「やり返さないと気が済まない人」の残念な思考回路
2025年2月4日(火)6時0分 ダイヤモンドオンライン
「やり返さないと気が済まない人」の残念な思考回路
アメリカでベストセラーとなり、多くの絶賛の声を集めた『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』がついに日本に上陸した。著者のブラッド・スタルバーグはマッキンゼー出身で、ウェルビーイング研究の第一人者。この本が指摘するのは、人生を消耗させる「思考の癖」だ。この記事では、本書の内容をベースに「感情を抑えて冷静に対応するためのコツ」を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「やり返さないと気が済まない人」の残念な思考回路
職場での些細な言い争い、家族や友人との行き違い、SNSでの心ない一言。そんな場面で、相手に対して「やり返したい」という衝動に駆られたことはないだろうか。
私たちの日常には、思わず反撃したくなるような状況で溢れている。しかし、その衝動に身を任せることは賢明な選択と言えるだろうか。
ウェルビーイング研究の第一人者ブラッド・スタルバーグは、話題作『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』の中で、人の行動を2種類に分けて議論している。
「反応」と「対応」だ。
反応とは、よく考えもせずについ早まって出てしまう行動だ。反応すると、型どおりの行動に出やすい。他方で、自発的な対応は計算したうえで意図的に行動することだ。
(P.331)
反応とは、つい感情的に行動してしまったり、SNSの情報に振り回されるなどの行動を指す。一方、対応は、自ら意図をもって自発的に行動することである。
反応は軽率な行動を生み出しやすい。では、そのような反応を避けるためには、どうすればよいのだろうか。
コントロール不可能なものに、エネルギーを浪費してはいけない
私たちの日常生活では、イライラしたり怒りを感じたりする場面が多々ある。
しかし、思い通りにいかない状況に対して感情的に反応してしまうことは、自分自身や周囲の人々にとってストレスの多い状況を生み出してしまう。
反応しないためには、コントロールできるものとできないものを区別することが重要だとスタルバーグは言う。
コントロールできないものとコントロールできるものを区別しよう。コントロールできるものに集中しよう。コントロールできないもののために時間やエネルギーを浪費してはいけない。
(P.267)
たとえば、周囲の人々の言動をコントロールすることはできない。しかし、自分がどう反応するかはコントロールできる。だからこそ、自分がコントロール可能なことに意識を向けるべきだ。
自分が反応しやすい状況を知る
スタルバーグは、自分が反応しやすい状況を分析することをすすめている。多くの人は、同じ状況で同じように反応してしまう傾向があるからだ。
わたしを含め、ほとんどの人は特定の状況下になるとほぼ予想通りに反応的な態度を取る。それは特定の同僚か家族の一員と一緒にいる時かもしれない。あるいは特定の話題を持ち出された時かもしれない。悪い情報がもたらされた時かもしれない。
あなたが反応しやすい状況がわかったら、そのような状況に十分に注意を払い、心を落ち着けてから対応するよう心がけよう。
(P.331)
たとえば、普段は穏やかな性格でも、特定の誰かとの会話でイライラしたり、車の運転中に感情的になりやすい人は少なくない。
自分が反応しやすい状況を理解しておけば、そうした場面でより冷静に、慎重に対応することができるだろう。
反応を引き起こすきっかけを取り除く
さらにスタルバーグは、反応を引き起こすきっかけを取り除くことを提案している。
反応を引き起こす状況がわかれば、あらかじめそれを避けるような行動を選ぶことができる。
また、自分がどんな状態の時に反応しやすくなるかも考えてみるといいだろう。
ソーシャルメディアに何時間も費やすと短気になりやすい?
特定のテレビ番組を見ている時?
やるべきことが多すぎて、自分のための時間も余裕もない時?
反応を引き起こすきっかけが判明したら、それを取り除くか、少なくともそれに触れる機会を最小限にとどめよう。
(P.331)
私たちの毎日には、つい反応してしまうような状況が多々あるだろう。しかし、その衝動に身を任せるのではなく、冷静に対応することが重要だ。
コントロールできるものに集中し、自分が感情的に反応してしまうパターンを理解しておくことで、よりストレスの少ない毎日を送ることができるだろう。
※本稿は『Master of Change 変わりつづける人』の内容を一部抜粋・編集したものです。