マンガ・アニメ・ゲームをデータベース化して世界へ発信…政府の「デジタルアーカイブ戦略」、聖地巡礼促進

2025年5月28日(水)15時0分 読売新聞

 政府が初めて策定する文化的資産のデジタル保存推進に向けた「デジタルアーカイブ戦略」が明らかになった。世界中の若者らに人気を博すマンガやアニメ、ゲームなどのデータベース化を推進し、世界への魅力発信を強化する。地域の芸術・文化財のインターネット公開も進め、地方創生につなげたい考えだ。

 戦略では、2026〜30年度の5年間での体制づくりや取り組みの方針をまとめた。昨年3月に有識者らによる検討会を設け、策定作業を進めてきた。

 具体的には、日本のソフトパワーが世界で高く評価されているマンガ、アニメ、ゲームなどの「メディア芸術」と、観光資源となり得る文化財や美術・芸術品といった「地域資源」の二つを優先分野に指定した。

 メディア芸術分野では、日本のマンガの原画やアニメのセル画を収集・保存する拠点となる「メディア芸術ナショナルセンター」(仮称)を整備し、データベース化に取り組んでいく。

 並行して情報の多言語化も推進する。近年はアニメ・マンガのファンが作品の舞台を巡る「聖地巡礼」が人気となっており、世界中のファンが訪れることで、関係地域の観光振興も図る構えだ。

 地域資源のデジタル保存・発信強化に向けては、全国の図書館や美術館などが所蔵する資料を一括検索できるポータルサイト「ジャパンサーチ」を活用し、地方自治体との連携を強化する。地元で残したい文化財や美術作品などは「地域主体で判断することが望ましい」とし、自治体が中心となってデジタルアーカイブの拡充や利活用を進める。

 デジタル資料を鑑賞した国内外の愛好家が現地を観光で訪れる波及効果が期待されるほか、大規模災害に備え、文化財の記録化を進めて後世に残す狙いもある。

 海外では、欧州連合(EU)が早くから文化資産プラットフォームの整備を進めてきた。日本政府関係者は「欧州並みの体制を10年以内に整えたい」と語る。

 戦略は、6月初旬にも開かれる政府の知的財産戦略本部(本部長・石破首相)に報告される。

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