介護施設にめっちゃ楽しい×めっちゃ簡単を届けるデジタルレクリエーション「シニアカレッジ」の誕生秘話。開発者たちはどんな介護業界の未来を思い描くのか。

2024年1月31日(水)14時40分 PR TIMES STORY

株式会社emome(以下、当社)は、「日本にエフィカシーをもたらす」を掲げる東京大学発の介護領域のベンチャー企業です。現在、デジタルコンテンツによる介護施設内スクール「シニアカレッジ」を展開しております。

シニアカレッジ」は、デジタルの授業動画とワークコンテンツによって、介護施設の「工数削減」と「利用者満足」を同時に叶えるサービスです。

代表取締役の森山穂貴が自身の経験やアイディアを基に開発いたしました。

このストーリーでは、このサービスの誕生秘話や、そのサービスを通して描く介護業界の未来像を、当社のパートナーに就任している瀬口雄一郎氏との対話形式でお伝えします。

左:瀬口雄一郎

介護業界ではノッポさんとして言わずと知れた存在。

アドバイザーとしてエンタープライズ企業の介護業界参入を支援。

自身でも介護施設のオーナーを務めるなど現場とマクロの両輪を回す。

右:森山穂貴 

東京大学社会心理学研究室在籍。

LINE株式会社(現:LINEヤフー株式会社)にて

コンテンツ企画・プロダクトマネジメントに従事。

「日本にエフィカシーをもたらす」を掲げ、2023年に株式会社emomeを創業、

代表取締役に就任。

シニアの方の自己効力感を高めたい。                         スタッフを元気づけシニアの方を楽しませるデジタルレクリエーション誕生。

ーー森山さん、まずシニアカレッジの誕生の経緯について教えてください。

森山:実は、うちの実家は祖母の代から介護事業を営んでいます。

今では、長く金融の業界にいた父親が跡を継いで、事業を大きくしています。

その父親がボソッと言った一言が、シニアカレッジ誕生の1つのきっかけです。

 「シニアの方がすごく楽しくなる、かつ、スタッフの方の負担を軽減できるようなサービスを動画で作れないかな。」という一言から自分の中で発想を膨らませてできたのが、今のシニアカレッジです。

でも実は、その時の自分は、介護事業にすごく熱中するとは思ってはいなかったんです。

熱中するきっかけとなったのは、ふと思い出した昔の記憶です。

昔、よく介護施設の利用者さんと交流する機会があったのですが、シニアの方の自己肯定感の低さがすごく気になりました。 「どうせ死ぬからこのままでいい」とか「私たちは社会の邪魔者だから」という発言や、あまり積極的に取り組まない姿を間近に見て、私はこのことを痛感したと同時に、新たな着想を得ました。

それは、『近い将来、日本の人口の35%がシニアになると予測されるなか、彼らを元気づけることは社会全体に「自己効力感」、つまりは「できる」という風を吹かせるきっかけになるはずだ』ということです。

「認知症予防大学」を運営する瀬口雄一郎と森山穂貴の出会い。           高齢者の心の健康を守る福祉を引き継いでいく。

ーーノッポさん(瀬口雄一郎氏)は、シニアカレッジを提供する株式会社emomeとパートナーシップを締結するまでに、どのような運びがあったのでしょうか。

瀬口:現在、私は「認知症予防大学」という、65歳以上しか入れない大学を作り、実際に運営しています。シニアカレッジはオンラインで、この大学は対面で行うという違いがあります。

この大学を設立した背景には、「出来る限り介護保険を使わないでいい地域を創造する」という目標があります。65歳以上の学びに焦点を当て、65歳から74歳までが大学1年生で、75歳から84歳までが2年生...というような構成になっています。特に、女子教育が当たり前ではなかった時代に育ったシニア女性の方々に対して、今、この大学で学ぶことが出来るのは大きな意義があると考えています。

そこで、私は介護保険を使わなくていい体作りや思考にアプローチしたいと考え、コンテンツを1年間のカリキュラムとして作っていました。

そして、「認知症予防大学」の学長として本を出したところ、森山くんに出会ったという流れです。森山くんのシニアに対する想いが私と完全に一致したので、シニアカレッジに協力する運びとなりました。

