上司に「なぜ目標達成できなかったのか?」と聞かれた時に"数字を出して即答できる人"が密かにやっていること

2024年3月3日(日)7時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yumi mini

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上司に質問されたときに、数字を出して即答できる人は何が違うのか。経営コンサルタントの権藤悠さんは「解像度が高い状態になることが重要だ。解像度が高い人には、物事が細く見えている、ユニークで鋭い洞察を得ている、物事をわかりやすく伝えられる、という3つの特徴がある」という——。

※本稿は、権藤悠『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/Yumi mini
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■「解像度が高い人」には3つの特徴がある


近年、「解像度」という言葉がビジネスシーンで使われるようになった。「解像度が高い」とは、思考が鮮明な状態。物事が細かく、広く「見えている」のが特徴だ。では、「解像度が高い・低い」とは具体的にどういうことなのか。

ここでは、「どうしたら解像度が高められるのか?」を明らかにします。


結論を先に述べると、それが「具体⇔抽象トレーニング」になります。なぜでしょうか? その理由を明らかにするために、まずは「解像度が高い人」の特徴についての解像度を上げていきましょう。


いくつかの要素に分解して定義すれば、以下に述べる3つの特徴があります。


■99%の人には見えない所まで「物事が細かく見えている」


「解像度が高い人」の特徴として、第一に「物事が細かく見えている」ということが挙げられます。


例えば、営業の場合の例を考えてみましょう。もし今月の受注目標が達成できなかったとします。このときに、「解像度が低い人」の典型は、細かく分解せずにふわっとしたまま動き出すことです。


例えば、「受注件数が足りないなら、提案の際のトークスクリプトを見直そう」といった具合にです。おそらくこの方に「なぜか?」と聞いても、答えられないでしょう。


一方、「解像度が高い人」は、物事を細かく分解して考えます。この例であれば、安易に結論を出すのではなく、まずは「受注」という結果に至るまでのプロセスを分解するでしょう。


「DM→電話→アポ→面談→提案→案件化」といった具合にです。


■とっさの場面でも、具体的な数字を基に話すことができる


そして、それぞれについて、今月は何件ずつできたのか? 過去の数字や目標の数字に対して、どれくらいショートしていたのか?


ここまで細かく分解し、そのうえで「前年同月比で、電話の件数がショートしている。今月、受注目標を達成できなかったのは、電話の件数が足りなかったからだ」といったように、細かく分解したうえで、適切に原因を突き止め、そのうえで改善に動き出します。


写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

これであれば、「なぜか?」と問われたときにも、パッと具体的な数字を基に話すことができます。


これは、このような原因分析のときだけではありません。顧客像の具体化であれば、顧客がいま何に最も困っているかを把握していて、その悩みをどれくらいの頻度で感じていて、そのときどんな感情で、そのためにどんな商品やサービスを買っていて、どんな風に工夫をしているかなど、細かく見ています。


「解像度が高い人」が質問をされたときにパッと具体的な話ができるのは、このように普段の思考から、物事を細かく見ているからなのです。


■99%の人には見えない「ユニークで鋭い洞察を得ている」


「解像度が高い人」は、第一に「物事が細かく見えている」と申し上げましたが、実はこれだけでは「解像度が高い人」の特徴としては十分とは言えません。


「解像度が高い人」の2つ目の特徴に、「ユニークで鋭い洞察を得ている」という特徴があります。


例えば、私があるコピーライターの方から聞いた話です。その方に、「コミュニケーションにおいて、大事なことは何ですか?」と聞いたときのことです。私は「言い方・伝え方を工夫する」といった答えが返ってくるものかと思っていました。


実際、「解像度が低い人」はこのような「安易な意見」を言うでしょう。しかし、そのコピーライターの方から返ってきた答えは、「相手の“欲望のベクトル”を意識する」というものでした。


つまり、「人というものは感情を持つ生き物で、話しているその時々で“こうしたい”という『無意識の欲望』を持っている。それを無理に曲げないことが、こちらの話を聞いてもらうためには大事」ということです。


■「言い方・伝え方」はコミュニケーションの本質ではない


たしかに、「同じ言い方・伝え方」をしているのに、Aさんは感じよく映って、Bさんは感じが悪く映る、ということが頻繁にあります。「言い方・伝え方」では説明できないこういった現象が起きている以上、「言い方・伝え方」はコミュニケーションの本質ではない、ということなのでしょう。


では、何がコミュニケーションの本質なのか。おそらくこのコピーライターの方は、これまで膨大な「コミュニケーション」を見てきて、すべての成功している(あるいは失敗している)コミュニケーションの共通点を説明しようとすると、この「欲望のベクトル」というものが関係している、ということに行き着いたのだと思います。


