間違った食べ方では「鉛」になる…ビジネスパーソンが積極的に食べるべき「老けないフルーツ」ベスト5

2024年3月25日(月)9時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/inaquim

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ビジネスパーソンは、どんな食生活を心がけるべきなのか。『老けない最強食』(文春新書)を書いたジャーナリストの笹井恵里子さんは「ビタミンCの豊富な果物を積極的に食べたほうがいい。特に朝に食べることが重要で、間違って夜に食べると逆効果になる恐れがある」という——。
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■じつは「一日100mg」では足りないビタミンC


毎日果物を食べる習慣はあるだろうか。元気が出ない時、または気合いで乗り切りたい時、ビタミンが豊富な果物は心身を回復させる助けになる。もちろん「老けない作用」も、だ。


ビタミンは三大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)の代謝を助け、糖質や脂質からエネルギーを生み出す酵素の働きを良くする。全部で13種類のビタミン(ビタミンA、C、D、E、K、8種類のビタミンB群)があるが、最もアンチエイジングに欠かせないのはビタミンC。


ビタミンCが不足すると、シミのもとになるメラニン色素の合成が進み、肌にシミやソバカスができやすくなったり、疲労感が強くなったり、体内の解毒作用もうまく働かない。



笹井恵里子『老けない最強食』(文春新書)

日本臨床栄養協会理事を務める管理栄養士の早川麻理子氏(名古屋経済大学准教授)は「こまめにしっかり摂ることが重要」と強調する。


「ビタミンCは細胞の酸化を防ぎ、体を構成する重要なタンパク質であるコラーゲンの合成を助け、紫外線で損傷した皮膚を修復します。疲労感を回復させ、免疫力を強化するなど多くの役割を担っていますが、通常ビタミンCは摂取から4時間ほどで体外に排出されてしまうのです。


さらに日焼けのような炎症が起きれば、あっという間に枯渇してしまいます。厚生労働省はビタミンCの摂取量として一日100mgを推奨していますが、それではとても足りないことが少なくありません」


■「含有量が圧倒的」堂々の第1位は?


特に強いストレスを抱えていたり、運動している人や喫煙習慣があったりする人はビタミンCが一層消耗されやすい状態。だから果物で摂取したい。ビタミンCは加熱で損失してしまうが、果物なら生のまま食べられるから100%摂取できる。豊富に含まれる果物や、食するのに適した時間帯を紹介しよう。


「ビタミンCの王様がいちご、女王様がレモン」と、甲南大学名誉教授の田中修氏がたとえる。


「いちごなら8粒ほど食べれば、一日に必要といわれる100mgのビタミンCをほぼ摂取できます。そしていちごやレモンを上回るのが柿」


ビタミンCの含有量が多い果物を次項に挙げた。ビタミンCが豊富な果物の堂々第1位は、ゴールドキウイ。グリーンキウイのビタミンC含有量も100gあたり71mgとランキング2位だが、ゴールドキウイはその倍の140mgも含まれるのだ。


ただしグリーンキウイのほうが食物繊維が豊富だから、コレステロールや血糖値コントロールの効果が高い。また腸内環境を整える働きも強いだろう。ランキング3位の柿は、前回の〈3位はホウレン草、2位は春菊、1位は…同じ緑色でも栄養素がケタ違い「老けない最強野菜」の名前〉でも紹介したβカロテンが豊富。ただし、糖分が多いため糖尿病の人などは食べすぎに注意しよう。


■朝は金、昼は銀、夕方は鉄、夜は鉛


【ビタミンCが豊富な果物・ベスト5】
1位 ゴールドキウイ 140mg
2位 グリーンキウイ 71mg
3位 柿(甘がき) 70mg
4位 いちご 62mg
5位 ネーブル 60mg
※6位・パパイア50mg、7位・きんかん49mg、8位・不知火48mg、9位・きよみ42mg、10位・ポンカン、はっさく40mg。ほかアセロラ(甘味種)800mg、グァバ220mgなどもある
※可食部100gあたりのビタミンC量をもとに独自に作成。飲料や香りづけに用いることの多い、すだち、ゆず、ライム、レモンは除外。
※『老けない最強食』(文春新書)より

果物を食べる時間帯は圧倒的に「日中」がいい。朝の果物は金、昼から15時までは銀、15時から18時までは鉄、18時以降は鉛といわれている。


「夜に食べるとエネルギーに変換されやすい果物の糖質が消費できず、体内に脂肪として蓄えられる可能性がある」と田中氏。果物に含まれる果糖は、体の中で中性脂肪に変わりやすいのだ。


「また、果物には体を冷やす働きがあるため、夜より朝食べるほうがいい」


体を冷やして血流が悪くなれば、全身に栄養素が行き届かなくなり、血色などの“見た目”に影響する。


■ビジネスパーソンに果物は必須


そしてビタミンCは「空腹時よりも満腹に近い時に摂取したほうが体内にとどまりやすい」と、管理栄養士の望月理恵子氏が補足する。


本人提供
望月理恵子氏 - 本人提供

「ですから食後に果物を食べるのも一案です。中でもキウイはタンパク質の分解酵素(アクチニジン)を含むので、肉類を食べた後のデザートに適していますね」


望月氏は「ビジネスパーソンに果物は必須」とも言う。


「オランダで会社員約1万人を対象とした研究では、野菜や果実を摂取する頻度が少ない人において労働生産性が30%以上低くなるリスクがあるという結果でした。また別の研究で、野菜や果物の摂取量が多い人は自己効力感(自信)や幸福感が高く、心理的苦痛のレベルが低いという報告もあります。


