家族が増えました! 古民家に猫を迎えて、ヤギと犬と猫のいる暮らしがスタート

2022年12月4日(日)7時0分 ソトコト

ボロボロ古民家の欠点


築100年を超えるわが家は、隙間だらけである。風が入る小さな隙間もあれば、小動物が行き来できる大きい隙間もある。そんな隙間を行き来して、主の許可なくわが家に暮らしているのが、ネズミたちだ。




古民家 土間


電気を点けた明るい部屋で仕事をしていても、平気でチューチュー会話をし、平気で部屋を横切る。夜寝ていると、走り回ってガサゴソ動いている音がして、部屋や台所に糞尿をまき散らす。ダンボール箱に入れていた果物もかじられ、石けんもかじられ、蜜ろうキャンドルもかじられ、歯磨きチューブもかじられ、食べ物が入っているプラスチックの入れ物までかじられる。
ネズミに足の指をかじられたという友だちがいるので、私はネズミやいろんな虫、小動物の恐怖から解放されて安眠できるよう、蚊帳のなかで寝ている。それでも、ネズミの存在はかなりのストレスだ。
忌避剤を試してみたが全く効果はなく、お金の無駄使いに終わった。ネズミ捕りも試したが、捕まったあとの処理に相当な苦痛を伴うためすぐに止めた。周りに相談すると、「猫が一番」とみんなが口をそろえる。


チビちゃんと呼ばれていた猫


温かな春の日、行きつけのカフェへと出かけた。車から降りてカフェへと続く細い坂道を歩いていると、猫が現れてゴロンと道の真ん中に寝ころんだ。
私は、猫が苦手だ。つかみどころのないぐにゃぐにゃ感。子どものころにひっかかれたこともあるし、ひっかく気がなくても爪が当たって痛いことが多々ある。そして、犬に比べて何を考えているのか分かりにくい。
ところが「チビちゃん」と呼ばれていたこの猫は、素直に可愛いと思えた。最近カフェに居着いた野良猫だという。カフェに行くといつも現れ、可愛いさをアピールしてくる。






「この子となら、うまくやっていけるかもしれない」
そう思った私は、カフェのオーナーに相談してみた。カフェでは既に猫を飼っていたので、私がチビちゃんを引き取ることを快諾してくれた。
エサでチビちゃんを車へと誘いこみ、わが家へ向かう。そこで待ち受けていたのは、犬のあわだ。勢いよく吠えるあわに、チビちゃんもびびっている。抱っこして家のなかへとチビちゃんを連れ込み、自由に外へ出られるように窓を開けておいた。




家の前で番犬を務めるあわ


新しい家族、猫の「ワラワラ」


当時、TAYUTA pilgrim (タユタピルグリム)の「ワラワラ」という曲をよく聴いていた。ペルーとボリビアの公用語の一つ、アイマラ語で「星」を意味する言葉だ。稲わらの「ワラ」、笑うの「ワラ」でもあるし、いい言葉だと思ったのでチビちゃんからワラワラに改名。
ところが、わが家へ連れて来られたワラワラは、その日のうちに家出をしてしまった。猫を飼うとき、最初は一つの部屋に入れてそこがわが家だと覚えさせるものだと、あとで友だちに教えられた。
庭や近所、元いたカフェに何度も探しに行ったが、見当たらないまま月日が流れる。山に入って迷っているのか、人懐っこいから誰かに拾われたのか、地域猫にいじめられて逃げているのか……。
5カ月ほど経ったある日、あわの散歩のときに同じ場所で同じ猫に出会うようになった。あわが勢いよく追いかけようとしてすぐに逃げてしまうのだが、私が一人で出かけるときに現れたその猫は、ワラワラ!?
「ワラワラ? おいで」
と声をかけると、寄って来るではないか。すぐにエサを与えて、様子を眺める。白い手足、短くて曲がった尻尾、間違いなくワラワラだ!


野良猫ワラワラの餌付け大作戦


ワラワラと再会したわが家の庭で、毎日エサをあげて餌付けをスタート。ご飯を食べるとどこかへ行ってしまうが、毎朝この場所で会えるようになった。エサを家のなかで与えてみると、食べには来るがすぐに立ち去ってしまう。




エサを食べる猫のワラワラ


いつも出会う場所にダンボールの簡易ベッドを置いてみたら、そこで眠るようになった。あわも、散歩のたびにワラワラの様子を確認。遊びたくてたまらない様子だが、ワラワラはやはりあわが怖いようだ。あわを抱きかかえてワラワラに近づけてみる。猫パンチを食らったあわは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた(笑)。
家のなかで過ごす時間が少しずつ増えてきたワラワラだが、夜になるとどこかへと出かけていく。もう一人飼い主がいるのか、夜活を楽しんでいるのか……。
2019年の5月に出会って即日家出され、同年11月20日、ついにワラワラがわが家で一夜を過ごした。あわとはまだ少し距離があるが、ひじきとはあいさつを交わして既にお互いを認識しているようだ。




ヤギとネコ


ネズミ問題と猫


さてさて、猫が苦手なのに猫を飼おうと思ったきっかけのネズミ問題。ワラワラが来てどうなったかというと、これはびっくり! 見事に解決した。ワラワラがネズミを捕まえて部屋に放置したり、トカゲや鳥を外で捕まえて家のなかに持ち込んだりという迷惑行為もあるが、ネズミが大手を振って家のなかを走り回ることはなくなった。食べ物をかじられることもほぼない。たまに天井裏で走っていることはあるが、大目にみよう。




縁側でお茶する私に付き合う猫のワラワラ


やはり、古民家には猫が似合う。そしてネズミ問題には猫が一番なのだ。


写真・文:鍋田ゆかり

ソトコト

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