株式投資で考える日本のインフラ老朽化
2025年4月14日(月)15時58分 財経新聞
1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故で、陥没の原因が下水道管の破損と伝えられてから、日本のインフラ老朽化が国民生活・経済へ与えている影響に注目が集まるようになった。
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周辺地域での排水自粛や、ガスの供給停止など、生活への影響が懸念され、八潮市のケースでは工事期間も長期化すると見られている。これは日本全国どこででも起こり得ると見られており、対岸の火事ではない。
世界有数のインフラ大国の日本だが、災害大国でもあり、人口減少・少子高齢化など大きな課題も抱える。
インフラの老朽化は、今後どのように向き合っていくべきなのか?
●日本のインフラの課題
日本のインフラは、1950年〜1970年の高度経済成長期に一気に整備・普及されたものがベースとなっている。インフラの耐用年数の目安は、50年とされている。
少し古いデータだが、2018年度に国土交通省が試算した、道路・下水道・河川・港湾・空港などの維持管理・更新にかかる費用では、2048年までの30年間で195兆円が見積もられている。
財源は限られており、インフラのハード面だけでなく、AIやICTを活用した点検などソフト面の革新も課題となっている。
石破首相は6月をめどに策定する国土強靭化計画に、「下水道の老朽化対策」を盛り込むと見られる。
●株式市場も注目
八潮市の事故を受けて、国土交通省は全国の下水道管理者に緊急点検を要請した。
上下水道のコンサルタントを手掛けるNJSや日水コンの株価が急騰し、下水道向けヒューム管大手の日本ヒュームや水道用鉄管の日本鋳鉄管、栗本鐵工所などの株も買われた。
全国の下水道管の総延長は49万キロメートル(国土交通省2022年度末)にも上り、22年度にはすでに道路陥没事故が全国で1万件発生していた。
これまでは、異変が起きてから対応する対症療法的な形で整備してきたが、予防的に点検・整備を行うことが求められる。対応には数十年と、長い年月を要すことになる。
ただし、日本では台風や地震など、大きな災害が起きた時には危機感が出て、インフラ整備に関心が集まるが、数年で忘れられて長続きしないことも多い。
株式投資の視点からも、どこまでインフラ銘柄に関心が続くのかは注視する必要がある。