伝説の風俗嬢ヌードシーンから32年…常盤貴子52歳が『御上先生』で不倫教師役を演じる“意外な納得感”
2025年2月9日(日)12時0分 文春オンライン
第1話から第3話まで12.2%、11.2%、11.3%と、世帯平均で二桁視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)をキープしている日曜劇場『御上先生』(TBS系)。このご時世にリアルタイムで観たいと思わせる吸引力があり、ドラマファンを惹き付けている話題作です。
東大卒のエリート文科省官僚で、私立高校に教師として派遣された主人公を松坂桃李さんが演じていますが、そんな本作でキーパーソンとなる役どころを担っているのが常盤貴子さん。
常盤さんが演じているのは主人公が赴任した高校の元教師。同僚教師とホテルに入る不倫現場を生徒の校内新聞にスクープされて退職することになり、さらに娘が殺人事件を起こして逮捕されてしまうという難役です。
そのスキャンダルが本当にただの男女の浮気だったのか、娘がどうして人を殺すことになったのかなど、まだまだ秘密が隠されており、物語の核にかかわってくるキャラクターとなっています。
「日曜劇場」恋愛ドラマの金字塔に主演
今回の日曜劇場ではバイプレイヤーとして出演していますが、常盤さんと日曜劇場には浅からぬ縁があります。
6年前に日曜劇場で放送された『THE GOOD WIFE / グッドワイフ』(2019年/TBS系)では主人公の弁護士を演じていました。
また、なにより彼女の代表作のひとつであり、木村拓哉さんとダブル主演した『Beautiful Life 〜ふたりでいた日々〜』(2000年/TBS系)も日曜劇場作品だったのです。『Beautiful Life』は最終回で最高視聴率41.3%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)という驚異的な数字を叩き出し、いまなお恋愛ドラマの金字塔として語りつがれる名作となっているのはご存知のとおり。
ほかにも『カバチタレ!』(2001年/フジテレビ系)、『ロング・ラブレター〜漂流教室』(2002年/フジテレビ系)といったスマッシュヒット作がありますが、大ブレイクのきっかけとなったのは豊川悦司さんとダブル主演した『愛していると言ってくれ』(1995年/TBS系)。
豊川さんが演じたのは聴覚障害がある新進気鋭の画家で、そんな彼に恋をする女優の卵を常盤さんが演じていました。
『愛していると言ってくれ』での常盤さんの役柄は“明るく、健気で、芯が強い”女性でしたが、振り返ると『Beautiful Life』、『カバチタレ!』、『ロング・ラブレター』、『グッドワイフ』などで演じた主人公も、どこか似ている“明るく、健気で、芯が強い”女性。もちろん肩書きや境遇などはそれぞれの作品で違いますし、悲しんだり落ち込んだり苦しんだりするシーンもありましたが、そうした共通点があったのです。
しかし、実はブレイク前夜となる1993年、そのイメージとは真逆とも言える役柄に体当たりで挑んでいました。
1993年の“問題作”で胸をあらわにしたヌードシーン
![](https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0209/9578047203/bso_9578047203_1_thum800.jpg)
1993年、カルト的な人気を誇ったドラマが、フジテレビ系で21時台に放送されていました。そのドラマとは『悪魔のKISS』。奥山佳恵さん、深津絵里さん、そして当時21歳だった常盤さんによるトリプル主演作です。
地元・静岡の中学校で友達だった3人が東京で再会するのですが、性的暴行や新興宗教、借金地獄、覚醒剤中毒など、主人公たちが次々と渦中に巻き込まれていくという凄惨かつカオスなストーリーで、リアルタイムで視聴していた当時、筆者は衝撃を受けました。
大ブレイクのきっかけとなった『愛していると言ってくれ』より2年も前に、GP(ゴールデン・プライム)帯のドラマに主演していたことを不思議に思う人もいるかもしれません。
この頃の常盤さんは知る人ぞ知る役者。現代の地上波ドラマでは考えられませんが、『悪魔のKISS』では常盤さん演じる女子大生が風俗嬢デビューする胸をあらわにしたヌードシーンがあったのです。この体当たり演技をきっかけに、知名度が上昇していきます。
もっとも悪魔に食いものにされ、地獄を見たキャラ
奥山さんと深津さんが演じた役も過酷な体験をしていくのですが、3人のなかでも飛び抜けて壮絶だったのが、常盤さんが演じた女子大生・茉莉子。
茉莉子は派手な服に身を包み、ディスコ遊びを繰り返し、好きでもない男とホテルに行くというシーンが序盤からありました。
その後、カードローンの借金が返せなくなり、悪魔的思考の消費者金融の男にそそのかされ、ファッションヘルスで働くことに。風俗嬢として初めて接客する際にヌードシーンが放送されました。
劇中の茉莉子の悲惨さは回を重ねるごとにエスカレート。
終盤には、一晩30万円という大金につられて派遣されたホテルで、初老男性3人の相手をさせられ、しかもその様子が茉莉子には内緒で撮影されており、裏ビデオをもとに実家の両親がゆすられてしまいます。茉莉子は精神的に不安定になり、現実逃避するため男にすすめられた覚醒剤にも手を出して薬物中毒に……。
劇中でもっとも“悪魔”の食いものにされ、地獄を見たキャラクターを演じたのが、ブレイク前の常盤さんだったのではないでしょうか。
『御上先生』の今後の展開は…
『悪魔のKISS』が、その衝撃的な物語のわりにあまり知られていないのは、ビデオやDVDといったソフト化もされていませんし、配信などでも見ることができないからのようです。
冒頭の通り、現在放送中の『御上先生』で常盤さんが演じているのは、不倫で辞職して娘が殺人犯となってしまった元高校教師という、過酷な状況に追い込まれている役どころ。
従来の常盤さんのイメージとは異なるかもしれませんが、ブレイク前夜の“問題作”で見せた演技を思い起こした人もいるかもしれません。筆者としては、あれほどの地獄に堕ちた『悪魔のKISS』での経験が、もしかすると『御上先生』の演技でも活きているのかもしれないという納得感もあります。『御上先生』の今後の展開がますます注目されます。
(堺屋 大地)