かつての港町の賑わいを取り戻したい。地元住民の集い場と観光客への拠点をめざす鮮魚店+漁師料理店「IWANAI BANYA 魚希」のオープン秘話

2024年3月7日(木)10時0分 PR TIMES STORY

カズノコ・水産物加工販売業「カリフッド株式会社/株式会社井出商店」では約10年前より、北海道岩内町に自社工場を開設し、ニシンをはじめとする魚介の加工とカズノコ製品の生産拠点としてきました。近年では「岩内プロジェクト」と称し、岩内町、共和町、ニセコ町、倶知安町、仁木町、余市町、小樽市など周辺地域をつなぐ「地域循環共生圏」の確立を目指す活動を進めてまいりました。

この度、日本中・世界中から北海道・ニセコエリアを訪れてくださる方々に向けて、その実践・体験の場としての最初の拠点となるショップを開店ました。

今回は、この「IWANAI BANYA 魚希」についてお伝えしたいと思います。

きっかけは自身のコロナ罹患からの「岩内プロジェクト」立ち上げ

岩内町は北海道の積丹半島西側に位置し、明治から昭和初期にはニシン漁で栄えた港町でしたが、近年では人口も最盛期より半減し町全体の活気も失われておりました。

カリフッド社も、事業拡大を視野に入れて拠点を他に移す計画をも考えていましたが、そこへ世界中がコロナ禍に見舞われました。

代表の井出敬也社長自身もコロナウイルスに罹患し、生まれて初めて「死」を意識するような状況の中で、今後の自分自身や会社のあるべき方向性を考えなおすきっかけを得ます。利己より利他へ…人生は儚い、まずは身の回りの地域社会に役立つ仕事をしていこう…

そして新たな構想である「岩内プロジェクト」を立ち上げるに至りました。

「岩内プロジェクト」とは、自然豊かなこの町この地域が持つ、生産地本来の「豊かさ」を再発見していく事業であり、近隣の町村や異業種の実業家、思想家、芸術家たちを巻き込んで進めていく、一零細企業がこころみる壮大な社会実験でもあります。

海の恵みを土地に還す"先人たちの知恵。しめ粕「カド」の事業化

まず初めに、このプロジェクトの取り組みとしたのは「しめ粕(ニシンから作られた肥料)」の復活でした。

日本は食料の自給率が低いだけでなく、肥料も大半を輸入に依存しています。しかしその昔、カズノコの生産過程から生まれる「しめ粕」は、北海道から北前船で日本全国に運ばれ、戦後にいたるまで日本各地の農業生産性向上に大きく貢献した歴史があります。

そこで、岩内の自社工場でのカズノコ製造の過程で出たニシン残渣を地元の工場で魚粉にし、農業が盛んな隣町、共和町や仁木町の農家さん数軒と試験栽培を行いました。その結果、お米・じゃがいも・スイカ・メロン・とうもろこし、サクランボなど、いずれも予想以上の出来となりました。

「海の恵みを土地に還す」ことを、かくも自然に営んできた先人たちの知恵に改めて感服した我々は、ニシンから作った肥料や、それでつくられた農産品の取り扱いを「カド」シリーズとして事業化することといたしました。

ちなみに「カド」とはニシンの別名で、カズノコは「カドの子」がなまったものだといわれています。

この「カド」シリーズの農作物は、東京大田区のこども食堂への無償提供をはじめ、東京のレストランへの販売、提供もしており、各店有名シェフの皆様からもこの取り組みにご賛同いただいております。

岩内の活性化の課題、議論を重ね「IWANAI BANYA 魚希」オープン

次に我々は、これら「カド」シリーズへの手応え、農作物を最大限に活用する展開として、かねてより温めていた、地場のお魚やその加工品の販売する鮮魚店を併設する漁師料理の食堂を開店する、という計画を実行することにしました。

当プロジェクトのアドバイザーの中から飲食の専門家を中心にチームを組み、そのコンセプトを話し合っていく過程においては、さまざまな困難な事案も出現してきました。

まずはこの岩内という街を活性化していくために、どのようなアプローチでお客様に来ていただけるのか。

周辺のニセコ地域はウィンターシーズンには沢山の外国人の方が滞在なさっておられますが、最近では外食店の数が足りず、滞在客のディナー難民問題も報道されています。岩内はニセコ地域から最も近い港町にあたりますが、距離的には車で約1時間弱。

ニセコのお客様を岩内に呼び込めれば、観光地としても再発見される可能性も高いですし、グリーンシーズンにも国内からのお客様が週末や連休などに立ち寄ってくださるようになるのではないか? とはいえ、地元の方々が普段から気楽に立ち寄れるような存在でなければ本末転倒で意味がない…

このもどかしい課題を両立させるべく、店の仕組みやメニューの仕立てについては長時間議論を重ねていきました。

お店のロケーションについては、鉄道が走っていた時の岩内駅から山側へ伸びるかつては一番賑やかだったと思われる、駅前通り沿いの物件が見つかりました。

しかし、すでに「シャッター通り」と化していたこの付近の建屋はどれも60年以上前に建てられた木造建築で、電力や下水など公共インフラから整備をしなくてはなりませんでした。また、構造的に既存の柱や梁をやたらと抜くことは出来ず、リノベーションの設計にも多くの制約を考慮しなければなりませんので、基本設計の決定にも時間がかかってしまいました。

結果、街の歴史にも沿った意匠を取り入れ、ある種のノスタルジー感も演出していく方向に決め、

・デザインはかつて漁師さん達の作業小屋であった「番屋」をモチーフにする

・北海道産の木材を多用し、既存の古い柱などもそのまま生かす、温かみのある店内

・大きなオープンキッチンを囲む、木のカウンターメインの食堂感

・素材重視のシンプルな調理法を中心に、有名鮨職人の方が監修する「江戸前鮨」の

技法などを取り入れる魚介料理や、地元の野菜料理の充実

・カズノコを普段から召し上がっていただくような小鉢メニューの提案

・ホテルの鉄板焼きシェフによる「海鮮鉄板焼き」コーナーも準備

・器などの設えは、きちんとした和会席に準ずる美しい雰囲気でのおもてなし

・鮮魚店には、生命力を感じさせる生け簀を設置し、新鮮さをアピール

・自社で岩内〜ニセコ間の送迎バスも用意して、ニセコ対応の送迎付きプランも準備

などを構想の柱としました。

着工が12月という雪の時期になってしまったこともあり、外装などは春になってからの工事になるなど不完全な形ではありましたが、何とか遅れを取り戻すべく作業していただき、無事、2月中旬に「IWANAI BANYA 魚希」としてオープンを迎えることが出来ました。

プレオープン開催、岩内の良き「集い場」をめざす

プレオープンのイベントでは、町役場をはじめ商工会などの皆様をお迎えしての試食会も4日間ほど開催いたしましたが、ご参加の方からは「この施設に街の活性化の役割を期待している」とのお言葉も多く頂戴しました。

今後このお店が、これからの岩内町及び周辺への観光拠点や地域の方々の良き「集い場」となっていくよう、我々自身も大いに期待しつつ、永続的なブラッシュアップに励みたいと思っております。


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