患者が求める治験のあり方とは? 精神科領域の治験に関する患者調査を実施。治験への参加意欲向上につながる情報や、来院に依存しない治験(DCT)のニーズも明らかに。

2023年12月20日(水)14時40分 PR TIMES

トライアドジャパン株式会社(東京都渋谷区、代表取締役副社長:後藤 美穂、以下トライアドジャパン)は、PPI(Patient and Public Involvement/患者・市民参画)活動の取り組みの一環として、精神科領域の患者※1(アンケート調査91名、インタビュー調査5名)を対象に「治験に関する意識調査」を実施しました。
その結果から、治験の参加意欲向上につながる情報や、DCT※2へのニーズ等、被験者(被験者候補を含む)の視点から見た、今後の治験に求められる環境や情報発信のあり方を明らかにしました。

※1 トライアド治験ネットの治験ボランティアに登録中の精神疾患を有する方又は医療機関で精神科領域の治験に参加中の方
※2 DCT:Decentralized Clinical Trial(分散型臨床試験)、患者が医療機関に来院しなくても臨床試験に参加できる方法

調査の背景


現在日本国内で実施される精神科領域の治験においては、計画期間内に目標症例数を達成できない場合も多く、治験に参加する被験者募集は大きな課題となっています。
そこで、患者さんの声を活かし、治験参加の課題を明らかにし、解決策を模索するために、精神科領域の治験参加経験者と未経験者の2群を対象に、治験に対するイメージや認知度、治験参加における課題、DCTに対するニーズの調査を実施しました。

治験参加の経験有無別「精神科領域の治験に関する意識調査」の主な結果


◆TOPIC1 治験のイメージ
治験のイメージとして、「社会貢献性がある」(67%)、「参加すると謝礼がもらえる」(56%)、「最先端の治療が受けられる」(47%)が上位にあがりました。
治験参加の経験有無別にみると、経験者と比較して、未経験者では「人体実験である」(経験29%・未経験55%)、「安全性に不安がある」(経験14%・未経験36%)、「医療機関への通院が大変そう」(経験6%・未経験27%)、「検査が多そう」(経験29%・未経験39%)というイメージが多くあげられました。
治験参加経験者と比べて、未経験者で多くあげられた上記項目は、治験のイメージを低下させている可能性があり、情報発信を行うことでイメージの向上に繋がる可能性が考えられます。

[画像1: https://prtimes.jp/i/109622/4/resize/d109622-4-e2374ed759963349fc3f-0.png ]


インタビュー調査では下記の発言があり、治験について、自ら積極的に調べたり、参加したりすることで、ネガティブであったイメージがポジティブ寄りに変わる経験をしている方もいました。


学生の頃は「身体を差し出す」といった不安なイメージでした。最近は割と治験に対して、広告等でも目にする機会があって、治験をやってみようかなと思った経緯があります。社会人になってから薬剤メーカーの友人がいて、その人たちから治験を頼まれたことはないけど、世に出る前の薬は臨床などのテストがあるのだろうなと思ったり、薬のイメージが少し変わってきた感じです。実際に参加を試みて治験の説明を受けた経験等からも、今は社会にとって良いことなのではないかとポジティブな印象になっています。(40代男性・治験参加経験あり ※発言録より一部抜粋、編集)



◆TOPIC2 治験について、もっと知りたいこと
治験についてもっと知りたいことは、「治験の目的」(46%)、「健康被害が生じた場合の対処があること」(44%)、「治験参加のデメリット」(42%)が上位にあがりました。
治験参加の経験有無別にみると、経験者と比較して、未経験者では「健康被害が生じた場合の対処があること」(経験29%・未経験54%)、「治験参加のデメリット」(経験31%・未経験48%)、「個人情報の保護」(経験6%・未経験21%)に関して、知りたいと回答する割合が高い結果になりました。

治験参加者と比べて、未経験者で多くあげられた項目は、治験に関する知識水準を高めるために、情報発信を行う必要性が高いと考えられます。

[画像2: https://prtimes.jp/i/109622/4/resize/d109622-4-44c119fbd504a9a10061-0.png ]


◆TOPIC3 今後の治験参加意向
今後の治験参加意向は、「参加したいと思う」と回答した人が98%という結果になりました。参加したい治験の内容として「謝礼が支払われる」(65%)、「副作用が少なく安全性が高いこと」(62%)が上位にあがりました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/109622/4/resize/d109622-4-10a71666d519fe79f20c-0.png ]

「副作用が少なく安全性が高い」と思える情報として、インタビュー調査では「治験のフェーズが示されること」「既知の副作用が示されていること」「副作用発生時等のサポート体制があること」「他国での使用データがあること」「大手メーカーであること」があげられました。

◆TOPIC4 参加したい治験の条件
治験参加の経験有無別にみると、経験者では「謝礼が支払われる」(71%)、「安全性が高い」(63%)が上位にあがりました。
治験参加未経験者でも、謝礼や安全性が上位にあがりましたが、一方、「自宅で治験に参加できる」(52%)、「治療薬が自宅に届く」(34%)、「かかりつけの病院で治験に参加できる」(34%)など、利便性に関係する条件も多くあげられました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/109622/4/resize/d109622-4-d9c94e569f21cfb0c7f1-0.png ]


