日本車の安全基準は「ボウリング球落としてへこんだら不合格」と主張…トランプ氏が8項目の「非関税障壁」列挙
2025年4月21日(月)23時0分 読売新聞
ホワイトハウスで発言するトランプ米大統領(14日)=AP
【ワシントン=下里雅臣】米国のトランプ大統領は20日、自身のSNSへの投稿で、「非関税障壁」として8項目を列挙した。この1番目に「為替操作」を挙げ、貿易相手国が自国通貨を安く誘導することを認めない考えを示した。8項目は今後の各国・地域との関税交渉で解決すべき課題として米側が取り上げる可能性があり、日本も対応を求められそうだ。
トランプ氏は、年間で1兆2000億ドル(170兆円規模)に上る貿易赤字の削減を目指しており、ドル高による輸出産業の苦戦を是正したいとの意向がある。3月には「日本や中国が自国通貨を切り下げれば、我々は非常に不利益を被る」などと語り、為替問題を巡って日本を名指しでけん制していた。
政府・日本銀行は2012年を最後に円安・ドル高への誘導を目的とした為替介入は実施していない。ただ、米国は日本を為替操作の動向を注視する「監視リスト」の対象としている状況だ。月内には訪米する加藤財務相とベッセント米財務長官との会談が予定されているが、米側から為替を含む通貨問題が提起される可能性もある。
また、8項目では「自動車の安全基準」も取り上げ、「日本のボウリングボール試験」と書き込んだ。トランプ氏は以前から、日本の保安基準の試験について、「高さ20フィート(約6メートル)からボウリングのボールを落としてボンネットがへこむ車は不合格になる」と発言しており、改めて問題視した形だ。
国土交通省によると、トランプ氏が主張する試験は日本で行われていない。赤沢経済再生相は21日の記者会見で、「日本では国連で策定された基準や認証手続きを採用している」と指摘。その上で、「事実関係を誤って認識している懸念があるときは、事務方を通じて訂正の努力をする」と述べた。