吉高由里子「なるべくみんなを巻き込んで、この作品にみんなで没頭できたらいいなと思います」 大河ドラマ「光る君へ」合同取材会

2024年1月5日(金)12時0分 エンタメOVO

吉高由里子(写真提供:NHK)

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 2024年の大河ドラマ「光る君へ」の合同取材会が行われ、主人公の紫式部(まひろ)を演じる吉高由里子が登壇した。本作は、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた一人の女性の人生を描く。(以下、一問一答)



−5月の平安神宮でのクランクインからこれまでの撮影を振り返って、率直な気持ちを聞かせてください。

 半年というのはこんなにあっという間なのかという思いです。民放のドラマだったら2本目に入っているんだな、もう終わる頃なんだなと思うと、一つの作品をとても長い期間でやっていることを改めて実感しました。

−撮影をしながら、何か印象に残ったことはありますか。

 セットの制作を担当する美術スタッフのプロフェッショナルなお仕事をすぐ近くで目の当たりにすると、もし平安時代に自分がタイムスリップしたら、どうなっているんだろうと、毎日妄想が膨らみます。御簾(みす)など、目にしたことのない調度品もたくさんあって、半年たった今でも視界が毎日新鮮で楽しいです。

−平安時代の文学者を演じることになりますが、演じる上で、苦労したエピソードや、気を付けたことはありますか。

 私は左利きなので、右手で筆を持つシーンになるとやっぱり緊張します。最初からさらさらと書けるわけではなく、書き始めは右手が震えたりもします。シーンを撮影する前に30分ぐらい時間を頂いて、練習してから本番に入ります。文字が主役のドラマでもあるので、そこはすごく丁寧に練習をして、丁寧に演じています。

−撮影を通して吉高さんが抱いた紫式部の人物像に関する印象やイメージはありますか?

 紫式部という人は、これだけ世界中の人に知られているのに、彼女自身については誰も何も知らないという不思議な存在だと思っていました。当時の記録がほとんど残っていないので想像してみるしかないのですが、じっくりと人を観察することに長けた人物なのかなと思います。私がこの役をやると発表されてから、「光源氏は誰がやるの?」とよく聞かれますが、「違うの。その話ができるまでのお話なの」と答えています 。ちょっと太文字で、記者の皆さんからお伝えしていただけたらなと思います。

−撮影が3分の1ぐらい終わって、今どのように感じていますか。

 そうですね。3分の1が終わったとはいえ、あと丸々1年はあるみたいです。何ごともなくこの作品を無事に乗り切りたいと思っています。それから撮影をしながら気付いたのですが、着物は、毎日毎日着るたびに自分の肌の形に合ってくるみたいなところがあって、どんどんとなじんでくる。着物を育てていく日々が楽しみです。

大石静さんの脚本を読んだ感想と、まひろという人物をどのように捉えているかを教えてください。

 大石先生の脚本は非常にパワフルで情熱的で、1行1行のインパクトが強いなと思いました。会話劇でも、次の1行を読んだら前の1行とは全く逆の気持ちを言っていたりとか、感情の起伏がすごく情熱的に書かれているなと思いましたし、まひろには、大人のようで子どもの部分もあったり、甘えたいのに甘えられない葛藤もあったりして、ずっと肩に力を入れて、自分を抑え込みながら生きているような感じがします。



−大河ドラマの現場に主演として入ってみて、その魅力をどのように感じているかということと、主演として心掛けていることがあれば聞かせてください。

 一つ一つのワンカットがこんなに長いんだというぐらい、みんな本当に丁寧に仕上げています。例えば、「すいません。ちょっと待ってください」と言いながら、後ろの方の葉っぱをぬらし始めたりして…。そこまで見えるの? みたいなところまで、すごく丁寧に作り込んでいます。衣装も、平安時代ということもあってすごく鮮やかで、画面もすごくきれいなので、大きな画面で見るのが楽しみだなと思っています。

 主演としては、こんなに大人数のキャストが出ている作品に出ることなんて、今後あるのかも分からないですし。一度も共演せず、お会いしないまま、クランクアップしていく方もいらっしゃるので、自分と関わる方はなるべく巻き込んで楽しんでいきたいと思います。座長としてというよりも、人に甘えられるところは甘えて、なるべくみんなを巻き込んで、この作品にみんなで没頭できたらいいなと思います。

−まひろとして平安時代を生きてみて、カルチャーギャップを受けたところと、ここは今と変わらないと感じたところを教えてください。

 隙間風だらけ(笑)。すごく寒そうだなとか、冬は寒かったけど夏は涼しかったのかなと想像したりします。御簾1枚というプライバシーの環境も不思議だなと思いました。平安貴族は好き勝手にどこにでも行けるわけじゃないという、よく分からないルールのある時代だなと思ったり…。でもお金のない人たちには別に関係ない。だったらお金持ちとそうではない人とどちらがいいのだろうと思ったり、いろんな想像をします。同じだなと思ったのは、やっぱり人が好きなうわさ話とか、繰り返し人を好きになっていくこととか、浮いたり沈んだりする感情の起伏も変わらないのかなという感じです。

−吉高さんから見て、この作品のここを見ると楽しいよというところがあれば教えてください。

 画面がすごく優しいです。 色使いも、淡いものもあって繊細ですし、着物の色合わせでも、それとそれを組み合わせるんだというのもある。すごく五感に敏感な時代だと思います。目で見るもの、耳に聞こえるものにいかに触れるか。風景の中には人の心を揺さぶるものがいっぱいある。それが歌になって、今度は耳が楽しんでみたいにつながっていく、連鎖していく。今だったら見落としてしまうような小さな幸せを、うまく生かしているなと思います。それが作品として残ったりしているところが見どころ。本当に男性の着物も、すごくきれいなんです。だから、どう見えるんだろうというのが楽しみです。

−まひろは平安時代の女性ですが、視聴者が、まひろという人物を見るに当たって着目してほしい点があれば教えてください。

 自分の周りで起きた出来事について、何かを感じることについては、平安時代の人よりも、現代の人の方が鈍くなったり、疎くなっているのかもしれません。まひろは、もう笑えるぐらい頑固。そういう人がどんどん言葉を紡いでいって、最後に残った大切なものを探す物語なのかなと感じているので、皆さんにはそれを見届けていただけたらと思います。

(取材・文/田中雄二)

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