「物を投げる」「人を叩く」攻撃行動をする子どもたち…反射的に止めに入る前にやるべき“3つのこと”<愛着問題の視点から>

2021年12月18日(土)6時17分 マイナビ子育て

言う事を聞かずに文句を言ったり、物を投げたり壊したり……子どもの気になる行動を目の当たりにすると、大人はつい「やめさせなくては」と言う思いにかられますよね。しかし、子どもの行動にはすべて理由があるのだそうです。

和歌山大学教育学部教授 米澤好史先生は、こどもの愛着障害の第一人者であり、保育園・幼稚園、小中高校など幅広い現場に触れながら、親や教育者・支援者へ“愛着の問題”解消のアドバイスを行なっています。

前回に続き、今回は子どもの気になる行動が起こった時、実際にどんな対応をしていけばいいのか、具体的なメソッドについて米澤先生の解説を、著書『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』(フォレスト出版)よりお届けします。

3つの工程で解決策が見えてくる

毎日の生活のなかでこどもの気になる行動が起こったとき、実際にはどんな対応をしていけばいいのでしょうか。

「どうしたらいいんだろう」とつまずいたときにすぐできる、具体的なメソッドについてお話ししていきます。

このメソッドは、いわば日々の“心がけ”のようなもので、つぎの①から③の3つの工程を繰り返し実践していけば、こどもの気になる行動は確実に減っていきます。

どんなにつまずきが大きいケースの場合でも、必ず方向性が見えてきますから、焦らず肩の力を抜いて取り組んでください。 行きつ戻りつを繰り返すうちに、こどものことも自分自身のことも、よく見えてくるようになります。あなたの感受性が生き生きと働き出すのです。

では、その実践メソッドをご紹介していきましょう。

気になる行動が出ているなと思ったら

STEP① こどもの気になる行動の原因を探ってみるSTEP② 自分のかかわり方が、こどもの行動にどう関係しているか確認するSTEP③ かかわり方をひとつ変えてみる

こどもに困った行動があらわれた際は、ぜひこの3つの工程を行ってみてください。

③でひとつ試してみて、どんな変化が起きるかを観察してみましょう。もし何か問題が出てきたら、また②の工程に戻ります。

この①から③を、行きつ戻りつ繰り返していけば、「もう何をしてもダメなんじゃないか……」と諦めかけていた困りごとにも、必ず解決策が見えてきます。 ではここで、お悩みの多い困った行動をいくつか例にとって、実践メソッドの進め方をご説明してみましょう。 ただ、ここでご紹介するのはあくまでも例であって、現実にはひとつとして同じケースはありません。 ですから、実際のシチュエーションでは、あなたとお子さんにとってやりやすい進め方で、実践してください。

攻撃行動をしてしまう

STEP① まず「なぜ、攻撃行動をしてしまうのか」その原因を探ってみる

※画像はイメージです

こどもの行動には、どんな行動にでも、必ず原因があります。

攻撃性というのは、自分の思いと違うことを強いられたり、こころに嫌な気持ちがたくさんわき起こっていたりすると、強くあらわれる傾向があります。 また、人とのかかわり方がわからず、自分の思いをうまく伝えられないために手が出てしまう、という場合もあるでしょう。

とくに攻撃性が強く出ているときは、今この瞬間だけではなく「以前に何か嫌な経験をしていないかな?」と振り返ってみましょう。 そうやって原因を探ると、「そういえば、この前のあのこと、放置していたかもしれない」と思い当たる節が見つかるかもしれません。

STEP② 自分のかかわり方が、こどもの「攻撃行動」に関係しているかを確認する

※画像はイメージです

こどもの攻撃行動を目の当たりにすると、たいていの場合、反射的に止めに入ってしまいます。けれども、こどもにとっては、それがいちばん嫌なことですし、混乱します。

ですから、もし、あなたが「やめなさい」と止めに入っている場合、そのかかわり方は、攻撃行動を増幅していることになります。 まず、この事実を知っておくのが先決です。

そして、自分のかかわりを振り返ってみます。

STEP③ 止めずに、他のことに誘って気をそらしてみる(=かかわり方をひとつ変えてみる)

※画像はイメージです

止めに入るのではなく、こどもが「いい気持ち」になるほうへと誘ってみます。 殴ったり暴れたりしたことをとがめるのではなく、気分を違う方向へとそらすのです。 腫れ物にさわらないようにするということではありません。いったん横に置いておいて、親も一緒に違う方向を向くのです。 たとえば、体を動かすと気持ちが変わったりしますから、ちょっと背中をさわってあげて、興奮状態をおさめて別のことをしてもいいかもしれません。

とりあえず場所を変えてみるのもいいでしょう。無理に移動に促すのではなく、好きなことにそらしたりしてみましょう。どうしても難しいときは、前からではなくこどもの後ろから抱きしめて、どこかへ連れていってもかまいません。

違う方向を見ることで、結果的に攻撃性を出す必要がなくなることがよくあります。

時間が経てば、どうして嫌な気持ちになったかの理由も振り返れます。 ことが起きたその瞬間に、その場で全部なんとかしようと思う必要はありません。

タイミングを逃してしまったら、あとでもう一度やってみればいいのです。

できることを少しずつやっていきます。

この3工程は、「心がけ」ですから、何度行っても、いつ行っても問題ないのです。

→『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』のほかの記事はこちら

この記事は、米澤好史著『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』(フォレスト出版)より一部抜粋・再編集したものです。

書籍『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』

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