就活のグループディスカッションで差をつける“回す力”の秘訣を解説 第3回 グループディスカッションで高評価を得る「人を回す力」の基本テクニック
2024年12月24日(火)6時7分 マイナビニュース
前回は「回す力」の全体像について解説しました。
第3回となる今回は、グループディスカッション(以下、GD)で最初に必要となる「人を回す力」の具体的なテクニックをお伝えしていきます。
GDの序盤戦を制する
GDが始まって最初の5分間は、極めて重要な時間です。この時間で、あなたがどんな参加者なのか、周りのメンバーや評価者に強い印象を与えることになります。
多くの就活生は、この時間を「自分の意見を主張する場」と考えがちです。しかし、それは大きな誤解です。むしろ、この時間は「メンバー同士の信頼関係を構築する場」なのです。
まずは、うまく「人を回す」、つまり「この人と一緒に議論したい」と周りに思わせる存在になることが、GD成功の第一歩となります。
信頼関係を築く、4つの基本テクニック
先ずは、GDにおいて基本となる振る舞い方を確認しましょう。短い時間だからといって、焦っていきなり前に出過ぎるのではなく、やり取りの中で、少しでも相手に信頼されることを意識しましょう。
また、そんなあなたの様子を、面接官はしっかりと見ているはずです。
○1.相手の話に共感する
●相手の意見に対して、まず「なるほど」「確かに」と受け止める
●本当に共感できたなら、簡潔に具体的な理由を添えて共感を示す
・「その視点は面白いですね。特に〇〇という部分に共感します」
・「私も同じように考えていました。仰るように△△が重要だと思います」
○2.建設的に質問する
●相手の意見に共感し、より深める質問をする
●否定的な「なぜ」は避け、「どのように」「具体的に」という表現を使う
・「いいですね、その〇〇というアイデア、もう少し詳しく聞きたいです」
・「なるほど、ちなみに△△実現に向けて、どんな方法がありそうですか?」
○3.反論された時の対応
●そこでバチバチに戦うのではなく、冷静に反応する(時間もないので)
●単にやり込められるだけでなく、一言添えることが重要
・「なるほど、確かにそういう観点もありますね」
・「ありがとうございます。更にブラッシュアップするヒントを貰えました」
○4.他メンバーの意見が否定されたら、ポジティブ表現で助けてあげる
●課題やリスクを指摘する際も、建設的な表現を心がける
・「それは難しいと思います」
・「それを、より実現可能にするために、どんな工夫があり得るでしょうか」
●前向きな言葉選びを意識する
・「問題点として」
・「改善のポイントとして」
GDで陥りやすい5つの落とし穴
逆に、GDの場面で陥りやすい「落とし穴」も幾つか存在します。
「何とかアピールしなければいけない」という焦りと、「面接官に見られている」という緊張感で、ついついやってしまいがちなことを幾つか紹介します。
○1. 話を遮る/奪う
●相手の発言中に割り込んで自分の意見を述べる
●人の意見に便乗して自分の話にすり替える
→ 相手が話し終わるまで待ち、「〇〇さんの意見に関連して」と切り出す
○2.批判的な態度をとる
●「それは違います」と直接否定する
●表情やしぐさで否定的な反応を示す
→ 「別の視点として」と前置きし、建設的な代替案を示す
○3.感情的になる
●自分の意見が通らないとイライラを表に出す
● 声のトーンが強くなる
→ 常に冷静さを保ち、客観的な議論を心がける
○4.同じメンバーとばかり話す
●話しやすい相手とだけやり取りする
●特定のメンバーの味方につく
→ 全員と均等にアイコンタクトを取り、公平な態度を示す
まとめ:「誠実さ」が最大の武器
「人を回す力」の本質は、テクニックではなく「誠実さ」です。
「相手を理解したい」「より良い結論を導きたい」という気持ちのもと、相手の意見に真摯に耳を傾け、建設的な議論を心がける姿勢こそが、周りからの信頼を生み、結果としてGDでの高評価につながります。
次回は、議論を活性化させる「場を回す力」について、具体的なテクニックをお伝えしていきます。
次回予告
第4回:場の空気を変える! 「場を回す力」の実践法
「場を回す」3つの基本アプローチ
GDでよくある5つの停滞パターンと打開策
議論を活性化させる質問テクニック
楠本和矢 株式会社grament/楠本和矢事務所代表。大阪府立茨木高校、神戸大学を経て、丸紅株式会社に入社。新規事業開発を担当。その後、英国系ブランドコンサルティング会社を経て、国内系コンサルティング企業に参画。同社の執行役員/HR専門組織の代表を兼任。組織管掌に加えて、プロジェクトの最前線にて企画・運営のリード、ファシリテートを継続的に行う。 この著者の記事一覧はこちら