「親の反対」が占めるからです。

学生自身も迷っていたのかもしれませんが、「自分は御社に入りたいのだが、どうしても親を説得できなかった」と言うものですから、恨み節のひとつも吐きたくなります。しかも反対の理由に「安定性」や「将来性」が多く、嘆きもひとしおです。「なぜそんなことがあなたに分かるのか?」と。(人材研究所代表・曽和利光)

子どもの「頑張れない理由」を作ってはいけない

いくら学生とリレーションが取れていたとしても親子の関係に割って入るのは難しく、採用担当者ができるのは「いかに親を攻略してYESを勝ち取るか」という対策を練ることだけです。そこで行うのが「オヤカク」すなわち「親の意思を確認すること」です。

我が子といえども成人なのだから、意思決定に一切関わらないというのであれば別ですが、親として意見やアドバイスをきちんと伝えたいなら、ぜひとも「オヤカク」の相談に乗ってあげてください。

特に賛成しかねる場合、有無を言わさずではなく「何がダメなのか」「不安な点は何なのか」を明確にしてあげて欲しいのです。

もしも明確な反対理由を述べられないなら、その判断は親御さんの無知や偏見に由来するのかもしれません。それでも「嫌なものは嫌」というのは心理ですが、根拠もないのに子どもの意思を否定しては将来に禍根を残します。

どんな会社に入っても苦労はあるもの。そんなとき、親の反対で入社を諦めた会社があったとしたら、「あそこに入っていたらどうなっていただろう」「親のゴリ押しにもっと対抗したらよかった」と詮方ない後悔を、いまの会社で輝けない言い訳にするでしょう。

「頑張れないのは親のせい(自分のせいではない)」と、子どもに他責な理由を作らせてはいけません。人は弱いものです。いい言い訳があればすぐそこに逃げ込みます。

親自身がその会社の情報を集めてみる

ですから、反対をするのはよいとしても、子どもが納得するような進め方をするべきでしょう。具体的には、不足している情報で断定するのでなく、子どもと同じレベルで親自身も情報収集を行うのがよいと思います。

まずは、子どもが持っている情報をもらいましょう。会社パンフや採用サイトに目を通したり、会社の人からの話を聞き出したりすることが最初のステップです。そうすれば、自然と疑問が生まれるはずです。

そこで出た疑問を、子どもを通して採用担当に聞いてもらえば、さらに情報は集まります。その過程で、親が心配することやそれに関する事実を子どもも知ることになり、もしかすると意見がすり合うかもしれません。

それでも親子の意見がすり合わない場合は、どうすればよいか。そこまでやるかと思われるかもしれませんが、私のお勧めは「親が会社の人に直接会ってみること」です。

立派な成人の意思決定に、そこまで介入するなんて恥かもしれません。私にもそう思う気持ちはあります。しかし、直接会いに行くなどの積極的な情報収集をせずに、入社を絶対に許さない親よりだいぶマシです。

そういうこともしないで頑なに反対し続けるとすれば、子どもにすれば理不尽もいいところです。「想像で決めつけないで欲しい」と思うことでしょう。

「全力で何もしない」のも親の務め

逆に、採用担当者側からの視点を勝手ながら代弁します。入社して欲しい学生の親が大反対しているとき、採用担当者の多くは、もしも会えるのであればぜひ会って直接説明したい、説得したいというのが本音ではないでしょうか。

親に会うのが嫌だという採用担当者は、その学生を本気で欲しくはないのだと思います。本気でその学生のことを評価していて入社して欲しいのであれば、親からの申し出に喜んで応じるはずです(そういう親をどう思うかは別として)。

親の方から「会いたい」と言ってみるのは、その会社の我が子への本気度を測る意味でもあるのです。

さて、ここまで読んで「成人の子どもにそこまではやり過ぎだろう」と思った親御さんには、「そこまでの覚悟がないのなら、我が子が勇気を持って人生の重要な意思決定をしようとするとき、中途半端な干渉はせず黙って見守ってはどうか」とお伝えしたい。

ただ、黙ることも大変な労力です。目の前で我が子が頑張っているのに、手を伸ばさずに見守るのはなかなか難しいことです。しかし、結局はそれが子どもの自立を促します。

「自分で決めた」という思いが、社会人になってからの心の支えになるのです。心理療法の大家、故河合隼雄先生は「全力で何もしない」と表現されました。介入するなら全力で、見守るならまた全力で。いずれも厳しい選択ですが、親が就活の子どもにできるのはそれだけではないでしょうか。

【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。近著に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/


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