「自分で考えて動ける部下が理想」はリーダー失格!リーダーの本来の役割とは?
2024年11月17日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン
これまで、リーダーといえば「責任を取ること」が役割だと思われてきた。しかし、『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。このたび木暮氏に、リーダーが身につけるべき言語化スキルについて、シーン別に対処法や解決策を教えてもらった。(取材・構成/山本奈緒子)
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リーダーとはそもそもどういう存在なのか
——『リーダーの言語化』に「自分で考えて動ける部下が理想」と思っていたらリーダー失格だ、ということが書かれていました。しかしこのように考えるリーダーは非常に多い気がするのですが?
木暮太一(以下、木暮):よく言われるフレーズに「自分で考えて動け」とか、あと「経営者目線を持て」とかありますよね。
でもこれ、スポーツの世界で同じことを言ったら絶対に監督失格じゃないですか。監督が「自分で考えて動く選手が欲しい」と言ったら……。いや、アナタが指示を出しましょうよって言われてしまいますよね。司令塔なのに、選手に指示も出さず勝手に動いて勝手に勝ってきてって、何を言っているんだという話です。
——たしかに……。
木暮:要は、リーダーとは何ぞやという話だと思うんです。今、多くの組織でリーダーというのはご機嫌取りみたいな存在なっています。ちょっとキツいことを言うとメンバーがメンタルを病んでしまうので、できるだけ柔らかく、腫れ物に触るように、「大丈夫大丈夫、今のアナタでいいんだよ」と何とか動いてもらう、みたいな……。
リーダーとはそういう役割だと思われている節がありますが、組織のリーダーの役割はそこではありません。当たり前ですが組織戦を戦うわけですから、戦で言ったら将軍の役割なわけです。
つまり指示を出して、部隊を動かして目的を達成させるというのがリーダーの役割。
そのためにおだてたり宥めたりするのはかまいませんが、同時にどうすれば勝てるかということを責任を持って考えなければいけない。
これを普通にやっているのがスポーツの試合です。
だから、たとえばサッカーの日本代表は、負けたら監督はすぐ変えられるじゃないですか。あれは、采配が悪い、アナタの作戦がダメだった、といった認識で変えられているわけですよね。
でもこれが会社となると、チームの成績が上がらなかったときに、リーダーが「アナタの責任です」と言われることってあまりないんです。だからリーダーは、「何も言わなくても成果を上げてくれるメンバーが欲しい。それこそが今求められている人材だ」みたいなことを平気で言っちゃうわけです。本当は自分が采配しなければいけないのに。
「自分で考えて動く部下が欲しい」はリーダー失格
——そういう人材を求めている時点で自分はリーダー失格だと気づくべき、ということですね。
木暮:「自分で考えて動く部下が欲しい」と言われたら、「じゃあアナタの役割は何なんですか?」と逆に聞きたくなります。「スポーツで言えば、アナタの役割は指揮官ですよね?」と。
このようにスポーツに重ねて話をすると、一番ピンときてもらいやすい。勝つための作戦を明確に示してほしいです。