あとは、以前から言っていることなのですが、私は「若い世代とコラボする」ことを大事にしています。要は、自分が現役で働くことができる期間は限られています。その短い間に何かがごっそり変わることはないでしょう。それならば、ある程度途中の段階から若い世代に引き継いでいきたいと思ったのです。それが誰なのかなと探っていたところに、ピッタリ当てはまったのが森山くんでした。

出会ってからわずか半年ですが、emomeのスピード感も込みで、一緒にやってきてすごく良かったと思っています。

森山:こちらこそ心からありがたく思っています!(笑)

自分の祖母が「自分が介護施設に行くのは恥ずかしい」とか「プライドが許さない」と言っている姿を見ていて、 なぜそうなるのかを考えた時に、やはり「つまらない」というバイアスがあるからだと気付きました。実際に行ってみると、本当にあまり面白そうでないこともたくさんあったんです。

これはものすごく変な話ですよね。 「高齢者だからつまらなくていい」とか「認知症予防=つまらない」というのは、事業を作る側に立つ、生産年齢人口のエゴでしかないと思っています。このような現状があっていいはずがないのです。人は0歳の時から、6歳、20歳、40歳、60歳、90歳...という風にどんどん成長していくわけですが、 人が求めてるものや、「楽しい」「美味しい」「嬉しい」といった、基本的な感情は変わらないはずです。つまり、「高齢者だからつまらなくていい」はあり得ません。

だから、高齢者も楽しめる介護の世界を作って、前向きに生きられる世の中を作りたいと思っています。

瀬口:そうそう、シニアが私達と一緒の生き物だということを忘れてはいけない。

「女子高生がタピオカを飲めるなら、おじいちゃんおばあちゃんも同じように飲めるはずだ。」というような単純な話だよね。

森山:よく父親に言われたのは、『医療には病気の人々を対象とするから、高齢者を「高齢者」として扱うところは確かにあるが、介護は医療ではなく「福祉」なのだ。』ということです。

「福祉」はwell-beingですが、それは体のwell-beingと心のwell-beingに分けられます。

現状としての介護は、体のwell-beingに対してはコミットしているけれども、心のwell-beingにはあまり力を割けていないという印象です。

やはり難しいんですよね、心のwell-beingというものは。

そんな中、我々は心のwell-beingを担保できるような存在でありたいと考え、シニアカレッジを始めたというわけです。

瀬口:諸手を挙げて賛成するよ。

家族も巻き込む好循環。単なる認知症予防にとどまらず、心の健康も考えて楽しさを追求するシニアカレッジの取り組み。

ーー介護施設にレクリエーションを導入するサービスは既に存在しますが、このシニアカレッジにはどのような独自性・強みがあるのでしょうか。

森山:何より「楽しい」ところが1番の強みでしょうね。

既存のサービスは「認知症予防」に焦点を当てているものが多いです。しかし、「認知症予防」にこだわると「つまらなくてもいい」となりやすく、楽しさを排除した「脳トレ」に終着しやすいのです。

一方、我々はとにかく、「楽しい」という感情を生み出すことに軸を置いています。必ずしも学びを与えることが目的ではなく、常にシニアにとって楽しいかどうかを重視しています。 

他にも、スタッフさんの工数を削減するため、基本1人で実施可能となるコンテンツを作ることを重要視しています。そこも、他のサービスとの違いと捉えています。

瀬口:私も、「楽しさ」を常に追い求めています。「利用者さんにとって楽しい」だけでなく、スタッフや、利用者さんのご家族も楽しめることが理想です。

介護保険には、利用者さんの自立支援を我々介護スタッフがサポートしていくという姿勢が根幹にありますよね。スタッフを喜ばせることによって利用者さんが笑顔になり、利用者さんの話を聞いたご家族も笑顔になります。

