"股間隠し"や後ろで組むのは最悪…立って撮影&挨拶&スピーチ「手の場所」で格が上がる”球技系”ポーズとは
2024年12月7日(土)10時15分 プレジデント社
※岡本純子『なぜか好かれる「人前での話し方」』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/Rawpixel
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rawpixel
■ジェスチャーの驚異的メリットとは
こうしたスタイル(演台はなく、自由に動ける状態で話す「パフォーマー型」)で、とくにカギとなるのがジェスチャーです。
ジェスチャーには、次のような効用があります。
●脳の動きが活発になる
●声が出しやすくなる
●ジェスチャーが入ると、6割増しで伝わりやすくなる
●覚えられやすい
つまり、格段に話がわかりやすく、相手に伝わりやすくなるということ。
飽きやすい現代人の注意を引くために、ただ情報を伝えるだけの「伝達」スタイルから、体全体を使って演じ、聞き手の興味を引く「伝道」スタイルへの変革が、いま求められているのです。
ぎこちなく、まったくジェスチャーがない棒立ち状態では、見ている側がいたたまれなくなってしまいます。
学術研究によると、ジェスチャーには大きく分けると4つの種類があるそうです。
①形や大きさを示すもの
②否定や期間など抽象的な概念を表すもの
③指差し
④ジェスチャーそのものに意味はなく、言葉を強調するためのもの
「この言葉には必ずこのジェスチャー」などといった決まった作法があるわけではないのですが、基本の型を知ったうえで、自分が心地よいスタイルを見つけていきましょう。
■ジェスチャーの決め手は「手」にあり
ジェスチャーなど、体をどう動かすのかについて、日本ではまだしっかりとした知見が広まっておらず、自己流でやっている人も多いようですが、自然で堂々としたふるまいの決め手は、じつは「手」。では、ここでボディランゲージの科学にもとづく「お手本スタイル」を紹介し、その「手の内」を明かしていきましょう。
たとえば、
①小さい
②大きい
③こちら
④あちら
出典=『なぜか好かれる「人前での話し方」』
など、ジェスチャーの主役は「手」です。
「手」は、サブリミナルにその動きだけで多くのメッセージを発信しています。
たとえば、
①指を差す
②手のひらを下にして差し出す
③手のひらを上にして差し出す
この3つのジェスチャーを見せられたとき、多くの人は③に一番安心感を覚えます。
①「指差し」スタイル
あなたを「射貫く」「追い詰める」というメッセージ
②「手のひらを下にして、押さえつける」スタイル
「私がこの場を収める」「私があなたを支配する」というメッセージ
③「手のひらを見せる」スタイル
「私は手に武器を持っていません」「あなたに心を開いています」というメッセージ
出典=『なぜか好かれる「人前での話し方」』
がそれぞれ込められているのです。
欧米で、会った瞬間に握手をするのは、手を開いて見せ、「私は安心できますよ」とアピールする意味があります。
また、人前で話すとき、聴衆に向かって、手のひらを見せて前に出し、「みなさん、こんにちは」などと話しかけると、いっきに「ラポール」(共感)の輪が広がりやすくなります。
ジェスチャーは無理やり入れるものではありません。
自然なジェスチャーの条件は、次の2つです。
①「伝えたい」という思いを高め、エネルギーを上げて話す
②伝えたい言葉の意味を理解し、ジェスチャーで表現しようとする
エネルギーや言霊(ことだま)が手に宿り、自然に動く状態が理想的です。
■手の基本位置はどこか? 股間の上は要注意
多くの人が戸惑うのは、立ったときの「手」の置き場所です。日本人の定番が、股間の前で手を組むポーズ。
写真を撮られるとき、人前に立ったとき、お辞儀をするとき、この格好をしている人は大勢います。じつはこの姿勢、海外では「イチジクの葉のポーズ」と言われ、リーダーシップを印象づけたい人は注意が必要です。
旧約聖書で、アダムとイブがイチジクの葉で大切な部分を隠し、嘆きながら楽園を出ていった、というエピソードから名づけられたポーズですが、「大切な部分を隠す=自信がない」と見えてしまうと考えられているのです。
このポーズだと、肩がすぼまり、自分を小さく見せてしまうデメリットがあります。
出典=『なぜか好かれる「人前での話し方」』
ですから、立って話すときの手の基本位置は、「おへそ近くで、両手を軽く組む姿勢」をおすすめします。この姿勢であれば、次のジェスチャーをするのに、手をわざわざ体側や股間から引き上げる必要がありません。
もうひとつの基本位置は「バスケットボールやバレーボールのようなボールを両手で持つ」ようなポーズ。
先ほどの「小さい」「大きい」のジェスチャーですね。両手の幅を小さくしたり、大きく広げたりするジェスチャーを入れていくのが、オーソドックスなスタイルです。
逆に、NGなハンドジェスチャーは、
●人を指差す
●もみ手
●片方の手でもう一方の手首を持つ
●手を体の後ろで組む
●手をポケットに入れたまま
●手を演台に置きっぱなし
●手で髪の毛や首などを触る
など。
不安になると、人は何かを触っていたくなるもの。だから、手首や髪の毛、首など体の一部に手をやってしまうことがあります。気をつけましょう。
■知らなかった? マイクの持ち方新常識
マイクの持ち方にも「コツ」があります。
よくやりがちな両手でマイクを持つ「女性アイドル握り」。
出典=『なぜか好かれる「人前での話し方」』
肩がすぼまり、緊張しているように見えることがあるので、「ずっと両手で握りつづける」持ち方はあまりおすすめしません。
おすすめは「利き手でない手でしっかりと握り、もう一方の手で適度にジェスチャーを入れる」スタイル。
また、マイクの柄の下のほうを持つと、マイクが揺れやすく、上のほうを持つと、手が口まわりを隠してしまいます。
ですから、「柄の真ん中あたりをしっかりと持つ」が正解。マイクの角度にも注意が必要です。マイクを床と平行にした「ロック歌手握り」は口が隠れてしまうのでNG。
口から2〜3センチ離し、床と45〜80度の角度で持ちましょう。
■「腕を組む」はあり? なし?
最近、メディアやホームページなどで、腕組みをして写真に写る企業幹部をよく見かます。はたして、あのポーズはOKでしょうか? NGでしょうか?
私も普段、よく腕組みをします。
理由は、温かく感じるなど、安心感や心地よさがあるから。
研究によると、人は、深く考えているときや困難な課題に取り組んでいるときに腕組みをしやすく、集中力がアップする効果もあるそうです。
元FBIのエージェントで、ボディランゲージの専門家であるジョー・ナヴァロは「自分を抱きしめるセルフハグのようなもので、安心感があるポーズ」だと分析しています。
岡本純子『なぜか好かれる「人前での話し方」』(東洋経済新報社)
ただ、「腕を組む」ポーズは、人前で、不安、緊張、恐怖を感じているときに出やすいとも言われます。
ポートレートなどでは、「自分を強く見せられる」「自信ありげに見える」と好まれるポーズですが、自分をガードしている、人を寄せつけないイメージを与えやすいという解釈もあるのです。
「傲慢(ごうまん)に見える」として、絶対に腕を組んで写真に写らない、というポリシーを持つ社長もいるほど。
腕組みと合わせる表情によっても、全体の印象は変わってきます。相手にどんな印象を与えたいのかを考え、自分に似合うポーズを見つけてみましょう。
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岡本 純子(おかもと・じゅんこ)
コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師
「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。
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(コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師 岡本 純子)