何か一つのものだけ、あるいは表面的な見やすい所だけを見て「安易な結論」を言うのではなく、物事の背景に隠れた「本質」を見抜く。


こういった、思わず周りが「ハッ」としてしまうような「鋭い洞察」を持ち合わせているのが、「解像度が高い人」です。


写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

■99%の人にも見えるよう「物事をわかりやすく伝えられる」


「解像度が高い人」の備える特徴3として、「物事をわかりやすく伝えられる」という要素があります。


これまでお話ししてきたことは、特徴1も特徴2も「99%の人には見えない」という事例でしたが、ただ本人に見えているだけでは、周囲から「解像度が高い」とは見なされません。


なぜなら、「その人に見えている」という事実が、第三者には説得力を持たないからです。特徴1と特徴2は、「他の多くの人には見えないものが見えている」からこそ価値を持つわけですが、その「他の多くの人に見えないもの」を「他の多くの人」にもわかるようにしなければ、単に「意味のわからないことを言っている人」になってしまいます。


その点、「解像度が高い人」は、「自分に見えている(かつ99%の人には見えない)もの」を、あたかも見えているかのように「わかりやすく伝えることができる」能力があります。


お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんは「解像度が高い人」の代表です。西野さんは、笑い芸人の他に、俳優・絵本作家・小説家・作詞家・企業経営者などマルチに活躍しています。


■キングコング西野さんの「伝説のスピーチ」


その西野さんが近畿大学の卒業式に招かれてスピーチをしたときの話です。そのとき、西野さんは卒業生に贈る言葉として「人生に失敗なんかない」というメッセージを伝えたのですが、これが後に「伝説のスピーチ」と呼ばれ、広く知られるようになりました。


かいつまんで紹介すれば——西野さんは「時計台の大時計の長針と短針が重なるのは1日に何回あるか?」というたとえ話をします。1時台なら1時5分、2時台なら2時10分……という具合に、毎時約5分ずつずれながら針は重なっていきます。


短針が一周するのに12時間かかります。1時間に1回ずつ重なるとしたら、単純に考えると1日に24回重なりそうなものです。


ところが、正解は22回。なぜなら、11時台には長針と短針が重なるタイミングがありません。重なったときには既に12時になっているからです。12時になると、時計台の鐘が鳴ります。


つまり、何が言いたいのかと言えば——「人生も同じ。鐘が鳴る前には、報われない時間が必ずある。自分にももちろんそんな時期があった。しかし、それは失敗ではない。世の中のタイミングと自分の中のタイミングがぴたりと重なる瞬間は必ずくる。


報われない時間を過ごしているときには、自分は今、“人生の11時台”を迎えているのだと考えてほしい」という意味を込めた、西野さんからの卒業生へのメッセージだったわけです。


「人生(には報われない時間がある)」という言葉は、まさしく「多くの人には見えないもの」です。なぜなら、「形がないから」です。


■「他の人にも理解できるようにできる」のが解像度の高い人


そして、このとき、話している相手は「大学生」でした。もちろん、優秀な方々であるとはいえ、「形のない、見えないもの」を理解するのは容易ではありません。



権藤悠『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(SBクリエイティブ)

おそらく西野さんは、今回の相手(大学生)は「具体的な話」のほうが理解しやすい人たちだと考えたのでしょう。


西野さんの話がうまいのは、「人生」という「形のないもの」を、「時計」という「形のあるもの」にたとえたことです。そうやって、「多くの人に見えるように」してあげたのです。


おそらく「解像度の高い人」代表である西野さんにとっては、「人生(には報われない時間がある)」ということだけでも、ご自身としてはイメージは湧くし、納得して理解をしているはずです。


しかし、おそらくこれは「具体的なことのほうが理解しやすい人」にとっては、わかるようでいて、イメージが湧きません。


この「自分には理解しているもの」をそのまま伝えても相手が理解できないときに、「他の多くの人にも理解できるようにできる」のが、「解像度が高い人」なのです。


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権藤 悠(ごんどう・ゆたか)
キーメッセージ代表取締役社長
慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業。ベンチャー三田会幹事。ITベンチャー企業にて人事、IT新規事業開発をした後、ZUUに人事企画マネージャーとして参画し、東証マザーズ(現・東証グロース)市場上場前の採用・組織開発に従事。その後、デロイト トーマツ コンサルティングに経営コンサルタントとして入社。大手企業へのDX・組織人事高度化コンサルティング業務に従事し、合計社員数20万人以上の各業界企業を支援。デロイト トーマツ コンサルティングの中でも上位1%の人材しか認定されない「Sランク人材」の評価を受ける。2022年、キーメッセージを創業。大手企業からスタートアップへ経営コンサルティング、AIやデータ分析を活用した新規事業開発や人的資本経営コンサルティングを提供する。
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(キーメッセージ代表取締役社長 権藤 悠)

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