シニアカレッジの1つの良さは徹底して楽しさを追求しているところであり、かかわる人を好循環に巻き込める可能性を秘めていると考えています。

森山:そうですね。実際、「このサービスをすごく喜んでくれるのはご家族だ」という話をよく伺います。勿論、自分の親や、おじいちゃんおばあちゃんが楽しそうにしている姿はご家族の幸せにも繋がりますよね。

もう1個言えるのは、「従業員が楽しそうかどうか」も非常に重要だということです。現在、介護業界は深刻な人手不足を抱えており、逼迫した状況で働かれているスタッフが非常に多いです。ご家族はその状況を仕方ないと分かっていても、そのような問題を抱えるところに自分の親を入れたくないと思うわけです。

ご家族の話を伺うなかで、従業員が楽しそうに、かつ働きやすそうにしている姿は大きなプラスに繋がるものなのだろうと感じています。

だからこそ、シニアカレッジは学びと絡めた「エンターテイメント」を届けています。 

私たちのコアは必ずしも学びではなく「楽しさ」と「簡単さ」の2つです。

将来的には、学びというワードに限定しない、シニアカレッジ独自の表現を作っていきたいとも考えています。

さらに、当社は「とにかく現場に行く」という強みを持っています。

やはり、この産業の1番の難しさは、本人の気持ちになりづらいところです。なぜなら、自分たちがその年齢になったことがないし、介護を受ける側になった経験もないから。

その上で自分たちに何ができるかを考えたところ、とにかく現場に行って、利用者さんやスタッフさんの話を聞くことだと気付きました。話を聞く中で、自分たちが予想したものではない結果が得られることもある、というメリットがあります。

当社は、「とにかく現場の声を信じ、改善を続けていく」という部分を今後も強めていきたいと考えています。

病気ではなく、顧客個人に向き合うことで自立支援を成し遂げる。       介護の先進国としてのモデルへ。

ーーシニアカレッジの今後のビジョンはありますか。

森山:まず、先ほど言ったように、スタッフさんの負担軽減と、利用者さんの満足感や楽しさを同時に叶えられるコンテンツを、現場の意見を参考にしながら作っていきます。

そして、今は動画という媒体を使っていますが、今後は動画以外にも形を作っていきたいと考えています。その1つとして、現在、他社と連携して「シニアの赤ペン先生」なるものを開発しています。

我々はとにかく「楽しさ」と「簡単さ」を、この2つ以外に求めるものはないというくらいに重要視して、これからは形態にこだわらず、シニアカレッジを構築していきたいと考えています。また、シニアカレッジに限った話ではないですが、emomeとしては、「顧客とのコミュニケーション」を最大の強みにしていきます。

とにかく現場に行って話を聞き、お客さんのニーズや困り事に、誰よりも早く対応できる存在でありたい。そのためには、スピード感と現場力を意識してコミュニケーションをとり、複数のサービスを展開していきます。

瀬口:森山くんとは考えが重なることが本当に多いんですよ。

楽しさやスピード感を重視するところや、現場の声を大事にするところがね。

最近、現場を見ていて思うのが、介護事業を提供する段階において、その人の病気を見ようとする介護職が結構いるんですよ。「この人は脳梗塞だから」「この人は前頭側頭葉型アルツハイマー型だから」「この人は要介護2だから」という風に。

しかし、我々はその人が自立していくためにどのような支援を行うかに注力すべきです。病気ばかりを見ていると、自立支援とは逆の方向へ向かってしまいます。

「いやいや、もっともっと楽しく、もっともっと楽にやっていこうよ」と思っています。

森山:そうですね。この課題って絶対に世界各国が直面するものですよね。

日本は医療大国ですが、世界的にみても介護より医療の方が圧倒的に先進的です。だから、医療ベースの介護に自然となってしまうわけです。

しかし、それはただ先に医療があったというだけの話ですよね。

介護はウェルビーイングを求めるわけですから、楽しさも重視すべきです。

そして、「介護」という単語は日本語ですが、今後英語でも使われるようになり、「介護」自体がグローバルスタンダード化することも予想されます。世界各国は、日本の介護がどう動くかを気にしているわけです。

