「腸活のために毎日ヨーグルトを食べる」はやめたほうがいい…実は副腎に負担をかけている逆効果の食生活

2024年3月24日(日)9時15分 プレジデント社

腸の状態を整えると免疫力がアップする(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/SewcreamStudio

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腸内環境を改善するには、どうすればいいのか。医師の本間良子さんと本間龍介さんの共著『抗加齢専門医が教える 食事は「引き算」に変えなさい』(青春出版社)より、避けるべき食事のポイントについてお届けする——。

■口から肛門までは「一本のホース」


食べものは口から入り、食道、胃を通って腸に移動します。


口から肛門までは一本の管のようになっています。そう、まるで口から肛門までは一本のホースのようになっているのです。


腸は体内にある臓器のように思われますが、実は口から入ってきた食べものを消化・吸収するための外界にある臓器です。


ですから、腸の粘膜が整っていることは、外界から体を守るためにとても重要です。


腸の状態を整えると免疫力がアップするのはそのためです。


写真=iStock.com/SewcreamStudio
腸の状態を整えると免疫力がアップする(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/SewcreamStudio

副腎のケアには、まず食べものが最初に吸収される腸を整えることが基本。私たちが「副腎疲労外来」で行っている「腸を整える4つのR」をご紹介しましょう。


■朝食が「パンと牛乳、コーヒー」という人は注意が必要


1 Remove(取り除く)

体から不要なものを取り除くことです。


副腎ケアでは「入れない」ことが重要。まず、体にとって炎症を起こす火種となる食べものや、自分の体に合わない食べものをとらないことからスタートします。


2 Replace(代替する、補充する)

腸の状態が悪い人は、腸で分泌される消化酵素が少ない傾向があります。


口からいくら食べものを入れても、腸でしっかり消化吸収できなければ意味がありません。


「若いころのように油っこいものや肉が食べられなくなった」「少食になった」という声をよく聞きますが、無理はありません。消化機能が衰えているからです。


ところが、みなさんの食生活をヒアリングしていると、最近は朝食を手軽で日持ちがするパンと牛乳、コーヒーなどで済ましてしまう人が増えています。このような食事は消化酵素を含まないため、さらに消化機能が落ちてしまいます。


そこで、毎日の食事で「消化酵素」を補う必要があります。


たとえば、肉を食べるときに必ず野菜など彩りのいい食材の付け合わせを食べることが大切です。


■「自分に合わない菌」を無理にとる必要はない


3 Reinoculate(植え付け)

腸内環境(腸内フローラ)を整えるために、ビフィズス菌や乳酸菌、オリゴ糖などを腸に植え付けることです。


乳酸菌というと、ヨーグルトを真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、副腎のためには乳製品はおすすめできません(理由は次項で説明します)。


写真=iStock.com/kaorinne
副腎のためには乳製品はおすすめできない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kaorinne

また、お腹には発酵食品がいいからと、みそやしょうゆ、キムチなどの発酵食品を積極的に食べている人がいます。


それで調子がよければいいのですが、お腹が張るなど、自分に合わない菌なら無理にとる必要はありません。


■「乳酸菌のとりすぎ」で渋滞が起きる


乳酸菌のとりすぎには注意してください。とくにご高齢の方に多いのですが、お腹の具合が悪いと、つい乳酸菌入りの整腸剤を常用してしまいがちです。


しかし、それがたとえいい菌であっても、増えすぎると体のなかで渋滞を起こします。


口から肛門までは一つのホースだとお伝えしましたが、ホースのなかで渋滞が起きると、どうなるでしょうか。


どこかを刺激するとドバッと水が出てきますね。


それと同じで、高齢者の方で腸内にフローラがあふれすぎると、逆流性食道炎を起こす場合があるので注意が必要です。


若い人に比べて胃酸が減っていますから、よけいリスクが高くなるのです。


4 Regenerate(更生させる、よみがえらせる)

腸をよみがえらせ、いい状態を継続していこうという考え方です。


いらないものを入れず、消化吸収のいい状態を保つことです。


■副腎を弱らせる「グルテン」


朝食はパン、昼食にラーメンやうどん(あるいは、ピザやパスタ)を食べる——こんな食事パターンを続けていると、確実に副腎は弱っていきます。


なぜかというと、これら小麦粉を使った食品に含まれるグルテン(小麦たんぱく質)がアレルギーや腸の炎症を引き起こすもとだからです。


写真=iStock.com/kaorinne
グルテンがアレルギーや腸の炎症を引き起こすもと(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kaorinne

腸の炎症を引き起こすグルテンを「入れない」ことで、火種を減らし、副腎の負担を減らすことにつながります。


腸の機能が下がっているときに、グルテンをとると、消化吸収にさらに負担がかかり、副腎を働かせてしまうのです。


■ジョコビッチ選手が実践して話題に


グルテンとは、小麦やライ麦などの穀物に含まれているたんぱく質のこと。小麦粉に水を加えてこねるとモチモチしてきますが、このモチモチ成分がグルテンで、パンをふわふわとやわらかくする働きがあります。


グルテンを含む食材には、パンをはじめ、小麦粉からつくられたパスタやうどん、ラーメンなどの麺類、ケーキやクッキー、ドーナツなどの菓子類、シリアル、カレーのルーなどたくさんあります。


