失敗続きで、自分にがっかりしたときに読む1冊

2024年4月20日(土)6時0分 ダイヤモンドオンライン

失敗続きで、自分にがっかりしたときに読む1冊

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「忙しすぎて本を読む時間がない」「1冊読み切るのに時間がかかる」「読んでも読んでも身につかない」——そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。本を読めばいいことはわかっているのに、自主的に読めない人もいるでしょう。何の本をどう読み、どう活かしていくか——働くうえで必携のビジネススキルを良書から抜き出したのが『ひと目でわかる! 見るだけ読書』。本書は、コスパやタイパを重視する現代的な読書スタイルを重視する人にとっても、魅力的な読み解き&活用法です。たった「紙1枚」を見るだけで本の最も大事なポイントが圧倒的なわかりやすさで理解でき、用意したワーク1枚を埋めるだけで即スキル化できる1冊。それも1万冊の読書体験と1万人を教えてきた社会人教育の経験から、絶対に読んでほしい24冊+αを紹介。ただ、エッセンスをまとめただけでなく、読後には、紹介した本が有機的につながっていく仕掛けがあなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。

Photo: Adobe Stock

成長の大半はうまくいかない日々の積み重ねである

「成長」の本質について学び取れる必読書、最後はユニクロの創業者・柳井正さんの『一勝九敗』を選びました。本来は経営書に分類される本ですが、私自身は「成長」という観点での重要な学びを得ることができました。

 マネジメント層ではない読者であっても、個人の仕事やキャリア・人生に活かすつもりで能動的に「ジブンゴト化」しながら読めば、多くの学びが得られる1冊です。

 さっそくですが、あとがきの柳井さんの言葉を引用します。

 当社は今まで、失敗を繰り返しながら成長してきた。考えて実行して、失敗したら引き返し、また挑戦する。失敗を失敗と認めるのは、自分の行動結果を客観的に分析・評価することができないと難しい。失敗を失敗と認めずにいると、だらだら続けて傷口が広がってしまう。無駄なことだ。
 世間一般には、ぼくは成功者と見られているようだが、自分では違うと思っている。(中略)実は『一勝九敗』の人生なのだ。勝率でいうと一割しかない。

 読んでみていかがでしょうか。

「成長」という観点で最後に共有したい本質は、「成長すべく日々何かに取り組む=大半はできない/結果がでないことに直面する日々になる」という点です。

「できる」までには膨大な数の「できない」を積み重ねていく必要があるので、失敗を失敗と認め(自己欺瞞=自己正当化に陥らない)、客観的に分析・評価し(セルフフィードバック)、また挑戦を続けていく必要があるわけです。

 とはいえ、うまくいかない日々が大半というのはしんどいものです。

 柳井さんはなぜ、「一勝九敗」レベルでも継続できるのでしょうか。

 もう1つ、本から響いた場所を引用してみます。

 ぼくは、わがままで欠点の多い人間だとは思うが、「自分自身を客観的に分析・評価できる」という長所を持っている。
 以前、当社の役員と部長全員で360度評価というものをやってみた。自分自身の能力について、自己評価したものと周囲の人たちに評価してもらったものを比較する。ぼくの結果は、両者が「ほとんど同じ」だった。ぼく以外の人たちは、自己評価と他者評価がそうとう乖離(かいり)していた。ぼくは自信過剰になることもないかわりに、卑下することもない性格のようだ。ぼくが従来の経営者タイプと違うように見られるとすれば、この点が大きいかもしれない。
 別に自慢したくて述べたわけではない。この「自分自身を客観的に分析・評価できる」ことは本来、経営者に必要な資質なのではないか、と思うからだ。

「自分自身を客観的に分析・評価できる」能力に長けているからこそ、淡々と必要な日々を積み重ねていける。

 柳井さんはこの能力を「経営者に必要な資質」と言っていますが、これが才能ではなく努力で獲得可能だとするのが、『超一流になるのは才能か努力か』や『マインドセット』で得た学びでした。実際、柳井さん自身も『経営者になるためのノート』(PHP研究所)という育成本を出していますし、私自身も、自分が書いた「1枚」を眺める習慣によって「客観視」能力は開発可能だと考えています。

