リフォームのついでに大雨・台風対策も…雨戸撤去しシャッター、居住スペースを2階へ

2025年5月10日(土)11時57分 読売新聞

雨戸を撤去し、新たにシャッターを付けた(埼玉県で)

 地球温暖化の影響で、異常気象の頻度が高まっている。専門家は、大雨や台風対策を、窓や壁など、ほかの住宅のリフォームと併せて計画することを勧める。(長岩真子)

 埼玉県に住む会社員の女性(37)は、築40年の自宅の1階の掃き出し窓を、断熱性能の高い樹脂窓に取り換えた。それを機に、防災対策も強化しようと今年3月、劣化が進んでいた掃き出し窓の雨戸を撤去し、手動式のシャッターを取り付けた。

 女性は「雨戸は戸車が外れるなどしていて、強風や大雨の際には心もとなかった。安心して快適に過ごせるようになりました」と喜ぶ。

 取り付けたシャッターは、建材大手「YKK AP」(東京)の「マドリモ シャッター」シリーズ。今ある窓に、そのまま取り付けることができる。台風や竜巻などから家を守り、空き巣対策にもなる。

 工事を担当した「MADOショップ羽生下岩瀬店」(埼玉)の店長、三浦雄太郎さんは「住宅のリフォーム工事に併せて、防災対策を行うと時間や費用が抑えられます」と話す。

 リフォームで雨戸にシャッターを付ける場合は、戸袋を隠すのか、外に出すのかなど、デザインや使い勝手を専門業者に相談するとよい。立ったりしゃがんだりする動作が負担になる人は、専用のリモコンを使って電動で開閉できるタイプがお薦めという。

 住宅メーカー「サンヨーホームズ」(大阪)では、リフォームの「ついでにできる水害対策工事」を積極的に提案している。同社で商品開発に携わる宮本修二さんは、「一度浸水被害を受けると、住宅の片付けや清掃、罹災りさい証明の取得など、リフォームに着手するまでに、時間がかなりかかってしまう。水害対策を行っておけば、そうした労力を省くことができます」と話す。

 例えば、電気代高騰などを受けて、壁や床の断熱性能を高める改修工事をする人が増えているが、その際は、断熱材を吸水しにくい発泡プラスチック系のものに替える。万一、浸水被害にあっても、再利用しやすいためだ。

 断熱材やクロスを、壁の上部と下部で分割して施工しておけば、浸水した壁の下部分だけを取り換えればすむ。費用も抑えられる。

 間取りを変える大がかりなリフォームの際は、リビングやキッチンなど、メインとなる居住スペースを2階以上に設置して在宅で避難しやすいようにする。

 平屋の場合は、屋根の上への避難経路となる天窓を設けることを提案している。

浸水リスク把握

 リフォーム工事を考える際は、居住地域の浸水リスクを知ることが大切だ。

 災害リスクアドバイザーの松島康生さんは、自治体が公表しているハザードマップの活用を勧める。河川の氾濫による浸水を想定した「洪水ハザードマップ」、大雨による下水道などからの浸水を想定した「内水ハザードマップ」、過去の主な浸水を地図に落とし込んだ「浸水実績図」などがある。「『我が家は大丈夫』と過信せず、被害を想定した事前の対策が重要」と話している。

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