8月の倒産件数は723件、人手不足倒産は年200件超えのハイペース

2024年9月10日(火)11時53分 財経新聞

 東京商工リサーチが8月の全国企業倒産の状況を発表。倒産件数こそ29カ月ぶりに前年同月を下回ったものの、コスト増など厳しい状況が続くことから、今後もハイーペースの倒産状況が見込まれるとしている。

【前月は】7月の倒産件数は953件、年間で1万件超えのペースが続く

■29カ月ぶりに前年下回るも秋以降は増加見込む
 9日、東京商工リサーチが8月の「全国企業倒産」を発表した。8月の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は、前年同月比4.86%減の723件となり、2022年3月(6.46%減)以来の29カ月ぶりに前年同月を下回った。1月からの累計倒産件数は6,607件と、年間1万件超えのペースがやや鈍っている。

 また8月の負債総額は同6.46%減の1,013億7,000万円。主な大型倒産企業は、船舶製造などを手がけるクレサービス(負債総額:109億6,100万円、以下同じ)、みやび建設(54億3,500万円)、森山水産(39億4,000万円)、ビルメンテナンス業のグローバルステージ(29億円)、極洋フィードワンマリン(24億6,500万円)など。

 約3年ぶりに倒産件数が前年割れとなったものの、人件費や燃料費を始めとしたコスト増は続いており、金融機関の金利上昇が見込まれる秋以降に資金繰りが苦しくなった企業倒産が増えると見込んでいる。

■産業別の倒産件数は明暗が分かれる、飲食業などが苦境
 産業別の倒産件数は、10産業中5産業で前年同月を上回った。倒産件数が最も多かったのはサービス業他の242件(前年同月比:1.68%増、以下同じ)。次いで建設業が121件(22.92%増)、卸売業が106件(27.71%増)で、ここまでが倒産件数100件超え。

 以下は製造業が79件(11.23%減)、小売業も79件(3.94%増)、情報通信業が41件(13.88%増)、運輸業が25件(32.43%減)、不動産業が18件(45.45%減)、農・林・漁・鉱業が12件(33.33%増)、金融・保険業は倒産が無かった(2件減)。

 倒産件数が最も多かったサービス業の中では、飲食業の倒産件数が74件(前年同数)で最多。以下は老人福祉・介護事業が13件(30.00%増)、理美容業が10件(11.11%増)、エステティック業が9件(前年同数)などとなっている。

■負債1,000万円未満の倒産は5カ月連続増加
 8月の負債1,000万円未満の倒産件数は44件で、前年同月比18.9%増と5カ月連続で前年同月を上回った。1月からの累計倒産件数は370件で、前年同期(307件)比20.1%増となっている。

 産業別で最も倒産件数が多かったのはサービス業他の19件(前年同数)。サービス業の中では飲食業が5件と最多。次いで小売業が8件(同14.2%増)、建設業が7件(同75.0%増)など。

 コスト高や人手不足、金利上昇などのマイナス要因が絶えないことから、中小企業の苦境が続くため、「金融機関などの支援が欠かせない」としている。

■「人手不足」関連倒産は年間200件超え確実のハイペース
 8月の「人手不足」関連倒産は16件(前年同数)だった。1月からの累計倒産件数は194件(前年同期比:92.0%増、以下同じ)で、既に過去最多だった2023年の158件を超えており、年間200件超えが確実なハイペースとなっている。

 産業別で最も倒産件数が多かったのはサービス業他の57件(90.0%増)。次いで建設業が54件(184.2%増)、運輸業が43件(65.3%増)など。

 人手不足で受注機会を逸した結果として資金繰りに行き詰まるケースもあり、人手不足を避けるための賃上げが難しい企業倒産は、今後も増える可能性が高いとしている。

財経新聞

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