ジャーナリスト・田原総一朗と国際政治学者・舛添要一が対談!「最先端のEVに乗る中国人」と「時代遅れのガソリン車に乗る日本人」、失われた30年でステータスが逆転【読めば国内外の問題が多視点で見れるようになる!】

2024年5月15日(水)8時0分 ダイヤモンドオンライン

ジャーナリスト・田原総一朗と国際政治学者・舛添要一が対談!「最先端のEVに乗る中国人」と「時代遅れのガソリン車に乗る日本人」、失われた30年でステータスが逆転【読めば国内外の問題が多視点で見れるようになる!】

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Photo by Masato Kato

ジャーナリストの田原総一朗氏が、国際政治学者で前都知事の舛添要一氏と対談。舛添氏の中国視察の感想を皮切りに、アメリカを抑えて中国が天下を取る可能性、G7(先進7カ国)の経済規模に迫るBRICS、成功体験を捨てられず取り残される日本、ロシアによるウクライナ侵攻を後押しした西側諸国の行動、アメリカがイスラエルを気遣う意外な理由、新総統の誕生で中国を刺激しないようバランスを取る台湾、日本の「裏金問題」の抜本的な解決策など、忌憚(きたん)なく縦横に語り合った。(文/奥田由意、編集/ダイヤモンド社 編集委員 長谷川幸光、撮影/加藤昌人、2024年4月実施)

ロシアが戦争をしている間に国力を蓄えている中国とインド

田原 先日、中国へ行って来られたそうですね。舛添さんは、ヨーロッパの政治がご専門でこれまであまり中国に関心がなかったイメージですので、少し意外です。何をしに行かれたのですか。

舛添 近年、中国では外国人がスパイ容疑で逮捕されるケースが増えており、中国研究をしていたかつての教え子たちは、今はほとんど中国へ行っていません。「習近平体制の締めつけが厳しい」と聞きますが、実際、国民はどう感じているのか、それをこの目で見て現状を確かめたかったのです。

田原総一朗(たはら・そういちろう)1934年、滋賀県生まれ。ジャーナリスト。早稲田大学卒業後、岩波映画製作所や東京12チャンネル(現・テレビ東京)を経て、1977年からフリー。テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」などでテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。1998年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ「ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)」受賞。「朝まで生テレビ!」「激論!クロスファイア」の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。近著に『さらば総理』(朝日新聞出版)、『人生は天国か、それとも地獄か』(佐藤優氏との共著、白秋社)、『全身ジャーナリスト』(集英社)など。2023年1月、YouTube「田原総一朗チャンネル」を開設。

 私が厚生大臣をしていた時に、駐日大使をしていた王毅(おうき)氏と縁があり、中国の目下の喫緊の課題である出生率低下についてアドバイスをしてほしいということで、北京の社会科学院や清華大学へ、講演をしに行きました。同時に、「西欧以外の国が考える民主主義」というテーマで国際会議が招集され、そこでも講演を行いました。

田原 中国はどうでしたか。

舛添 長らく国際政治の構造変化を研究してきましたが、歴史に照らせば、アメリカの一極支配が終わり、次に中国が天下を取ることは十分あり得ると考えています。

 今回、4年ぶりに中国を訪れましたが、中国は毎年約5%ずつ、ここ4年間の累積で20%、成長しており、年々、日本と差が開いてきています。現時点で日本は完全に中国に負けていると感じました。

田原 どの点でそう感じましたか。

舛添要一(ますぞえ・よういち)国際政治学者、前東京都知事。1948年、福岡県生まれ。1971年、東京大学法学部政治学科卒業。パリ、ジュネーブ、ミュンヘンでヨーロッパ外交史を研究。東京大学教養学部政治学助教授を経て政界へ。2001年参議院議員(自民党)に初当選後、厚生労働大臣(安倍内閣、福田内閣、麻生内閣)、東京都知事を歴任。『都知事失格』『ヒトラーの正体』『ムッソリーニの正体』『スターリンの正体』(すべて小学館)、『プーチンの復讐と第三次世界大戦序曲』(集英社)、『現代史を知れば世界がわかる』(SBクリエイティブ)など著書多数。

舛添 特に先端技術の普及においてです。

 中国では、スマートフォン1台あれば何でもできてしまいます。

 例えば、街なかの大衆食堂では、スマホで予約から注文、決済まで完了します。コロナ禍で日本の都市部でもスマホによる注文や決済というのは増えましたが、中国はものすごいスピードで普及しています。現金を使う場面もありません。料理も以前と比較して安くておいしく、地方部でもデジタル化が浸透している。こうなると、日本はなかなか厳しいなと思いました。

 EV(電気自動車)市場も自動運転も進んでいます。人々が乗る車やカーナビなどのシステムは、日本をはるかにしのぐ、世界の最先端モデルです。

田原 経団連も、中国の経済力はアメリカにだいぶ近づいていると考えているようですね。

舛添 中国で行った講演では、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)が勢いを増しているということも話しました。BRICSは、人口では圧倒的にG7(先進7カ国)を上回っており、経済もG7の6割まで迫っています。サウジアラビア、イラン、エチオピア、エジプトなどの参加によって、今後、その影響力はさらに拡大するでしょう。

 ロシアのウクライナ侵攻を機に、こうした国に対し、「グローバルサウス」という呼び名が広まりました。グローバルサウスの多くは、ロシアへの制裁には加わらず、かといって、ロシアに加勢するわけでもありません。例えばインドは、ロシアから武器や小麦を買い、石油も安く調達するなど、うまくロシアを利用しています。ロシアが戦争をしている間に、国力を蓄えているわけです。

田原 日本では「グローバルサウス」の中心はインドというイメージが強いですね。インドと中国の関係は今はどうなっていますか。


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