コスモ、スターラックス航空にSAFを供給へ SAF事業を加速
2025年4月21日(月)15時58分 財経新聞
スターラックス航空の機体(画像:コスモエネルギーホールディングスの発表資料より)
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コスモは今年に入り、航空会社との連携を加速している。1月には、JALとANAへのSAFの供給開始を発表。3月には、フィンランドのフィンエアー、米デルタ航空と相次いで売買契約を締結。いずれも2025年度中の供給開始を予定している。
SAF製造は、コスモ石油と日揮ホールディングス、バイオディーゼル燃料関連事業を手がけるレボインターナショナルの3社が設立した、SAFFAIRE SKY ENERGY(サファイアスカイエナジー)が担う。国内初の国産SAFの大規模生産を目指し、22年11月に設立した。
同社は23年から、堺市のコスモ石油堺製油所内でSAF生産設備を着工。24年12月に完工し、25年1月より試運転を開始。航空会社への供給は25年4月頃としていた。本格稼働後は、年間3万キロリットルのSAF供給を予定している。
コスモは国産SAFの安定供給に向け、以前から日揮ホールディングス、レボインターナショナルと共に取り組みを進めてきた。21年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択された、3社共同提案の「国産廃食用油を原料とするバイオジェット燃料製造サプライチェーンモデルの構築」事業を機に、活動を本格化。料理などで使った廃食用油を原料に仕組み構築を進めている。
肝となる廃食用油の回収を担うのはレボインターナショナルだ。同社は1995年に使用済み食用油の引取をボランティアで始め、99年に法人化。食用油引取事業を手がけており、飲食店や公共機関などに独自ネットワークを持つ。
3社の取り組みではさらにネットワークを強化。23年8月には東京都と連携し、回収拠点の整備に着手。堺市とは24年11月に連携協定を結び、同日より大阪府内のイオンモールで家庭系廃食用油の回収ボックスの設置を始めた。
25年4月には、調達支援に岩谷産業が参画。同社が持つ全国約330万世帯のLPガス顧客網やネットワークを活用し、今後、廃食用油の回収先を開拓する。また4月18日からは、コスモ石油のガソリンスタンド11拠点に家庭向けの回収ボックスを設置した。
コスモは23年に発表した中長期の「Vision 2030」で、「次世代エネルギーの拡大」の軸にSAF供給を掲げている。25年度目標は、年間3万キロリットルの供給で、経常利益10億円。30年には10倍の30万キロリットルを供給し、水素など次世代エネルギーを含めて経常利益100億円を目指す。