春が旬の鮭「ときしらず」は、味が絶品の高級品!?
2020年5月25日(月)10時45分 ウェザーニュース
2020/05/25 10:45 ウェザーニュース
食卓で最もポピュラーな魚の鮭。生鮭や生いくら、生筋子が豊富に出回るのは秋から冬です。しかし、同じ種類の鮭でも旬はさまざま。船橋地方卸売市場の株式会社 山末の内海貴久さんに伺いました。
一般的な日本の「鮭」は秋
養殖を除き、日本で一番多く獲れる鮭は白鮭です。白鮭は秋が旬で、秋に獲れたものが『秋鮭』と呼ばれます。
「秋の漁獲量がもっとも多いので、鮭の旬は秋、と思われているのです。白鮭は名前に『白』が付いているように、身は他の種類の鮭より薄い色をしていて、味は脂が少なめであっさりしています。スーパーなどでもよく売られている、日本で一番ポピュラーな鮭といえます」(内海さん)
鮭の旬といえば確かに秋のイメージが強いですが、今の時期に旬を迎える鮭もあると言います。
「鮭の種類によっても旬が違います。たとえば白鮭と並んでポピュラーな鮭である銀鮭は、日本ではほぼ獲れず輸入か養殖ですが、輸入物は8〜10月が旬です。また、その名の通りピンク色が濃い身の紅鮭もやはり輸入物で、日本では6〜8月のこれからの時期に旬を迎えます。このように日本産にせよ輸入物にせよ、種類によって旬が異なるのです」(内海さん)
白鮭なのに今が旬の「ときしらず」
日本で獲れる鮭でも今が旬のものがあるといいます。
「それが『ときしらず』と呼ばれる鮭で、『時鮭』『時不知』とも書きますが、これは秋に日本の川へ戻って来るはずの白鮭が、時季を間違えて春から夏にかけて戻ってきて獲られたものを指します。
『ときしらず』は産卵の準備が整っていない今の時期に獲られるため、脂や栄養分が卵巣や精巣に回っておらず身に蓄積されています。そのため身に上品な脂がのって、特においしいとされている上に、漁獲量が少ないため、貴重な高級品として知られています。もし巡り会えたら幸運です」(内海さん)
鮭には記憶力を高めるとされるDHA、血液をサラサラにするEPA、美肌効果があるといわれるアスタキサンチンなどが豊富に含まれているすぐれた栄養食品といわれています。秋だけでなく、この時期に旬を迎える鮭もあります。店頭に並ぶ鮭の種類に注目して、栄養豊富な鮭をおいしくいただきましょう。