コックリさんのメカニズムを科学的に解説! 3つの心理的要素が霊の正体か?

2022年12月13日(火)17時0分 tocana


 100年以上前から存在するウィジャボード(アルファベット、0〜9の数字、「はい」「いいえ」「さようなら」という言葉が書かれた木の板)は、心霊/降霊アイテムとしていまなお強い人気を誇っている。日本でも同様に「コックリさん」は一昔前に子供たちの間で大流行した。


 ウィジャボードは、参加者全員が木製のポインター(プランシェット)の上に手を置き、その場にいる「霊」に対して、プランシェットを動かして答えを綴ってもらうというものだ。コックリさんは10円玉に参加者の指を置き、「鳥居、男、女、0〜9までの数字、五十音表」が書かれた紙の上に乗せて、質問をする。


 この遊びを無害な遊びと考える人もいれば、このボードが「あの世」に旅立った人々と交信できると断言する人もいる。だが、いずれにしろ、その科学的な仕組みについては、期待されるほど単純な説明はなされていない。


 そのメカニズムには複数の要素が絡み合っていると、英シェフィールド・ハラム大学心理学上級講師のミーガン・ケリー氏は指摘する。


 最初の要素は「イデオモーター効果」だ。これは、イデオ(考え)とモーター(筋肉の活動)に由来し、私たちの動作が思考によって駆動されることを示唆している。つまり、人は思考によって動くことができるのだ。表意運動効果とは、人が無意識に行っている運動のことで、潜在意識下の運動と呼ばれるもの。たとえば、ウィジャボードを使うとき、人は無意識のうちにプランシェットを動かして、自分だけが知っていることを書き出すことがあるという。



 また、周りの人も無意識のうちに動かしているので、プランシェットが独立して動いているように見えることもあるそうだ。この効果は、自動筆記やダウジング(Y字型の小枝や金属の棒を使って、水や油などの埋蔵物を見つける疑似科学)など、他のさまざまな超常現象も説明できると、ケリー氏は説明する。


 2つ目の要素に、表意運動効果に関連するもので、私たちの主体性に関係するものがあるという。主体性とは、外部の出来事に影響を与えるような行動をコントロールする主観的な能力のことを意味し、たとえば、テーブルを持ち上げようと思えば、テーブルを持ち上げることができる。


 ウィジャボードを使った実験では、私たちの主体性は操作可能であり、目に見えない第三者がプランシェットを動かしていると思わせることができることが実証されているそうだ。これは、私たちの脳が「結果の予測」という問題に直面しているためと考えられており、たとえば、テーブルを持ち上げたらテーブルが動いた、というように、予測と結果が一致したとき、私たちはその行動に責任があると感じるが、実際の結果が予想と一致しないと感じると、主体性の感覚は低下し、降霊術の文脈では、この動きは外部からのものであると考える傾向にある。


 さらに3つの要素として感情の伝染を考慮する必要があるとのことだ。一緒にウィジャボードを使う相手の恐怖や不安を感じ取り、プランシェットが勝手に動いていると思い込んでしまうことがあるというのだ。


 イデオモーター効果、操作された主体性、感情の伝染といった要素が組み合わさって、プランシェットが動いていて、霊が語りかけているのだと人々は信じ込んでしまうとケリー氏は言う。


 ただし、異常は仮説に過ぎず、ウィジャボードやコックリさんの超常現象的な側面を完全に否定するものではない。その超常現象的な側面の解明にはさらなる研究が必要だろう。


参考:「The Conversation」ほか

tocana

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