【1000軒以上を片づけたプロが教える】両親が年老いたら実家の「部屋割り」をまず見直すべき理由

2024年9月29日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン

【1000軒以上を片づけたプロが教える】両親が年老いたら実家の「部屋割り」をまず見直すべき理由

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「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」は、“親が元気なうちに取り組むことが何よりも大切”というのは、最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』を出版した、片づけアドバイザーの石阪京子氏。実家に溢れるモノを整理し、お金を把握することで、親子ともに幸せになれるそのノウハウを、本書から抜粋・編集してお伝えします。

Photo: Adobe Stock

片づけをするなら「部屋割り」から見直す

 実家が一軒家の場合は、1階がリビングダイニング・水回り、2階が個人の部屋(寝室含む)というケースが多いです。そうすると、ご両親はふだん、1階と2階を行き来することになります。日中は1階で生活し、寝るときは2階という具合です。

 せっかく片づけをするなら、部屋割りから見直そうというのが私の提案です。 具体的には、1階で生活を完結できるようにする。それがベストです。

 なぜなら、前にも書いたように加齢とともに足は弱っていくからです。階段を上り下りするのはしんどくなりますし、危険です。だから、安全に暮らせる範囲、すなわち階段を使わないワンフロアで完結させるのがおすすめです。

 部屋割りを見直すにあたって、真っ先に決めるべきなのは、「どこで寝るか」ということ。年をとるにつれて、布団にいる時間が長くなっていきます。ですから、1階で過ごすにしても、リビングの片隅にベッドを置くのか、あるいは隣の和室に置くのか、寝室の部屋割りをまずは決めてしまいましょう。「水回りに近い」「日当たりがいい」「テレビが見やすい」など、重視するポイントは人によって違うので、ご両親とよく話し合ってみてください。

 マンションの場合も同様です。今は自分の寝室で寝ていても、将来的に介護サービスを受ける際は、ヘルパーさんが作業をしやすい部屋を寝室にするのがベターです。

「安全に暮らせる枠」で考える

 一軒家にせよマンションにせよ、両者に共通する考え方としては、「安全に暮らせる枠」の中で考えるということです。 私のお片づけメソッドでは、「枠」という概念を大事にしています。収納や部屋を「枠」と捉えて、モノの量はそこに収まるだけにしぼり(理想は7割)、プライベートスペース(個室=個人の枠)とパブリックスペース(リビングなど=パブリックな枠)をきっちり分けましょうという考え方です。会社のロッカーのように個人の枠が決まっていれば散らからないのに、家だとモノが散在してしまうのは、プライベートとパブリックの「枠」の考え方が抜け落ちているからです。

 ただし、枠に入るならモノがあってもいいというその考え方だと、実家は基本的に広い(=枠が大きい)ので、片づけなくてもいいように思うかもしれません。 しかし、実家片づけが他の片づけと違うところは、家全体ではなく、あくまでも「安全に暮らせるスペース」だけを「枠」と考えるということ。 そう考えると、2階は使えなくなりますし、プライベートとパブリックの枠の境界線も曖昧になっていきます(高齢者は心身の衰えとともに一つの空間で「食べる」「寝る」「くつろぐ」を行えるほうが便利になっていくため)。 つまり、実家片づけにおいては、生活スペースを厳選して、部屋割りを見直し、その中で快適に過ごせる環境にすることが大切なのです。

部屋割りは体の状況に応じて段階を追って変える

 将来的には、必ず部屋割りを変える必要が出てきますが、もちろん、今すぐでなくてもかまいません。まだまだご両親が元気なのに、生活拠点を限定してしまうと、かえって不便になることもあるでしょう。

 ですから、「もしも足が悪くなったら1階の和室を寝室にする」「寝たきりになったらリビングを寝室にして、ヘルパーさんに来てもらう」など、「こうなったらこうする」という見通しを立てておくだけでも十分です。

 そのときは、簡単な間取り図を書いて視覚化するとご両親も理解しやすくなります。そうすると、今後どの家具を処分したほうがよいか、どこを片づけなければいけないか、などの想像もつきやすくなります。

*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。

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