その中で我々は「世界で最も先進した介護を作り、グローバルスタンダードを築き上げる」ことを目指しています。我々が大事にしている現場力とスピード感、そして、ノッポさんを含めた介護業界への影響力を活用すれば、実現できるのではないかと思っています。

瀬口:シニアカレッジは本当にその可能性を秘めているよね。

日本はいわば「高齢先進国」です。高齢化における様々な課題を、日本はどう解決していくのかについて世界の注目が集まっています。

森山:そうですね。介護は、ご高齢の利用者さんが多いため古い産業だと思われがちなのですが、実は非常に新しい産業で、まだ歴史が20年ほどしかない業界です。

しかも、そこにデジタルが入ってきたのはここ2、3年の話ですから、本当に未開拓の地であると言えます。

そして、その未開拓の地の中で1番先進しているのが日本であることは、大きなチャンスだと私は思っています。企業が日本の取り組みをモデルとして示すことができれば、非常に良い形を迎えられるのではないかと考えています。

「介護」を楽しい老後を過ごす意味のワードへ。                    介護負担が1割から2割負担へ上昇しても選んでいただける施設に。

ーー「世界に向けて、介護のグローバルスタンダードを発信していく必要性」について触れていらっしゃいましたが、最後に、お二人の描く介護業界の理想について教えてください。

瀬口:まず私は、介護保険を出来るだけ使わなくていい地域が増えることが理想です。

現在、介護保険はほとんど崩壊してるような状態にあります。これから高齢化率がさらに上昇することが分かっている上で、今の段階で破綻しているのならば、介護保険を使わないでいいような地域を作ることにシフトしていく必要があるでしょう。

介護業界はまだ歴史が浅いので、もっと柔軟に成長していくべきだと考えています。

 介護保険を主としている事業所にとって、介護保険を出来るだけ使わない地域を作ることは方向性が矛盾しているように思うでしょう。しかし、私はそれが実現した先に、介護保険の新たなサービスの提供があるのだという訴求をしています。

森山:私が思い描く、介護業界の理想は2つあります。

1つ目は、「介護」の意味合いが変わってくることです。

 シニアにとっての「介護」が、言葉通り「介護される」ということに限らず、楽しい老後を過ごす意味合いも含まれてくるような世界を築きたいと思っています。

2つ目は、「介護」というワード自体が消滅することです。楽しく生き生きとした社会を作りたいと主張する割に「介護」というワードを使うのは、矛盾しているのではないかと自分でも感じているので、このワード自体が無くなることも1つの理想です。

また、「介護保険」に絡めて話をするのであれば、

現在、1割負担の方と2割負担の方に分かれています。

2024年の改正では、介護報酬が1.59%上がる予定です。1割負担が2割負担になることは今のところないと見込まれていますが、近い将来、必ず上がります。

ここで、看過してはならないのは、10割から見た1割と2割は誤差ですが、利用者さんやそのご家族からすれば、1割から2割は倍だということです。今まで「1割負担で16万かかってました」というところが月32万かかるようになるわけです。

その違いによって何が起こるのかというと、利用者さんは、1つ1つの介護施設の違いをより見るようになります。今までは「安いから別にどこでもいい」という場合もありましたが、これからは1つ1つを比較して決める時代になることが予想されます。

それに伴い、施設にとって差別化やウェルビーイングなものを届ける力をつけなければいけない時代になるのは、理想というより、この先数年の「未来」だと思っています。

瀬口:まさしく「ノッポさんのデイサービス」はそのために動いてきました。

要は、同じものが沢山あってもよくない訳で、我々は利用する人たちに選択肢を与える必要があります。例えば、1つの町にイタリアンレストランしかないとつまらないのと一緒で、中華や和食もあるかが大事なんです。

「ノッポさんっていうデイサービス」は新しいものを積極的に取り入れることを強みとしていますが、他の施設では、伝統を重んじることを強みとしていることもあります。

それぞれカラーがある中で1つ突出していくのは、 絶対必要だと思っています。

森山:そうですね、まだまだemomeとしてもこれからという感じではありますが、この業界で、モデルを作り上げていくという意味で先進していけるような会社にできればと思っています。

これからもよろしくお願いします。


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