特にキウイやいちごは血糖値の急上昇を抑える食物繊維が多く、メタボ予防になります。ビタミンCとEは疲労回復をサポートするでしょう。パソコン作業が続く人は食物繊維が多く、眼精疲労軽減作用のあるアントシアニンを含むブルーベリーをそのまま、もしくはヨーグルトに入れてもいいですね」


■ゆずの仲間「ジャバラ」は花粉症に効果アリ


柑橘系のデコポン、夏みかん、はっさく、グレープフルーツもクエン酸が多く、疲労回復に働く。またこの時期にお勧めなのが、「ジャバラ」という果実。ゆずやかぼすの仲間であるジャバラは和歌山県北山村が原産で、花粉症の症状緩和に効果があるといわれている。


岐阜大学の調査によると、花粉症の症状がある男女15人に、ジャバラ果汁5ミリリットルを朝、夕2回、2〜4週間にわたって摂取してもらったところ症状が改善されたと報告されている。


「ジャバラに含まれているナリルチンという成分がポリフェノールの一種で、抗炎症作用があるのです。ナリルチンはヒスタミンの分泌を抑制し、アレルギー症状を緩和するようです。


今が旬の伊予柑、4〜5月が旬の日本のグレープフルーツなど多くの柑橘類に含まれますが、群を抜いて多いのがジャバラ。特に皮に多く含まれるので、皮ごとの摂取がお勧めです。皮を刻んでサラダに加える、お刺身を食べる際の醤油や、紅茶に皮をすって入れるなどするといいでしょう」(望月氏)


沖縄県産として知られる柑橘類「シークワーサー」に豊富なヘスペリジンやノビレチンも花粉症の症状を抑える。ヘスペリジンはほかに青みかんやレモンなどの柑橘類、ノビレチンはぽんかんやカボスに含まれる。つまりは柑橘類は全般的に花粉症の症状緩和が期待できるということだ。


写真=iStock.com/IgorDutina
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/IgorDutina

■不飽和脂肪酸が摂れる唯一の果物は


柑橘類といえば、温州みかんは“肝臓の疲労”に効果があることが、農林水産省所管の研究機関「農研機構」の研究でわかっている。


「その研究は、毎日1本の大瓶ビールを飲んでいても、一日に2〜3個の温州みかんを食べていると、肝機能の指標であるγ-GTP値が正常値に保たれるというものです。これはみかんに含まれているオレンジ色の色素のもと、β-クリプトキサンチン(抗酸化物質カロテノイドの一種)の効果です」(田中氏)


ちなみに、似たような色のビワも抗酸化物質のカロテンやβ-クリプトキサンチンが多く、老化を防止し、疲労を回復して視力を保つという。


また格段にビタミンCが多いわけではないが、約20種類ものビタミンとミネラルが含まれる「アボカド」も若返りには欠かせない。なんと「世界一栄養価の高い果物」としてギネスブックにも認定されている。


「糖質や脂質の代謝を助ける水溶性ビタミンのナイアシンやビタミンB群を多く含むため、新陳代謝を促進し、肌の健康に役立ちます。若返りビタミンといわれるビタミンEも豊富で、骨や歯、筋肉の発達を助けるんです。青魚に多い不飽和脂肪酸を含む唯一の果物でもあり、血管にも良い効果があります」(望月氏)


■果物はできるだけ「旬のもの」を選ぼう


そのほかランキング外だが「りんご」にも老けない作用が。


「りんごには食物繊維や抗酸化力が高いポリフェノールが多く含まれています。私はよく『過保護に食べないようにしましょう』と説明するのですが、りんごなら皮に抗酸化成分が含まれているので、よく洗ってから皮ごといただきたいですね。米国内分泌学会によると、皮や芯まで含めて果物全体を食べている人は、半分未満しか食べていない人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが36%低いことがわかっています」


また青リンゴよりも、赤りんごのほうがポリフェノールが多く、老化や肥満予防に効果的。空気に触れて色が茶色くなる前に食べよう。6月頃から旬を迎えるイチジクも、ポリフェノールを多く含み、カリウムやカルシウムなどのミネラルも豊富で“不老長寿の果物”といわれる。


最後に、旬のもののほうが栄養効果が高くなる。だから冬から春にかけてはみかん、いちご、りんご、そして国産のキウイを。夏はイチジクや、外国産のキウイ、秋は柿から“老けない力”を補給するといいだろう。


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笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)、『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)、プレジデントオンラインでの人気連載「こんな家に住んでいると人は死にます」に加筆した『潜入・ゴミ屋敷 孤立社会が生む新しい病』(中公新書ラクレ)など。新著に、『野良猫たちの命をつなぐ 獣医モコ先生の決意』(金の星社)と『老けない最強食』(文春新書)がある。ニッポン放送「ドクターズボイス 根拠ある健康医療情報に迫る」でパーソナリティを務める。
過去放送分は、番組HPより聴取可能。
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(ジャーナリスト 笹井 恵里子)

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