「猫の鳴き声」「猫のパジャマ」とは? 猫にまつわる英語イディオム (2)
2025年4月1日(火)11時54分 財経新聞
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意味はわからなくても耳に残る、一種の音で感じる表現だが、なぜ猫やパジャマといった奇妙な取り合わせが格別に良いという意味に転じたのだろうか。
■The Cat’s Meow
まず「the cat’s meow」を見ていこう。直訳すれば「猫の鳴き声」だが、1920年代の俗語としては「最高にイケている」「目を見張るようなもの」という意味を持つ。
この時代、"cat" という語はヒップでしゃれた若者、特に音楽やファッションに敏感な人物を指すスラングとしてすでに存在していた。そんな猫の「meow(鳴き声)」が象徴的に「魅力あふれるもの」へと転化したわけだ。
流行のきっかけを作った人物としてしばしば言及されるのが、アメリカの新聞漫画家トーマス・A・ドーガン(Thomas A. Dorgan)である。
彼は「for crying out loud(まったくもう!)」「dumbbell(まぬけ)」など数々のスラングを世に広めた人物で、「the cat’s meow」も彼の考案と考えられている。
■The Cat’s Pajamas
もう一つの表現、「the cat’s pajamas」も意味としては「the cat’s meow」とほぼ同義で、「一級品」や「飛び抜けて素晴らしいもの」を指す。
なぜ猫がパジャマを着ているのか、そもそもなぜパジャマが出てくるのかと不思議に思うかもしれないが、実は、パジャマは1920年代にアメリカで普及し始めた比較的新しいスタイルの寝間着であり、当時としてはファッショナブルな存在だった。
つまり、「猫」というトレンドの象徴的存在と、「パジャマ」という流行の最先端を組み合わせた言葉遊びとして生まれた可能性が高い。猫がパジャマを着ている姿が視覚的に斬新で、愛らしく、しかも少しおしゃれ、というニュアンスを伴っていたのだろう。
「the cat’s meow」同様、この表現もトーマス・ドーガンの作とされることが多いが、確たる証拠は残されていない。ただ1926年には、『The Cat’s Pajamas』という映画が制作されているので、その時点ではすでに十分一般化していた表現であったことがうかがえる。
■使用例
どちらの表現も現在ではやや時代がかった響きを持っており、日常会話で耳にすることは少なくなった。しかしその古風さこそが魅力でもあり、わざとノスタルジックな雰囲気を出したいときやユーモラスに表現したいときなど、今でも十分に通用する。
・That new jazz club downtown is really the cat’s meow.
(あの新しいジャズクラブ、マジで最高だよ)
・She walked in wearing a red velvet dress. She was absolutely the cat’s pajamas.
(彼女が赤いベルベットのドレスで現れて、まさに目を奪われるほどだったよ)