[陸奥讃歩]1000キロ超のトレイル、一歩一歩が旅の目的地

2024年10月30日(水)5時0分 読売新聞

青森県八戸市の蕪島に立つ松野さん

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みちのく潮風トレイルハイカー 松野にこさん 22

 私がみちのく潮風トレイルを歩いたのは、2020年の秋の2か月間。もう4年も前のことになります。18歳だった当時の私がトレイルを歩こうと決めたのは「やることを探していたから」。

 高校を卒業してフラフラしていた、ちょうど1年目のことでした。都会生まれの都会育ちで、自然との関わりが少なすぎるというのも理由の一つだったと思います。

 1000キロ・メートルを超える長いトレイルですが、私は結果的に全て歩くことになっただけで、最終地点の公園にたどり着いたときに、「ゴール」という感覚は特にありませんでした。

 旅の間、道は観光地という点をつなぐ「手段」ではなく、道を歩いているまさにその時、その一歩一歩が目的地だったような気がしています。

 トレイルでは大体1週間おきに予定を立てながら歩いていたのですが、どこで寝るか、どこで食料を調達するか、水はあるか、充電ができるところはあるかなど、考えることがたくさんあります。

 地図とデータブック、そして目の前の道を見て必死に歩いているうちに、今まで通ってきた地形や地名が全部そらで言えるようになり、そのおかげで地元の方々と話が弾むこともあり、うれしかったです。

 旅の間は本当にたくさんの人に出会いました。歩いている間は基本1人なので、すれ違いざまにあいさつをしてもらえただけでもすごくうれしかったです。

 東日本大震災のことも聞きました。私が歩いた20年は、震災から10年を迎える前年だったのですが、「10年目だろうと関係ない。あの日から、ここではずっと続いていることだ」とおっしゃっていた方の言葉がとても印象に残っています。

 コロナ禍があり、再び訪れる機会がないまま4年が過ぎてしまいましたが、やっと色々落ち着いてきました。次の休みに、またみちのくに行こうと考えているところです。これからもずっと、何かしらのかたちでつながっていきたいです。

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