「猫が引きずり込んできたものを見ろ」? 猫にまつわる英語イディオム (5)

2025年4月27日(日)15時26分 財経新聞

 猫はときに、思いがけないおみやげを家に持ち帰るものだ。そんな光景をもとに生まれたのが「Look what the cat dragged in」という英語イディオムである。

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 今回は、少し皮肉を込めて使われることの多いこのイディオムについて、その意味や背景を探っていこう。

■Look What the Cat Dragged In
 「Look what the cat dragged in(猫が引きずり込んできたものを見ろ)」とは、たとえば誰かが部屋に入ってきた際に、その姿がひどくみすぼらしかったり、あるいは予期せぬ不意の訪問だったりしたときに、そのことを皮肉や冗談交じりに指摘するイディオムである。

 文字通りに解釈すれば、外から何か汚れたもの、好ましくないものを引きずり込んできた猫を見ろということだが、実際そのようなニュアンスを含んでいる。訪問者に対して、歓迎しない態度を軽妙に伝えているのだ。

■語源と初出
 この表現の正確な起源ははっきりしていないが、記録上、1877年にアメリカの新聞『The Perrysburg Journal』や、雑誌『Harper’s Bazaar』に登場している。すでにこの時点で、ある程度一般に通じる比喩として認識されていたのだろう。

 このイディオムの背景にあるのは、猫の習性だ。猫は外で狩りをする動物であり、捕まえた小動物を戦利品として飼い主に持ち帰ることもある。猫が持ち帰った獲物は、当然ながら血や泥にまみれ、見るからに無残な状態だ。

 このこと、「猫が持ち帰ってくるもの=不快なも、見苦しいもの」という連想が生まれた。そこから転じて、ボロボロの姿の来訪者や、歓迎されない訪問そのものを茶化す比喩表現として定着したのである。

■ニュアンス
 「Look what the cat dragged in」 は、必ずしも本気で相手を侮辱するために使われるわけではない。むしろ親しい間柄で、軽口をたたくような場面でよく使われるイディオムだ。たとえば、寝癖だらけの友人が遅れて登場したときや、久しぶりに現れた友人をからかう場合などが典型的な用例だ。

 ただし使い方によっては、侮蔑的に響くおそれもあるため、相手との関係性や場面に配慮する必要がある。

 例文
 ・You look like what the cat dragged in. Where have you been all night?
 (まるで猫が引きずってきたものみたいな顔してるぞ。どこで何してたんだ?)
 ・After a week of camping, he came home looking like something the cat dragged in.
 (1週間のキャンプから帰ってきた彼は、まるで猫が引きずり込んできたものみたいな姿だった。)

財経新聞

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