ドラゴン桜講師は「頑張れ」とは言わない…「第一志望大学のランクを下げたい」生徒をグンと伸ばす驚きの一言

2024年3月8日(金)14時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

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子供に進路の相談をされたとき、どう答えるのが正解なのか。石川県の進学塾「東大セミナー」講師の川本雄介さんは「第一志望のランクを下げたいと言われても、親は自分の考えを伝えてはいけない。子供に寄り添い、どうすればいいか本人に考えさせることが大切だ」という——。

※本稿は、川本雄介、企画・西岡壱誠『ドラゴン桜で学ぶ伸びる子供の育て方』(星海社新書)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/mapo
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■親は答えを教えてはいけない


「コミュニケーションのラリーが多い家庭」は子供の成績と相関するという話と併せてお伝えしたいのが「親が答えを教えないこと」も心がけた方がいい、という点です。


「親が子供と接する時に、情報の上流の部分まで考えられるようにすると学びが伸びやすい」という話をしましたが、これは「親が上流まで教えなければならない」ということではありません。むしろ、「親自身が答えをわかってなくてもいい」のです。


頭が良い子の親というと、イメージとしては「頭が良くて博識な親」をイメージすると思います。なんでも親が勉強を教えて、塾なんていらないくらいに教えるのが上手、というイメージを持っている人が多いと思うのですが、私から言わせていただくとそれは間違いです。


たしかに親と子供の学力に一定の相関関係はあるとは思いますが、それがすべてでは全くありません。親がバリバリの理系なのに文系の才能のある子や、親が高学歴ではないのに素晴らしい学力を持っている子など、親の学力と相関がない子も少なくありません。


逆に、親の学力が高いのに、子供の学力がなかなか伸びないという家庭もあります。というか、親の学力が高い家であればあるほど、「子供の学力が伸び悩む、やってはいけないこと」をしている場合があります。


■できないことに対して一緒に苦しむ


なぜそんなことが起こるのか?


それは、「親が答えを教える必要がない、むしろしてはいけないから」です。例えば、ある子が特定の問題でつまずいているとします。その時に、頭が良い子が育つ親御さんはどのように対応しているでしょうか?


多くの人は、親自身がその問題の答えを見て、「こういう風にやるみたいだよ」と言うことが多いと思います。でも、答えがわかっている状態で「こう解くのよ」と言われても、子供からしたら「いや、そもそもなんでその発想ができるのかで悩んでいるのに」と思ってしまうのです。


ですから、この場合の正解は「答えを教えず、一緒に考える」です。


「どれどれ、どの問題? これ、どうやって解くんだろうね。一緒に考えてみよう!」というように、答えを知っていたとしても教えることはせずに、一緒に考えるのです。


ここで重要なのは、できないことに対して「一緒に」苦しむことです。


もし親も問題が解けずに「どうやって解くのかわからない!」となったとしても、それはそれで子供は「やっぱりこの問題難しいよね、自分だけじゃないよね。先生に聞いてみようかなあ」「これが解けるようになるためには、別の問題集も必要なのかもなぁ」などと考えを広げることができます。


■自分でどうすればいいか考えさせる


もちろん一人でそこまでたどりつくことができる子供は稀ですから、そうなれるようなバックアップは必要です。でも、あえて答えを教えず、自分でどうすればいいか考えさせることも立派な教育だと言えるのです。


そしてこれは、進路についての悩みや、日常生活の中での悩みを聞く時も同じです。答えを教えてあげるのではなく、「自分で考えること」=「内省」を促すのです。


ドラゴン桜』にも、次のようなシーンがあります。


(※ 外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります)


©︎三田紀房/コルク

■最近の子供に見る“危険な傾向”


このように、オウム返しで相手の言うことを繰り返す方が、子供にとってはプラスになるのです。親が答えを教えてあげる関係ではなく、子供が答えを出すのを手伝う役割として親がいるという関係が理想的と言えます。


最近、子供たちの面談や面接対策の際に「良い子」が増えてきている印象があります。「こうしたらいいよ」「こうするとうまくいくよ」というアドバイスに対して、みんな「はい、そうします!」という返事をするのです。


これ、実は私としてはすごく違和感があります。もっと、「でも、ここは自分に合わないと思います」「ここ、納得できないです」と言ってほしいんですよね。



川本雄介、企画・西岡壱誠『ドラゴン桜で学ぶ伸びる子供の育て方』(星海社新書)

しかし最近の子は、「先生はこう答えてもらいたいだろうな」という、コミュニケーションにおける「正解」を予測して、その通りに会話する癖がついているんです。


「正解」を求めるばかりで、自分で答えを出す習慣がないのです。こういうタイプが増えていくことを私はとても危惧しています。


ですから、親御さんや教育者の方は、子供が「正解」を求めていないかを注意深く観察してみてください。そして「正解」を求める傾向があるのであれば、それをきちんと指摘するのです。


「正解を出す必要はないよ」「こちらの機嫌を取る必要はないから、もっと君の本当の気持ちを教えてよ」と言ってあげてください。


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川本 雄介(かわもと・ゆうすけ)
「東大セミナー」講師、ドラゴン桜コース責任者
石川県の進学塾・東大セミナーで何千人もの生徒を担当し、彼らの可能性を見抜いて多くの東大生を輩出してきた。現在、株式会社日本エルデイアイ取締役。
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(「東大セミナー」講師、ドラゴン桜コース責任者 川本 雄介)

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