 この10年、事業を継続・拡大できていますが、コロナ禍といった予想外の事態に直面するたびに、自分自身や置かれた状況を客観視し、必要な対応や成長を積み上げてきました。

 仕事人として、経営者として、何を大切に成長していけばよいのか迷ったときに、私は『一勝九敗』に掲載されている「起業家十戒」と「経営者十戒」を何度も読み返しています。「起業家十戒」を引用しておきますので、自身が事業を営んでいるかどうかを問わず、まずは一通り熟読してみてください。

1.ハードワーク、一日二十四時間仕事に集中する。
2.唯ゆい一いつ絶対の評価者は、市場と顧客である。
3.長期ビジョン、計画、夢、理想を失わない。
4.現実を知る。その上で理想と目標を失わない。
5.自分の未来は、自分で切り開く。他人ではなく、自分で自分の運命をコントロールする。
6.時代や社会の変化に積極的に対応する。
7.日常業務を最重視する。
8.自分の商売に、誰よりも高い目標と基準を持つ。
9.社員とのパートナーシップとチームワーク精神を持つ。
10.つぶれない会社にする。一勝九敗でよいが、再起不能の失敗をしない。
  キャッシュが尽きればすべてが終わり。

 いきなり「24時間仕事に集中!」などと書かれているので、引いてしまう人も多いかもしれません。確かに、本章で強調してきた「エナジーマネジメント」の観点からもバッティングするように見えます。

 私自身はこの部分について、「寝ても覚めても考えずにはいられないような対象でなければ、生業(なりわい)・事業テーマとして選んではならない」と解釈していて、実際に周りの起業家を見ていても、この部分をクリアできていないがために行き詰まっている人たちがたくさんいました。

 それに、これは『一勝九敗』にある言葉ではなく自分なりに事業を営みながら見出している本質なのですが、私は「商いとは、飽きないである」だと考えています。だからこそ、「24時間、寝ても覚めても考えてしまうこと=飽きないこと」が大成する仕事選びの本質だと、ここは読み解いてみたいのです。

 これはサラリーマンであっても同じことで、たとえばなぜジョブ・ローテーションなる仕組みが存在するのかといえば、今回の文脈で考えれば「飽きるから」。

 もし、この部分を読んでいて「うーん、確かに今の仕事に飽きてるかも」という自分を客観視したのであれば、ぜひそのことと真剣に向き合ってみてください。「飽きる=商い・仕事が成立しない」である以上、どうすれば能動性や主体性を保ち続けられるかは、ビジネスの持続可能性における死活問題です。

 加えて、他の項目についても、「成長」を冠した本章においてそのままトレースできるようなものばかりとなっています。たとえば、3・4・8などに掲げられた「理想や目標の重要性」は、『超一流になるのは才能か努力か?』で学び取れる「目的を明確にした意図的な練習」と重なりますし、5の「自分でコントロール」は『マインドセット』にある「成長・しなやかマインドセット」そのものです。

 10の文章も、「つぶれない自分にする。一勝九敗でよいが、再起不能の失敗をしない。気力や体力が尽きればすべてが終わり」と読み替えれば、あたかも本章での学びが凝縮されたかのような要約になります。

 ぜひ、「サラリーマンの自分には関係ない」とは捉えず、この機会にじっくり味わってみてください。

『ひと目でわかる! 見るだけ読書』は、パッと見るだけの圧倒的なわかりやすさで、名著の本質が分かる1枚シートに加え、著者の用意した1枚ワークを埋めるだけで、読み返しがいらなくなるほど、名著のエッセンスが一読で身につきます。ぜひ、活用してください。

(本原稿は書籍『ひと目でわかる! 見るだけ読書』の一部抜粋、再編集したものです)

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