だから中学受験はコスパが悪い…学歴研究家が「公立高校→GMARCH→大手企業」が人生の最強ルートと説くワケ

2024年4月11日(木)15時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

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人生戦略上コスパが高いのはどんな学歴か。学歴研究家のじゅそうけんさんは「私は常々、『公立高校からGMARCHに受かって大手企業に就職して無難に生きる人生がコスパ最強』と考えている。35歳くらいで誰でも年収1000万円を超え、社会的信頼も抜群の大手企業サラリーマンはこれ以上ない選択肢だ。そんな日系大手企業で活躍するのは、GMARCH・関関同立といった『高学歴の最低ライン』の大学を卒業してきた人たちがボリュームゾーンである。彼らの要領の良さこそが、社会に出てから成功を収める鍵になる」という——。

※本稿は、じゅそうけん『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。


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■「超一流大に進む人から燃え尽きまで」振れ幅の大きい中学受験組


よくある中学受験組の失敗例として、中学受験で無双するもその後堕落し、大学受験で失敗して、二番手三番手あたりの公立高校に進んだ層にも負けてしまう、といった事例を聞きます。


特に男子に多いようで、開成などの超トップ校ではさすがにそこまで落ちぶれることはないようですが、それ未満の私立中高になると、GMARCHや日東駒専でも滑り止まらずさらにマイナーな大学へ進学してしまうこともあるようです。


中学受験組が堕落してしまう要因としては、「受験燃え尽き」と「英語力不足」の2点が挙げられるでしょう。


受験燃え尽きとはイメージの通り、小学生時代から詰め込み学習をしてきた弊害で、中学進学以降やる気がなくなってしまったり、反動で遊び呆けてしまったりする現象のことです。


難関の中学入試を突破しても、その後6年間遊び続けたらさすがに大学受験で結果を残すことは難しいでしょう。


また中学受験組の「英語力不足」もよくある失敗例です。中学受験では英語が課されず、その後中高一貫のため高校入試も経験しないので、英語の試験は大学入試が初めてという人が普通です。


特に英語の配点が高い私立文系大学では、英語が苦手というのは致命傷になります。早慶はもちろん、GMARCHでも滑り止まらず、さらにマイナーな大学へ進学することになってしまう中学受験組の話をよく耳にします。


対して高校受験組は、大学受験の3年前に高校受験を経験しているため、中学受験で堕落した組のように6年間遊び呆けてしまうといった事態にはなりません。


そのためある程度レベルの高い公立高校などに進学した場合は、GMARCHでも滑り止まらず、といった事例は少ないようです。高校受験で英語を経験しているのも大きいと思います。


超一流大に進む人から、失敗してしまう人までの振れ幅が大きいのが中学受験組、滑ってもGMARCHくらいで滑り止まる、粒が揃っている印象なのが公立高校受験組、と言えそうです。


■中学受験からGMARCHはコスパが悪い


中学受験か高校受験かを考えている親御さんの中には、「最低でも最終学歴はGMARCHくらいになってほしい」と考える方も多いと思います。


GMARCHとは言わずと知れた学習院・明治・青学・立教・中央・法政の頭文字を取った大学群で、「高学歴の最低ライン」として知られています。


最終的にGMARCHくらいの学歴を獲得してほしいと考えた場合、中学受験はオーバーワークでコスパが悪いというのが私の考えです。


GMARCHは年々推薦の枠が増えていることや、少子化の影響で一般入試の倍率が今後も下がり続けると考えられています。そのため中学受験で苦労して、中高一貫でガチガチに対策しなくても受かるでしょう。


また中学受験でGMARCHの付属校に合格し、「最低でもGMARCH」の権利を押さえておきたいと考える方もいるかもしれませんが、中学受験の段階で大学進学先を決定してしまうのは時期尚早でしょう。


中学受験でGMARCHの各付属校に受かる能力があれば、大学受験時にはさらに上位の早慶や東京一工・旧帝へ進学できる可能性も十分あります。


写真=iStock.com/maroke
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■公立ルートならかなりの数の生徒が東大や早慶を狙える


実際、GMARCH付属校の中学受験の偏差値を見ると、東大合格者10人〜、早慶合格者100人〜といった大学受験実績を誇る進学校と肩を並べていることがわかります。


例えば、明大明治男子の日能研偏差値は60で、城北中、本郷中、芝中といった進学校と同じレベル帯ですが、これらの進学校は例年10名程度の東大合格者を輩出し、早慶に至っては200名程度の合格者を出す年度もあります。


進学校では大学受験という荒波を乗り越える必要がありますが、GMARCH附属校合格者のポテンシャルを考えると、かなりの数の生徒が東大早慶を狙えるはずだということです。


さらにGMARCHに受かりやすいのは、実は私立中高でなく公立高校、というデータもあります。明治大学の付属高校を除いた進学者数ランキングでは、1位神奈川県立川和高校、2位神奈川県立柏陽高校となっており、ともに公立進学校です。


