コンロの上のクマー?天井を突き破ってクマが台所に落下(アメリカ)
2025年5月29日(木)17時0分 カラパイア
Kentucky Fish and Wildlife Law Enforcement
「まな板の上の鯉」ならぬ「コンロの上のクマ」とは、もう私を好きに料理してくださいってことなんだろうか?そういうことではなかったようだ。
アメリカ、ケンタッキー州の住宅で、屋根裏に侵入したクマが天井を突き破り、台所に落下するという事案が発生した。
落下した先はなんと台所のコンロの真上。母親は近くにいたが幸い怪我はなかったという。このクマはうまく家の外に誘導され、自然の中に帰っていったという。
落下したクマがキッチンコンロの上に着地
2025年5月21日午前5時ごろ、ケンタッキー州ベル郡にある住宅から、ケンタッキー州魚類野生生物資源局に、「家の中にクマがいる」との通報が入った。
野生動物管理官デリック・クリーチ氏はベル郡保安官代理と共に現地に急行。
そこで見たものとは、キッチンコンロの上に、ちょこんと座るアメリカグマの姿だった。
Kentucky Fish and Wildlife Law Enforcement/Facebook[https://www.facebook.com/KyFWLawEnforcement/posts/pfbid0JJ7oGYojkgkamxVeuTTcHNmPAcZy2cZdacFdmzZHTtD87MJKoXcJaUtF9yT26Yjnl]
このクマは、住宅外に立てかけられていたはしごを登り、屋根の隙間から屋根裏に侵入。その後、屋根裏を歩き回っていたところ、天井の一部が抜け、真下のキッチンコンロの上にジャストミートしちゃったとみられている。
私を調理しておいしく召し上がれ、ことこと煮込んで三昼夜、ってことではなかったようだ。
実はこの時、台所にはこの家の母親がいて、朝の準備をしていた。
娘によればクマは母親の真横をかすめて落ちてきたそうで、あと数十cmずれていたら直撃していた可能性もあったという。
幸いにも母親にけがはなく、クマ自身も衝撃のあまり、コンロの上に座り込んでおとなしくしていたという。
発見から2時間後、クマを追い出すことに成功
デリック・クリーチ氏らは、現場の状況を確認したのち、麻酔銃を使える専門員の出動を要請。野外で彼らの到着を待っていた。
一方家族は台所から離れ、安全な場所に移動した。だが娘の叔父は別の作戦があったようだ。彼は台所のドアの近くで、クマの様子を慎重に見計らっていた。
叔父はドアを開けてクマの誘導を試みたが、ドアを開けるたびにクマはこちらへ向かってくるような動きを見せた。そこで叔父は興奮させれば暴れ出す可能性があるため、無理には動かず、タイミングを慎重に見計らっていた。
クマの落下から2時間が経過し、午前7時近くになったころ、ようやくクマは少しずつ落ち着きを取り戻し始めた。
「今でしょ!」と叔父が静かにドアを開けると、クマはドアをしばらく見つめ、やがてゆっくりと立ち上がって歩き出し、家の外へと姿を消した。
この一部始終を、クリーチ管理官と保安官代理は屋外から見守っていた。
麻酔銃を使う必要もなく、事態が収束したことに、現場の誰もが安堵した。
こうして「コンロの上のクマ」は、誰一人傷つけることなく去っていった。家族の冷静な判断と対応が、無用な衝突を防ぐ結果につながったのだ。
Photo by:iStock
アメリカの住宅地に出没しがちなアメリカグマ
アメリカグマ(Ursus americanus)は、北米に広く分布するクマで、ケンタッキー州にも生息している。
雑食性で、果実や昆虫のほか人間のゴミやペットフードにも引き寄せられるため、住宅地にもしばしば出没する。
グリスリーベア(ハイイログマ)と違い、臆病な性格で、人に危害を加えることは少ないが、一度人間の食べ物を覚えると繰り返し現れるようになり、地域によっては深刻な問題となっている。
そのため米国では、「クマに食べ物を与えない」「ゴミは密閉容器で管理する」といったルールの徹底が広く呼びかけられている。