災害対策のプロも実践 使い捨てカイロが長持ちする裏技

2023年2月21日(火)10時0分 ウェザーニュース

2023/02/21 09:31 ウェザーニュース

政府から節電要請が出ているこの冬は、暖房の設定温度を下げて「使い捨てカイロ」で暖を取っている方も多いかもしれません。ただ、使う機会が増えるとその購入費もかさんできます。
できればカイロを少しでも長く使いたい。そのための裏技について、家事代行のプロフェッショナル、株式会社ベアーズ大阪支店の教育教官・岩嵜紀子(いわさき・のりこ)さんにお尋ねしました。

鉄粉がサビる際の化学反応により発熱

「鉄を濡れたまま放置しておくとサビが出るのは日常よく目にします。これは、鉄が空気中の酸素と反応して酸化鉄になる化学反応なのです。このときの化学反応により、熱が発生します。その作用によって出る熱を利用したものがいわゆる『使い捨てカイロ』です」(岩嵜さん)
カイロの内袋に含まれているのは、次の4つの素材です。
(1)鉄粉。これがサビることにより熱が発生します。
(2)水・塩類。鉄粉のサビる速さをはやめます。
(3)活性炭。空気中の酸素を吸着して、酸素の濃度を高めます。活性炭の働きにより、鉄がより速くサビるようになります。
(4)保水材。水で鉄粉がべたべたするのを防ぐために、水を含ませておく素材です。一般に観葉植物の保水土などとして使われる、バーミキュライト(苦土蛭石=くどひるいし)が用いられます。
内袋をこすることでこの4種の素材が混じって化学反応を起こし、発熱します。発熱温度や発熱時間は、内袋の通気量と中身の素材の配合比率によってコントロールされています。カイロのメーカーはそれぞれ発熱の状態をよくするために、鉄粉、活性炭、保水剤の粒の細かさや種類などを工夫しているのです。

「保存袋」に入れておけば保温効果が長持ち?

カイロは数時間使うだけで、あとはゴミ箱に捨ててしまうことがほとんどです。
「確かに、もったいない気がしますよね。実はカイロは密閉できる保存袋に入れて、しっかりと空気を抜いて保存するだけで、発熱の効果時間いっぱいまで長持ちさせられるのです。カイロのなかには20時間以上も保温効果が続くものもあります。ですから使用後、すぐに保存袋に入れておけば、翌日も再び使うことができます。
使い終わって廃棄する場合は、市区町村の分別方法に従いましょう。袋から出すと発熱する事がありますが、温かいまま廃棄をしても発火する事はありませんので、ご安心を」(岩嵜さん)

災害対策のプロも使い捨てカイロを再使用

使い捨てカイロは電気もガスも使わないので、災害などの非常時にも防寒・防災グッズとして重宝します。災害対策のプロ・警視庁警備部防災対策課の職員も、普段使いのかばんの中に非常食や携帯トイレに加え、必ずカイロを入れておくそうです。
昨冬、カイロに関する防災対策課のツイッターが話題を呼びました。使い捨てカイロを愛用する自転車通勤の職員が職場に到着後、密封ポリ袋にカイロをいれると冷めた状態になり、再度取り出した時に発熱したそうです。
「通算の発熱時間は継続して使ったときと同じくらいと感じています。エコにもなると思いますので試してみてください」(警視庁警備部災害対策課ツイッターより)
冬場の災害時、停電した自宅や冷え込む避難所などでも、カイロは大事な存在になってくれます。いざという時に「使い捨て」で終えることなく、効果を長持ちさせる方法を知っておくと良いでしょう。

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