3位は味の素、2位はサントリー食品インターナショナル、1位は…平均年収が高い「食料品業界」ランキング2024

2025年4月17日(木)9時15分 プレジデント社

プレジデントオンラインは、全上場企業の「平均年収ランキング(2024年度版)」を作成した。調査対象会社3744社のうち、「食料品」に分類される企業は123社だった。1位はアサヒグループの1232.6万円だった。平均年収ランキング「食料品業界」編をお届けする——。(第7回)

■1位はアサヒグループの1232.6万円


プレジデントオンラインは、東証33業種の「食料品」に分類される企業123社の「社員平均年収ランキング(2024年版)」を作成した。


基にしたデータは直近の年次決算期における有価証券報告書(2023年10月期〜2024年9月期)。データ抽出では、経済・金融データサービスの株式会社アイ・エヌ情報センターの協力を得た。


今回調査した食料品業に属する企業のうち、トップ10社の従業員平均年収額は1003.0万円だった。表にしたランキング123位までの従業員平均年収額は644.0万円。ちなみに全国平均(3744社)は652.2万円となっている。


■今後の課題は「酒離れ」


1位はアサヒグループホールディングスだった。前年比で2.9万円と小幅の増額にとどまったものの、平均年収は1232.6万円。2位との差は100万円超で、大きく差を付けた。


同社は酒類で独自の商品を続々と打ち出しており、2023年度は缶を開けるとレモンスライスが浮き上がってくる「未来のレモンサワー」が話題を呼んだ。これは2021年に発売した、缶のふたをあけると泡が出てジョッキでビールを飲むような体験ができる、「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」の技術を応用している。RTD(Ready to Drink)市場の新たな付加価値訴求に成功している。


アサヒグループホールディングスは売り上げの多くを酒類事業が占めるが、近年は酒離れが進む。国税庁の「酒レポート」(令和6年6月)によると、成人1人当たりの酒類消費数量はここ30年ほどで8割弱に減少。課税数量も、1999年度の1017キロリットルをピークに2022年度は816キロリットルまで縮小した。


こうした環境変化を背景に、同社ではノンアルコール飲料への注力も進む。2022年にアサヒビールが電通デジタルとスマドリ社を立ち上げ、飲み方の多様性を掲げるプロジェクト「スマートドリンキング(スマドリ)」に取り組んでいる。


■「タバコ離れ」でも好調なJT


2位はサントリー食品インターナショナルで、平均年収は1114.2万円(前年比16.0万円減)。2023年度は「サントリー天然水」が好調で、年間販売数量が前年比7%増となる1億3830万ケースを記録した。とりわけ1リットルのペットボトルが大幅に売れ、新たなニーズに着目して2024年に同容量のボトルを細長い形状にリニューアルしている。


3位は味の素がランクインした。前年比で25.2万円増加して平均年収は1072.7万円だった。4位は明治ホールディングスで、平均年収は1036.8万円。前年からの増加幅は23,2万円。年収が1000万円を超えたのはここまで4社だった。


5位のキリンホールディングスは、前年比13.9万円増の956.5万円。グループ事業利益のほぼ半数を酒類が占める半面、近年は医療・ヘルスサイエンス事業の存在感が高まっている。


6位は不二製油グループ本社。平均年収は940.3万円(前年比0.5万円減)だ。植物性油脂や業務チョコレートなどを手掛けており、2024年3月期は油脂原料価格の安定や、チョコレートの価格転嫁が進み増収増益となった。


7位の日本たばこ産業は「嫌煙」トレンドが逆風ながら、2023年度のたばこ関連商品売り上げは増加している。特に加熱式たばこを含むRRP(Reduced-Risk Products)商品群は前年度から11.8%増の2ケタ成長を見せた。台湾やフィリピン、イタリアといった海外でも一定のシェアを獲得している。平均年収は、前年比23.1万円増の927.0万円。


■元DeNA社員立ち上げ会社が9位に


8位のDM三井製糖ホールディングスは、2021年に三井製糖と大日本明治製糖が合併して誕生した企業だ。製糖業界のトップ2という点もさることながら、それぞれ三井系、三菱系に属する企業で「呉越同舟」だったことも話題を呼んだ。平均年収は926.4万円で、前年から7.7万円増えた。


9位はベースフード(916.3万円、前年比49.8万円増)。ITベンチャー・DeNA出身の創業者が2016年に立ち上げた企業だ。歴史の長い企業が上位に名を連ねる中、創業から10年未満でトップ10入りした背景には「健康ブーム」もありそうだ。


同社の代表商品「BASE FOOD」は人間が1日に必要とする栄養素の3分の1をとれることから「完全栄養食」をうたう。コロナ禍で健康を気にする人が増えたとともに、タイパ(タイムパフォーマンス)需要の高まりを追い風に売り上げを伸ばしている。


画像=ベースフード株式会社
2025年には、1食に必要な33種類の栄養素がすべて摂れる焼きそばも登場。画像は「BASE YAKISOBA」(ベースヤキソバ)。 - 画像=ベースフード株式会社

■ダイドーは142万円減


10位はヤクルト本社。平均年収は前年比56.3万円増の907.7万円だった。「ヤクルト1000」ブームで大幅な増収増益を果たした2022年度から売り上げは成長させたものの、利益面でアジア・オセアニア部門が大きく足を引っ張った。


前年からの増加幅を見ると、飼料関係の2社が上位を占めた。37位の中部飼料(722.5万円、前年比157.5万円増加)、101位の日和産業(500.0万円、同100.0万円増加)がいずれも3ケタの年収アップを果たしている。両社とも主力の飼料事業は売り上げが減少したものの、原材料価格の落ち着きで大幅な増益となった企業だ。


反対に大幅減少した企業のうち、3ケタ減も2社だった。


ダイドーグループホールディングスは142.9万円減少し、735.8万円だった。ただし有価証券報告書を見ると、従業員数に平均年収を乗じて算出した「総支払額」は6000万円近く伸びている。2023年度は国内飲料事業で新会社を設立しており、関連人員が増えた分平均年収としては押し下げられている可能性がある。


ワースト2位のファーマフーズは1997年に京都で誕生した企業で、創薬事業や健康食品、医薬部外品の販売などを手掛ける。平均年収は530万円で、前年から100.0万円減少した。こちらは前年から総支払額が4500万円ほど減少している。


(プレジデントオンライン編集部 図版作成=大橋昭一)

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