筑波大学内の放置自転車をリサイクル、学生へのレンタル事業が好評…環境改善にも

2025年4月2日(水)6時54分 読売新聞

「放置自転車を再利用する取り組みを広げたい」と語る矢部さん(3月18日、茨城県つくば市で)

 筑波大と地元の自転車店が協力し、学内に放置された自転車を修理し、学生に貸し出す取り組みが好評を集めている。広々としたキャンパス(茨城県つくば市)内の移動などで卒業生らが使い古した自転車が、新入生らに引き継がれる仕組みだ。環境にやさしいこともあり、他大学も注目している。(嶋村英里)

 東京ドーム55個分の約258ヘクタールと広大な敷地を持つ筑波大では、学内の移動に多くの学生が自転車を利用している。だが、卒業に伴い引っ越しをする際、梱包こんぽうが面倒なことや引っ越し先で使わなくなることを理由に、学内の寮周辺などに自転車を放置する学生もいる。

 筑波大によると、学生数は1万6722人(2024年5月1日時点)で、学内で回収された放置自転車数は20〜22年度分で計2049台に及んだ。持ち主が見つからなければ廃棄せざるを得ず、その費用は同3年間で約203万円かかった。筑波大は、持ち主が分かるICタグを自転車に付けるよう学生に呼びかけるなどするが、実情は「学生数が多く、管理しきれない」(担当者)という。

 改善に向けて立ち上がったのが、元筑波大職員の矢部玲奈さん(30)だ。実家が都内で自転車店を営んでおり、大学職員として勤務中、放置自転車を見て「まだ使えるのにもったいない」と感じたという。

 21年末、矢部さんは当時上司だった筑波大事業・リレーション推進室の畑山進プロジェクトマネージャー(65)らに相談。レンタルの自転車だったら大切に使い、放置することはなくなるのでは——。話し合いの末、事業の拠点となる店舗をつくることを決め、22年3月に大学を退職。同年6月、つくば市に自転車店「サイクルシックつくば店」をオープンした。

 筑波大と連携し、同年10月に自転車の回収を、12月にはレンタルを開始。回収する放置自転車の中には学外から持ち込まれた盗難車もあり、一台ずつ県警に照会しなければならない。自転車のさびを取ったり、部品を交換したりする作業も矢部さんが自ら行っている。

 これまで再利用したのは、23年度は回収分の約4割にあたる410台、24年度は回収分の約半数にあたる277台。放置自転車は減っているという。

 一方、レンタル利用者は2年半で延べ約1500人にも上った。留学生にも人気で、「便利。おかげで学生生活を楽しめている」といった声が寄せられている。畑山さんも「放置自転車が減り、学内の環境改善にもつながった。とてもありがたい」と話す。

 「つくば生活の思い出づくりにも貢献できて、やりがいを感じる」と語る矢部さん。近年、同じ放置自転車の問題を抱える早稲田大など県外の大学からも問い合わせが来ており、好事例を広く伝えていきたい考えだ。

 自転車は、学生や一般市民に月額1000円前後で貸し出している。問い合わせは同店(029・886・8682)へ。

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