過去の治験参加検討時にも、治験に参加ができなかった理由として、「通院・入院の頻度や長さなど、物理的に参加が難しかった」(24%)、「使用中の薬を変更、中止する必要があった」(19%)、「治験を実施している施設が自宅から通える範囲に無かった」(19%)など、医療アクセスの問題で参加が出来なかった方が一定数みられました。

[画像5: https://prtimes.jp/i/109622/4/resize/d109622-4-e00e0514f753a33eb298-0.png ]

インタビュー調査でも下記の発言があり、精神科領域の患者さんにとって、日常生活への支障や負担ができるだけ少ない治験に参加できることへのニーズが高いことが分かりました。

治験に対する拘束時間がトータルで大きいと負担が大きく感じる。薬を飲むのは良いが、その記録を付けるのが毎食後だと大変。(40代男性・治験参加経験無し)

かかりつけ医というか、できれば近所、自分の住んでいる近くだと良い。(30代女性・治験参加経験無し)

在宅ワークが多くて、家から出る機会が減ったから。仕事と通院の両立も大変だが、行きたいときにぱっと行ける距離感なら良い(40代男性・治験参加経験あり)



これらの結果から、DCTの推進により医療アクセスを改善することで、治験参加率が向上する可能性が示唆されました。
一方で、DCTについては、「訪問されるのはしんどい。身構えてしまう」といった声や、「CRCの対面でのサポートがあったから治験に参加できた。オンラインでは不安」といった、オンライン診療のみの対応や訪問診療に対する懸念の声もあがりました。また、うつ病の患者さんと不眠症の患者さんでは、DCTへの関心度が異なるなど、疾患によってDCTへのニーズが異なる可能性も示唆されました。 

***

今回の調査で、『治験』への理解やイメージは、実際に参加してみることで、ネガティブなものからポジティブなものに変化していく傾向が明らかになりました。治験未経験者にとって、不足と感じている情報の提供を行うことにより理解度が向上し、それが参加意欲向上にも繋がる可能性に気づかされました。また、治験に参加しなかった理由として、医療アクセスの問題が一定数みられました。この課題については、DCTを取り入れることで治験参加者の裾野を広げる可能性が示されましたが、「疾患」によりDCTへの受け止め方が異なる可能性も示唆されました。精神科領域の疾患特性に応じたDCTへのニーズについては、今後も調査を継続し、その結果をもとに、今後は疾患特性に応じたDCTの段階的・部分的な取り入れ方等を検討し、提言としてまとめ情報発信してまいります。

また、今回の調査では『治験情報の希望入手先』に関する調査・ヒアリングも行っており、希望する情報入手先と現状に差があることも明らかになりましたので、希望の治験情報入手先に疾患特性等があるか否かも、今後調査を進めたいと考えています。

被験者リクルート(PRO事業部門)においては、精神科の被験者募集に特化したWebサイト「トライアド治験ネット」を通じて、治験ボランティアの方や一般向けに情報発信を行っております。適切な情報発信に注力するとともに、今後も精神科領域の患者団体、家族会等と連携を深め、患者さんの声を新たな治験環境の構築に役立てる活動に、取り組んでまいります。


■調査概要
【定量調査】
調査目的:治験に関する認知度や情報入手方法、参加における課題の把握
調査期間:2023年9月25日〜10月9日
調査対象:トライアド治験ネットの利用者、トライアドジャパンが募集を行う治験に参加中の方
対象者数:91名
調査手法:オンラインアンケート
調査協力:株式会社ベータトリップ

【定性調査】
調査目的:定量調査(オンラインアンケート)で得られた内容について、背景を理解すること
調査期間:2023年11月9日〜11月21日
調査対象:定量調査(オンラインアンケート)の回答者
対象者数:5名
調査手法:オンラインインタビュー
調査協力:株式会社ベータトリップ

■トライアド治験ネット
大うつ病性障害や統合失調症、アルツハイマー型認知症等の中枢神経系領域(Central Nervous System:CNS領域)に特化した被験者募集Webサイト
URL:https://triad-chiken.net/

[画像6: https://prtimes.jp/i/109622/4/resize/d109622-4-b21e7d4393fb7fb8bc66-0.png ]


■トライアドジャパンについて
会社名:トライアドジャパン株式会社
所在地:神奈川県相模原市南区相模大野3丁目14番20号
設立:1995年12月22日
代表者:代表取締役会長 野澤 充
事業内容:保険薬局事業、治験・臨床研究事業 他
会社URL:https://www.triad-j.co.jp/

【治験・臨床研究事業】
事業拠点:東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目26番11号
代表者:代表取締役副社長 医薬開発本部 本部長 後藤 美穂
事業部HP:https://www.triad-j.co.jp/clinical-trial/

【本件に関するお問い合わせ】
トライアドジャパン株式会社 医薬開発本部PRO事業部門
TEL:03-6804-2227 Email: cns-info@triad-j.co.jp

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