若者に人気のハーフサイズカメラ...魅力は? フィルムならではのレトロな風合い、スマホとの相性も抜群
2025年5月4日(日)12時0分 J-CASTニュース
若年層の間で「ハーフサイズカメラ」が人気を集めているようだ。
フィルムカメラは、デジタルカメラには難しい撮影対象の「雰囲気」を画像内に醸し出す。フィルムならではの独特なレトロな風合いの写真が撮影でき、「どんな画が撮れているのか現像するまで分からない」というワクワク感も若者の心をとらえている。
35mmフィルムの1コマを2分割
ハーフサイズカメラとは何か?
それは一言でいえば、「画面を2分割する仕組みのカメラ」である。
いわゆる35mm版は、フィルムカメラにとっては最も標準的なサイズ。この35mm版フィルムの1コマを縦に割り、それぞれを1枚としてカウントする。つまり、36枚撮りフィルムの場合、倍の72枚の画を撮影できるということだ。
1コマを半分にしているため、その画は縦長である。縦長の画像は、現代のスマホと抜群の相性を発揮する。ハーフサイズカメラで撮った写真をデジタル化し、それをSNSでシェアする......ということも広く行われているのだ。
フィルムカメラブームは「フィルム価格との戦い」
そんなハーフサイズカメラだが、昨年(2024年)はリコーイメージングの『Pentax 17』、ロモグラフィーの『Half-frame Lomourette』と、新製品の発売が相次いだ。
特にPentax 17は、やセンセーショナル気味にその発売が報道された。「なぜいまになってフィルムカメラ!?」という具合に。
もっとも、令和年間のフィルムカメラブームは、フィルム価格との戦いとなるかもしれない。フィルムカメラは最近の物価上昇のあおりを真正面から受けているからだ。フィルムの価格が高騰し、昔のように何本も買い置きできるようなものではなくなった。
それをどうにか乗り越えつつ、現代のスマホと相性がいい縦長の画を撮影できるハーフサイズカメラは注目されているのだ。
ハーフサイズカメラは「大衆機」
ハーフサイズカメラは、最近になって新しく発明されたものではない。ハーフサイズカメラの名機と言われるオリンパスPenシリーズの最初の製品は、1959年に登場した。なんと86年前だ。
1959年といえば、高度経済成長期の直前の時期である。終戦から10年余りの未だ貧しい暮らしの中、フィルムも当時の賃金水準と照らし合わせると、決して安くはない。そのため、35mm版でも16枚撮りフィルムというものがあった。Penを使えば、それが32枚になるのだ。
ちなみに、筆者の手元には1962年発売のPen EESがある。当時のカメラの「大きくて複雑」という概念を覆すような小型かつシンプルな設計で、写真撮影の専門知識のない人でもいい写真を撮影できるということを宣伝文句にしていた。
能動的なシャッター速度の調整や絞り調整は不要で、フィルムの巻き上げは富士フイルムの『写ルンです』のようなダイヤル式だ。
セレン光電池が作用し、暗いところではリリースボタンを押せなくなるという機能も搭載されている。これにより、光量不足の写真を撮影してしまうことを回避できるのだ。
そんな歴史あるハーフサイズカメラが、令和の物価高時代にいままた脚光を浴びている。(澤田真一)