成長意欲のない組織が講演や研修を受けたあとに言う「口ぐせ」・ワースト2

2024年10月21日(月)6時0分 ダイヤモンドオンライン

成長意欲のない組織が講演や研修を受けたあとに言う「口ぐせ」・ワースト2

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「あなたの職場は、講演会や研修に参加しただけで満足していませんか?」そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で、働き方改革、組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」には共通する時代遅れな文化や慣習があり、それらを見直していくことで組織全体の体質を変える必要があると気づきました。その方法をまとめたのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』です。社員、取引先、お客様、あらゆる人を遠ざける「時代遅れな文化」を変えるためにできる、抽象論ではない「具体策が満載」だと話題。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「学んだだけで満足する職場」の問題点について指摘します。

「勉強になった」で満足していないか?(イラスト:ナカオテッペイ)

学んだだけで満足している組織

 いま、外部研修や越境学習に力を入れる企業が増えている。それ自体は大変良いことである。学び続けない組織は停滞する。

 ところが会社がどんなに人材育成にお金をかけても(あるいは個人が自己研鑽で社外の勉強会やコミュニティなどに参加し続けても)、得た知識や能力は実業務で活かさなくては効果を得られない。

 中にはただひたすら研修や社外セミナーを受けたり、勉強会やコミュニティに参加しまくるだけで何も行動しない「学びコレクター」のようなザンネンな人もいる。

「参考になった」「勉強になった」が口ぐせの人たち

 そこまでひどくなくても、学んだだけでおしまいの人(学んでオシマイさん)や、挙句「うちのやり方には合わない」などあら探しをして文句をつけるだけで、思考停止している人も相当数いる。

 その状態を放置すると、学ぶことに対するネガティブな空気が組織に生まれてしまう。知識を提供する側にも虚無感しか残らないし、なにより失礼である。

 学びコレクターや、学んでオシマイさんに共通する口ぐせが2つある。

「参考になった」「勉強になった」

 である。 あなたや、あなたの周りの人たちは「参考になった」「勉強になった」で終わっていないだろうか。

実行を前提に、学びの内容を分類する

 学んで満足な組織を変えるには、どうしたらよいか。 まずはあなたから、学びをすぐに実践する習慣を組織にインストールしよう。

 学んだその場で、あるいは職場に戻ってからすぐに紙や電子ファイルを開いて、自分やチームで「すぐ実行すること」「将来活かせるかもしれないこと」を箇条書きにする。 そのまま活かすことはできなくても、「自分の仕事や組織におきかえて考えたらどんなことが言えるか?」「どんな行動につなげられるか?」などと思考して、「すぐ実行すること」を書く。

 一方で、すぐに活かせそうにはないが、中長期で考えたときに役立てられそうなこと、時期を待って行動に移したいと思ったものもある。これらは「将来活かせるかもしれないこと」の欄に書き出す。

 <例>9月10日「マネジメント研修」メモ
 すぐ実行すること
 ・気持ちを下げる言葉遣いを意識的にやめる
 ・仕事の依頼時は文面で送るようにする
 ・「ダイバーシティ」に関する本を読む
 ・会議の進行役を変えてみる
 将来活かせるかもしれないこと
 ・メンバーが増えたら、チームのビジョンをつくる
 ・課長になったら、部長との定期1on1をお願いする
 ・トラブル時に、ポジティブな面にも目を向けてみる
 ・ファシリテーション技術を学んでみる

 このようにして学びを振り返ると、自分ごと化(自分たちごと化)して行動に移す習慣が徐々に身につく。書き出しはあなた一人でやってもかまわないが、学んだ仲間と一緒にやるとチームへの波及効果が増してなおよい。

学んだことを周囲に発信する

 学んだことや考えたことをチームや組織内にも小さく発信しよう。発信と言っても、大げさな報告書を書く必要はない。

 ・チャットグループにメモ程度の箇条書きや短文で記す
 ・日報や週報に書く
 ・チームミーティングで3分〜5分程度時間をもらって話す
 ・ランチタイムに同僚に話す
 ・ブログで発信する

 いずれのやり方でもかまわない。発信する行為を通じて、あなた(当事者)の学びが整理され、より自分ごと化される。

 加えて、学んだ内容を独り占めしない意味も大きい。あなたの学びを他の誰かが活かす可能性も生まれる。誰かが活かしてくれたら、その知識を提供した人も報われる。

 学んだことを振り返り、発信し、小さく実践する。まずはあなたの半径5m以内からでも始めてみよう。そのサイクルを回すことのできる組織は間違いなく強くなる。学びが良いこととして認知され、主体的に学び出す人も増えるだろう。小さな行動から、学びの民主化を!

 一歩踏みだす!

 ・「参考になった」「勉強になった」で満足するのをやめる ・学びを「実行すること」「いつかしたいこと」に分類する ・学んだことをチームや組織に小さく発信する

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。

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