理由としては明治大学などのGMARCH文系入試では、私大英語と呼ばれる英語の攻略が鍵となっており、高校入試で英語を勉強した公立進学校組が(入試で英語を経験していない)中学入試組に引けを取らないから、と考えられます(東大や上位医学部クラスになると中高一貫の方が有利というのは否めませんが)。


少子化と一般選抜以外の入試方式導入(総合型選抜など)によってGMARCHの一般入試難易度が年々下がっていくことも予想され、GMARCHに入るなら公立高校から進学するのが最もコスパの良いルートと考えられます。


高校受験で英語を含めた5教科を極め、なるべく難易度の高い公立高校へ進み、大学受験においては「英国社」の3科目に絞った対策をすることで、GMARCHの合格には十分手が届くと考えられます。


■公立高校からGMARCHに入って大手企業がコスパ最強説


私が常々思っていることで、「公立高校からGMARCHに受かって大手企業に就職して無難に生きる人生がコスパ最強なんじゃね?」というものがあります。


一瞬だけ就職したM銀行での同僚・上司の様子や、大手JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー。日本の伝統的な企業を指す。主にネットスラング)で働く友人たちを見ていて感じることです。


まず大手JTCで働くことについてですが、私はなんだかんだ言って今の日本ではJTC勤務が勝ち組であると感じます。


ネットでは「大企業はオワコン!」「時代はフリーランス!」などと叫ばれていますが、大企業勤めは全然オワコンではありません。私のいたM銀行でも、35歳あたりまで働き続ければ誰でも年収1000万円を超えますし、社会的信頼も抜群です。


「大企業はオワコン!」を信じて会社を辞めた人間のうち、一体何%が年収1000万円に到達できるでしょうか。


大手企業から大手企業に転職した人を除き、私のように曖昧なフリーランス・起業家になってしまった人は、そのほとんどが元いたJTCの待遇を超えられないのが現実でしょう。


「普通に」平均より多めの給料をもらい、「普通に」家庭を持って「普通の」幸せを享受したい人にとって、大手企業サラリーマンはこれ以上ない選択肢なのです。


そんな日系大手企業で活躍するのは、GMARCH・関関同立(かんかんどうりつ/関西、関西学院、同志社、立命館)といった「高学歴の最低ライン」の大学を卒業してきた人たちがボリュームゾーンです。


彼ら・彼女らは学問的興味がこれといって高いというわけでもなく、社会的地位や人生の夏休みを求めて大学に進学し、「楽単」と呼ばれるハードルの低い科目を受講し、サークルで遊び呆けて就職活動だけやる気を出します。


「勉強だけできるチー牛」が理系の国立大学に進学し、就活がうまくいかずに苦戦しているケースも少なくないことを考えると、なんと華やかでコスパの良い大学生活でしょうか。


GMARCH・関関同立生の要領の良さこそが、社会に出てから成功を収める鍵なのかもしれません。


■内申点を取れる人は社会で活躍できる可能性が高い


また社会に出て活躍できる人の特徴として、「中高生時代の内申点が高かった」というのも指標になると感じます。


大手JTCでは決められた仕事を全てそつなく、平均点以上にこなす能力が求められますが、これはまさしく中高時代の「内申点」を獲得する営みと同じです。


中学校でオール5に近い内申点を獲得した優等生は、そのまま公立進学高校へ進学します。高校では勉強にも取り組みながら、部活や文化祭にも精を出すことでしょう。



じゅそうけん『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)

受験では東大・早慶といった難関国立・トップ私大には受からずとも、GMARCH・関関同立あたりには手堅く合格します。実はGMARCHの合格者に公立高校出身者が多いのは先にも述べた通りです。


中高時代に鍛えた勉強以外の能力や、課外活動を楽しむ能力を活かし、大学時代も青春を謳歌し、そのまま大手企業に内定していくでしょう。


社会人以降に求められるのは、勉強だけをガリガリと進めてきた陰キャではなく、テストは要領良く突破し、勉強以外も楽しんできたリア充です。


というわけで私は、「公立高校からGMARCHに受かって大手企業に就職して無難に生きる人生がコスパ最強なんじゃね?」と考えています。


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じゅそうけん
学歴研究家
受験総合研究所、略して「じゅそうけん」の名前で活動する学歴研究家。本名は伊藤滉一郎。じゅそうけん合同会社代表。「じゅそうけんオンライン塾」を運営する傍ら、X(旧Twitter)をはじめとするSNSコンサルティングサービスも展開する。早稲田大学を卒業後、大手金融機関に就職。その後、人生をかけて学歴と向き合うことを決意し退職。高学歴1000人以上への受験に関するインタビューや独自のリサーチで得た情報を、X(旧Twitter)やYouTube、Webメディアなどで発信している。著書に『中学受験 子どもの人生を本気で考えた受験校選び戦略』(KADOKAWA)、『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)がある。
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(学歴研究家 じゅそうけん)

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