宇宙から燃え尽きずに物を持ち帰る”回収カプセル”、試験用モデルにおいてパラシュート格納サイドパネル展開試験成功

2024年1月9日(火)11時16分 PR TIMES

国内民間企業初の大気圏再突入・回収技術獲得に向け、JAXAによるHTV搭載小型回収カプセルの知見もふまえ、独自開発技術で低コスト化

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/74085/45/74085-45-4d0fde3c1c7237f822121cad4d2b3958-1920x1080.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
宇宙で実証・実験を行ったあと、地球に帰還可能な人工衛星を開発する株式会社ElevationSpace(代表取締役CEO:小林稜平、読み:エレベーションスペース、以下「ElevationSpace」)は、2025年打ち上げ予定の宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」の初号機「あおば」(以下、「あおば」)の回収カプセル部分について、試験用モデルである熱構造モデル(STM:Structural and Thermal Model)を製作し、独自開発の保持開放機構を用いたサイドパネル展開試験に成功したことをお知らせします。本試験で得られたデータをもとに調整を加え、今後行う各種環境試験や、最終的な実機の設計・製造につなげていく予定です。
背景

政府が2023年6月に発表した「宇宙基本計画」の中で、国際宇宙ステーション(以下、「ISS」)が存在するような高度2000km以下の「地球低軌道」は、アクセスや物資補給・回収が比較的容易であることから(※)、宇宙環境利用のための貴重な場と位置づけられており、アルテミス計画をはじめとした月以遠への活動にあたって必要となる技術の獲得・実証の場としても利用することが明言されています。
※ ISSは高度約400kmに位置する一方、月までの距離は384,400km。しかし、これまで基礎科学的な実験から産業利用まで幅広く利用されてきたISSは、構造寿命などの関係から2030年に運用を終了することが決定しており、宇宙環境利用の”場”を継続的に確保することが課題になっています。このような課題を受け、ElevationSpaceは、「ポストISS時代」を見据えた、宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R(読み:イーエルエス・アール)」の提供を目指し、2025年に初号機「あおば」の打ち上げを予定しています。「ELS-R」は、無重力環境を生かした実証・実験を、無人の小型衛星で行い、それを地球に帰還させてお客様のもとに返す国内初のサービスです。宇宙での実証・実験の場を提供するだけでなく、成果物を帰還させることができるため、宇宙で実証した材料やコンポーネントを地上でより詳細に解析することなどが可能となり、高品質な宇宙実証環境を提供することで、民間事業者等の更なる宇宙産業参入促進や、日本の宇宙産業力強化に貢献することを目指しています。この「ELS-R」事業実現には、回収カプセルを燃え尽きず、損傷させずに地球に帰還させるための「大気圏再突入・回収」技術が必要となりますが、この技術を獲得している民間企業は世界的にもほとんど存在せず、国内ではElevationSpaceのみが挑戦している技術であり、初号機「あおば」において技術実証を目指しています。サイドパネル展開試験について

宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」は、宇宙で実証・実験を行った後、高推力のハイブリッドスラスタによって地球低軌道を離脱し、大気圏に再突入、衛星本体から分離した回収カプセルが大気圏を燃え尽きずに突破し、一定の高度に到達後、カプセルのサイドパネルを展開することで、内側のパラシュートが引き出され、緩やかに降下、海上に着水する仕組みです。[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/74085/45/74085-45-5943f82ec2e877e3fafd2c33280cfc41-1920x1080.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
大気圏再突入・回収ミッションにあたっては、「軌道離脱推進技術」「再突入技術」「回収技術」をすべて実現する必要がありますが、なかでも再突入する回収カプセルの構造設計や、パラシュートを展開し速度を下げて降下する技術は重要度の高い技術課題です。特に、カプセルの外側を覆っている3枚のサイドパネルは、展開のタイミングがずれると降下中にカプセルが回転してしまい、パラシュートを正常に開けなくなる可能性があるため、高い精度で同時に展開する必要があります。
ElevationSpaceでは、このサイドパネル保持開放機構を自社で独自開発し、3 枚のサイドパネルが同時に展開してパラシュートを確実に放出する設計としています。この度、回収カプセルの熱構造モデル(STM)を製作し、独自開発したサイドパネル開放機構の展開試験において、同時展開に成功しました。
回収カプセルの設計について

回収カプセルの構造設計面においては、2018年に国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)が成功させたISSからの物資回収ミッションである「HTV搭載小型回収カプセル(HSRC)」の知見を踏まえており、JAXAでHSRC開発を主導していた渡邉泰秀氏を技術顧問に迎え、開発を行っています。「あおば」においては、HSRCと同様の円錐台形の形状や、HSRCで実証された熱防護材(アブレータ)を使用することで信頼性を担保しつつ、前述のサイドパネル保持開放機構等には自社開発の独自技術を採用することで、低コスト化を実現しています。今回製作した熱構造モデル(STM)では、回収カプセル内へのパラシュートやフローテーションバッグの収納試験も行い、構造的に問題がないことを確認しています。▼参考プレスリリース
JAXAにて再突入技術開発を主導してきた渡邉泰秀氏がElevationSpaceの技術顧問に就任(2021年12月27日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000074085.html[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/74085/45/74085-45-5c9639ed8688067a3a6a7b1590b97b4c-3900x2194.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]回収カプセルの熱構造モデル(STM)
ElevationSpace概要

ElevationSpaceは、誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにすることを目指している東北大学発の宇宙スタートアップです。東北大学吉田・桒原研究室でこれまで開発してきた15機以上の小型人工衛星の知見・技術を生かし、無重力環境を生かした実験や実証などを無人の小型衛星で行い、それを地球に帰還させてお客様のもとに返す宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」を開発しています。■「ELS-R」とは?
これまで基礎科学的な実験から産業利用まで幅広く利用されてきた国際宇宙ステーション(ISS)は、構造寿命などの関係から2030年末に運用を終了することが決定しており、宇宙環境利用の”場”の継続的な確保が課題になっています。
ElevationSpaceは、「ポストISS時代」を見据え、宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R(読み:イーエルエスアール)」の提供を目指しています。
「ELS-R」は、無重力環境を生かした実験や実証を、無人の小型衛星で行い、それを地球に帰還させてお客様のもとに返す国内初のサービスです。
[動画: https://www.youtube.com/watch?v=_2m_GXSDvdI ]

PR TIMES

「回収」をもっと詳しく

「回収」のニュース

「回収」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