雪道に必須の凍結防止剤 …でも洗車は入念に!

2019年2月10日(日)7時5分 ウェザーニュース


2019/02/10 07:12 ウェザーニュース

「凍結防止剤(融雪剤)」をご存知ですか? 雪を溶かすために用いられるその正体は、主に「塩化カルシウム」や「塩化ナトリウム」などの塩化物系です。気象状況を考慮して道路管理者が専用の散布車で散布し、路面の凍結に備えます。

降雪地帯では必須アイテム

路面の凍結を防いでくれる「凍結防止剤」

降雪地帯ではよく坂道や道路端に袋詰めされた凍結防止剤が置かれているので、目にした人は多いと思います。ウェザーニュースで凍結防止剤についてアンケート調査を実施したところ、やはり地域性が顕著に出ました。
関東や四国・九州・沖縄エリアでは見たことがない人も20%以上いるのに対し、北海道や東北・北陸・甲信エリアではほとんどの人が凍結防止剤の存在を知っていました。北海道では2人に1人は実際に使ったこともあるようです。

路面の凍結を防いでくれる凍結防止剤

基本的には凍結が予想される場合などに道路管理者が散布するものですが、必要な状況があれば、誰でも散布することができるのです(塩化カルシウムは直接素手で触れないように注意してください)。
交通安全確保のために必要不可欠な凍結防止剤ですが、そこを走る自動車には悪影響もあります。金属類に錆をもたらす可能性があり、雪道を走行した車には洗車が鉄則だというのです。

即効性に優れた塩化カルシウム

白い粒状の塩化カルシウムは略して「塩カル」と呼ばれ、積雪量の多い地域にとっては、冬の必須アイテム。融雪(氷)効果に優れ、即効性があるため、凍結しやすい橋のたもとや急な坂道などに設置されています。またホームセンターなどでも袋入りで売られていて、自宅周辺の融雪に使う人もいます。
塩化カルシウムを取り扱う大手製造販売会社によると、「塩化カルシウムは、ガラスや粉末洗剤の原料となるソーダ灰を製造する際にできる副産物です。カルシウムと塩素の化合物で、水に溶けやすく、多量の溶解熱を発生し、水の凍結温度を下げます。1m2あたり50〜200gが散布の基準ですが、気温や氷雪の厚み、道路状況などによって散布量の加減が必要です」と話しています。

安価な塩化ナトリウム

一方の塩化ナトリウム(原塩)は、安価で持続性に優れ、凍結防止効果が高いため、1m2あたり20gを散布基準とし、高速道路や一般道路に用いられています。国土交通省国土技術製作総合研究所の調査によると、凍結防止剤の全使用量の約70%は塩化ナトリウムです。
凍結防止剤の使用量は年々増加傾向にあり、データは少し古いですが平成15年度の使用量は49.8万トン。購入量は、高速道路管理が42%、直轄国道管理は25%、次いで県管理が30%、市管理は3%程度となっており、高速道路および国道での使用が全体の67%を占めています。

飛散した凍結防止剤の2%が車に付着

同調査では、新潟市の新潟西バイパスにおいて凍結防止剤の飛散状況を調べました。結果は、8週間に散布した凍結防止剤の総量656kgのうち、大半は道路脇の側溝から流出したり道路周辺へ飛散しましたが、2%が車両に付着したというものでした。

雪道を走った後は必ず洗車を

凍結防止剤は、高い融雪効果を発揮し、スリップ事故の防止などに役立ちますが、原材料が“塩”なので自動車の足回りに付着すると錆につながることがあります。オートバックスセブンIR・広報部に詳しく聞きました。
「凍結防止剤が撒かれた雪道を走行した車は、台風による塩害と同様に、アフターケアを怠ると金属を腐食させてしまう恐れがあります。できるだけ速やかに洗車をしてください。
とりわけ車の足回りや下回りを念入りに洗ってください。ガソリンスタンドなどの自動洗浄機を使用する場合は、オプションで下回り洗浄を追加するとよいでしょう。また、塗装のはがれや小さな傷がある箇所は錆びやすいので、そうした箇所も注意して洗ってください」(オートバックスセブンIR・広報部)
この時期、凍結防止剤が撒かれた雪道を走った後は、大切な車を守るためにも、できるだけ洗車を心がけましょう。

参考資料など

国土交通省国土技術製作総合研究所資料 No.412 July 2007 凍結防止剤散布と沿道環境


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