これら小麦を使った食品を食べないようにする「グルテンフリー」は、かつて世界ランク1位に上り詰めた男子プロテニスプレーヤーのジョコビッチ選手が実践した食事法として話題を集めました。


欧米を中心に健康に関心のある人たちから絶大な支持を受け、近年グルテンフリー食品は日本のスーパーでも手に入るようになりました。


■グルテンが腸の炎症やアレルギーの原因に


実際、いつもの食事をグルテンフリーに変えただけで、副腎疲労の症状が改善する人も少なくありません。


それは、グルテンが腸にとっては炎症やアレルギーをもたらす“毒”だから。


もちろん、毒に対する感受性には個人差があります。「私は小麦にアレルギーがないから大丈夫」という人もいるでしょう。


ただ、本人が気づいていないだけで、グルテン過敏症の人は潜在的に多いものです。自覚症状がなく、消化に何も問題がなくても、集中力の低下、慢性疲労、下痢や便秘、肌荒れ、重いPMS(月経前症候群)や生理不順、不妊症、ぜんそくなど、人によってさまざまな症状が出るということは覚えておきましょう。


■実は腸や副腎に良くない「乳製品」


腸の状態を整えるために、もうひとつ注意したい食品が「乳製品」です。


あなたは、毎日ヨーグルトを食べたり、牛乳、バター、チーズがたっぷり入った料理やお菓子をよく口にしていませんか。


これら乳製品に含まれる「カゼイン」というたんぱく質も、腸や副腎にとって有害なもの。アレルギーの原因になり、花粉症やめまい、アトピー性皮膚炎や下痢、便秘などを引き起こす危険性があります。


とくに日本人は、遺伝的に乳糖(ラクトース)を分解する能力が低い「乳糖不耐症」が多いといわれています。


牛乳を飲むと、お腹がゴロゴロして下痢を起こすというのが典型的な症状ですが、乳糖不耐症だからといって、必ずしも症状が表れるわけではありません。


写真=iStock.com/kitzcorner
牛乳を飲むと、お腹がゴロゴロして下痢を起こす(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kitzcorner

自分がそうだとは気づかない人がほとんどなのです。


だからこそ、「私は牛乳飲んでも平気だし」「牛乳大好きだし」と思っている人こそ要注意。


■麻薬のような強い中毒作用がある


カゼインには、「カソモルフィン」といって、麻薬のような強い中毒作用があるため、食べ続けるともっと食べたくなる傾向があります。


しかも困ったことに、患者さんのなかでも毎日、中毒のように牛乳を飲みたがる人、ヨーグルトやチーズ好きほど体内に問題を抱えているケースが多いのです。


ためしに2週間やめてみると、体調がよくなったことに気づくのでわかります。


これは、小麦粉のグルテンも同じです。グルテンにもカゼイン同様に中毒性があるため、パンや麺類はやめられない、止まらないのです。


クリニックでも、グルテンフリー、カゼインフリーについてお話しすると、まず開口一番、「食べるものがなくなってしまいます」「それでは死んでしまいます」と訴えられます。


■和食を食べていれば問題ない


でも、実は日本人こそグルテンフリーとカゼインフリーは実践しやすいのです。


パン食ではなく、なるべく米食にする。乳製品は豆乳製品に代用する。便秘にいい乳酸菌はヨーグルトからではなく、みそや漬物などの植物性食品からとる。カルシウムは牛乳からではなく、小魚から……。


そうです! 和食を食べていれば間違いありません。パンやパスタ、ピザが大好きな欧米人は大変苦労しています。



本間良子、本間龍介『抗加齢専門医が教える 食事は「引き算」に変えなさい』(青春出版社)

実際、最初はとまどっていた患者さんも、1カ月ほどたつと、お腹の調子がよくなり、胃も強くなるのか、肉が食べられなかった人でも食べられるようになります。


また、意外なところでは集中力がアップしたり、貧血が改善する方もいます。それだけ、グルテンとカゼインが目に見えない炎症を起こしていたのでしょう。


イメージ的には若い世代より中高年世代のほうが和食を好みそうですが、食生活を調べると、朝食をパンと牛乳、ヨーグルト、シリアルなどで済ませる高齢世帯が増えています。


年をとるほど朝食づくりが面倒になり、ご飯とおみそ汁をつくるより、日持ちのするパンとコーヒーにしたほうがカンタンなのかもしれません。


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本間 良子(ほんま・りょうこ)
医師、スクエアクリニック院長
米国発達障害児バイオロジカル治療学会フェロー。聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学病院総合診療内科入局。副腎疲労の夫をサポートした経験を活かし、米国で学んだ最先端医療に基づく栄養指導もおこなう。また、日本で唯一、副腎疲労、グルテンフリー外来を開設している。
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本間 龍介(ほんま・りゅうすけ)
医師、スクエアクリニック副院長
米国抗加齢医学会フェロー。日本抗加齢医学会専門医・評議員。医学博士。聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学院医学研究科修了。自身が原因不明の重度の疲労感に苦しんだことをきっかけに、アドレナル・ファティーグ(副腎疲労)の提唱者であるウィルソン博士に夫婦で師事。帰国後、日本初の副腎疲労外来を開設。近年は、副腎疲労治療を応用し、認知症状や発達障害など脳のトラブルにも治療効果を上げている。
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(医師、スクエアクリニック院長 本間 良子、医師、スクエアクリニック副院長 本間 龍介)

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