順天堂大学に難病の遺伝子パネル検査の解析ソフトウエアを提供開始

2023年12月11日(月)13時16分 PR TIMES

ジーネックス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:八木研・飯田敦、以下「ジーネックス」)は、順天堂大学(東京都文京区、学長:新井一)との間で、2023年11月から順天堂大学が実施するミトコンドリア病遺伝子パネルシーケンスで利用する解析ソフトウエアの提供に関する契約を締結しました。

■本件の意義と展望
ヒトゲノム計画での遺伝情報解読完了の宣言から20年を経た2023年6月、わが国でもようやくゲノム医療推進法が成立しました。法の後押しを受けて、難病克服に向けても保険診療体制の整備などを通じて、ゲノム研究の成果がより一層日常診療へ還元されていくと見込まれます。

2023年11月には、国の指定難病であるミトコンドリア病(*1)の原因遺伝子を効率よく一括で調べられる「ミトコンドリア病遺伝子パネルシーケンス(*2)」が、保険診療として医療機関で実施可能になりました。これまではミトコンドリアDNAの一部の配列を調べる検査しかなかったところに、ミトコンドリアDNAの配列すべて、そしてミトコンドリア病に関連する数百の核遺伝子をも一度に調べる検査が登場したことになります。

ミトコンドリア病遺伝子検査としての遺伝子パネルシーケンスを可能にしたのが、次世代シーケンサーの普及と、今回ジーネックスが開発し提供を開始した解析ソフトウエアです。研究の一環で実施していた遺伝子パネルシーケンスを保険診療で実施するには、精度管理がなされ、多数の検体を間違いなく処理し解析できる体制が必要でした。ジーネックスは2022年から、個人が直接申し込み、難病・希少疾患の遺伝的リスクを知ることができる『ジーネックスの全ゲノム検査』(*3)を販売しています。この実績と知見を応用して開発した解析ソフトウエアは、次世代シーケンサーが生成した膨大なデータの中から、順天堂大学が指定する基準を満たす検出候補バリアントを抽出し、検査結果レポートのドラフトを作成します。レポートのドラフトは、順天堂大学にて医師の確認を経て正式な検査結果へと加工され、検査を依頼した医療機関へ返却されます。

ジーネックスは本契約の下で、順天堂医院の診療体制を間接的に支援するとともに、「個人が自らのデータを持ち、考え、行動する」社会を見据え、ゲノム情報利活用の社会実装と健全な環境醸成に資するべく研究開発力を高めます。近年、ミトコンドリア病に限らず難病の遺伝子パネルの必要性は高まっています。一方で、ゲノム解析コストの低減が新たな需要を喚起しています。ジーネックスはこの時流をとらえ、まだゲノム検査を導入していない病院やクリニック向けに、ゲノム解析に関する支援サービスの提供機会を引き続き模索してまいります。

■順天堂大学 大学院医学研究科 難病の診断と治療研究センター 岡崎康司教授・センター長のコメント
「研究成果を医療実装するに当たり、解析とレポーティングの効率化は避けて通れない課題でした。ジーネックスの技術的支援で、研究・医療の人的資源をより集中すべきところに集中させることができます。このミトコンドリア病の事例をモデルとして、今後も共に難病克服エコシステムを構築していけると期待しています。」

■マネックスグループ株式会社 松本大代表執行役会長のコメント
「全ゲノムの可能性に懸けて支援してきたジーネックスが、まずは次世代の医療に貢献する道筋を示してくれたことを嬉しく思います。と同時に、AI(人工知能)と掛け合わせたとき、全ゲノムデータがさらに飛躍的な“何か”をもたらすことに疑いはありません。ジーネックスは、医療の枠にとどまらない全ゲノムの可能性をこれからも見せ続けてくれると確信しています。」

[画像: https://prtimes.jp/i/55846/6/resize/d55846-6-981d815adf090ea94e0a-0.png ]


■用語解説
(*1)ミトコンドリア病
ミトコンドリアは、ほぼすべての細胞に存在する細胞小器官で、重要な役割の1つとして生命活動に必要なエネルギーとなるATPを生合成しています。ミトコンドリアの機能低下によって引き起こされるのが「ミトコンドリア病」で、エネルギー産生が減少してしまうことによって全身の臓器や器官にさまざまな影響(けいれんや精神症状、筋力の低下、心筋症、肝臓・腎臓の機能低下、難聴など)が現れます。

(*2)ミトコンドリア病遺伝子パネルシーケンス
検査の対象となる遺伝子セットを「遺伝子パネル」、遺伝子パネルに含まれる対象遺伝子の配列を調べる検査手法を遺伝子パネルシーケンスと呼びます。順天堂大学大学院医学研究科難病の診断と治療研究センターの岡崎康司教授の研究グループが開発したミトコンドリア病遺伝子パネルは、核のDNAにコードされた合計367個の原因遺伝子の他、ミトコンドリアに存在するミトコンドリアDNAの全周(16.6kb)も対象としている点が特徴的です。

(*3)『ジーネックスの全ゲノム検査』
DNAに含まれる約30億の「A、G、T、C」塩基すべての配列を調べ、誰もが持つ数百万箇所の遺伝的な個性を検出する検査です。いつどこでも身体に負担なく唾液で検査でき、個人に手の届く価格設定でありながら、遺伝的な個性の中に、専門家が「病的」と評価する特徴的な塩基配列があるかを詳細に報告します。なお本検査は消費者向け遺伝子検査であり、診療の用に供する検査ではありません。ご紹介ページ: https://genex.co.jp/gt/

■参考
順天堂大学 大学院医学研究科 難病の診断と治療研究センター https://research-center.juntendo.ac.jp/nanbyo/about/
特定非営利活動法人 ミトコンドリア病医療推進機構 http://jamp-mit.org/
難病情報センター【ミトコンドリア病(指定難病21)】 https://www.nanbyou.or.jp/entry/194

■ジーネックス株式会社について
ジーネックスは、ゲノムおよびヘルスケアに関するデータプラットフォームの企画・運営を事業内容として2019年8月に設立された、マネックスグループ株式会社、株式会社タウンズ、株式会社スギ薬局、科研製薬株式会社、他を株主とするスタートアップです。

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