【RQインタビュー】小学生の頃に見た1枚の写真がきっかけに......トップレースクイーンという目標を追い続ける松田蘭
2023年2月14日(火)13時14分 AUTOSPORT web
年々、人気・注目度ともに上がっているレースクイーン業界。レースクイーンになることに憧れて、モデル事務所に所属したり、オーディションに挑戦する人も多い。なかには小学生や中学生の頃にレースクイーンの存在をしって、それがきっかけとなっている人も少なくない。2022年もサーキットで大活躍した松田蘭さんも、そのひとりだ。
松田さんが“レースクイーンという存在”を知ったのは、小学生の時。よくサーキットへレース観戦に行っていた親戚家族から見せられた、1枚の写真がすべての始まりだった。
「年が近い従姉妹がいて、そのお父さん(松田さんの叔父)がレース好きで、その従姉妹もよくサーキットに連れていってもらっていたんです。彼女とは年も近くて、よく遊んでいました」
「それで小学生の時に『この前のお休みはどこに行ってきたの?』みたいな話になって、その子がレースクイーンのお姉さんと写っている写真を見せてくれたんです」
「当時の私は、そのレースクイーンのお姉さんをみて『(人気アニメの)プリキュアみたい!』だと思いました。お腹の部分があいた可愛いコスチュームを着ているのが、すごく印象的でした」
「それから私が大人になって、進路を考える中で、あの時の写真を思い出しました。その従姉妹のそばにニコニコして写っていたレースクイーンさんのように、今度は私が(笑顔を)届ける側になりたいなと思いました。だから、その従姉妹がすべてのきっかけでしたね」
子どもの頃には、その親戚家族に連れられて地元の愛知県から鈴鹿サーキットへスーパーフォーミュラを観戦しに来たこともあるとのこと。初めて肌に感じたモータースポーツの魅力に、徐々に引き込まれていったという。
「それまでは、動画とかでしかエンジン音を聞いたことがなかったんですけど、やっぱり現地に行くと観客席にいなくてもマシンが走っている音が聞こえてくるし、近くにいくと迫力もすごいなと思いました。あと、タイヤ交換とかも初めて観て『カッコいいな!』と思ったのを今でも覚えています」
「まだ、その時は知識も全然なくて、ただ音が大きくて、すごく速くて……という感じでした。でも、コロナ前だったので、お客さんもいっぱいいて『こんなに盛り上がっているんだな!』という印象でした。改めて、この世界に携わっていきたいなと、より気持ちが強くなった瞬間でした」
そして、2019年にYOKOHAMA promotion modelsとして、スーパーフォーミュラのレースに1年間帯同するなど、憧れを抱いていたサーキットでの仕事が実現した松田さん。
2020年にはSARDイメージガールとして、念願のスーパーGTレースクイーンデビューを果たすのだが、シーズン開幕前に新型コロナウイルスの流行が始まり、前半の4戦はレースクイーンもサーキットに行けないなど、さまざまな制限が設けられることになってしまった。
「あの時は、すごくサーキットに連れていってほしかったなという思いはありますね。すごくもどかしい感じはありました」と松田さん。楽しみにしていたサーキットに行くことができず、歯痒さばかりが募っていったという。
「サーキットに行けないまま、知識をついていかないままレースクイーンとしての暦だけが増えていってしまって……。本当はもっともっと現地に行って応援もしたいし、サーキットの様子を発信していきたい気持ちがすごくあり、やっぱりコロナ禍でそれが叶わないという悔しい気持ちを持っていました」
「でも、今では少しずつ緩和されていって、多くのお客さんがサーキットに来てくれるようになったので『元に戻ってきたんだな』という気持ちになっています」
■ZENTsweetiesで変わったモータースポーツへの気持ち
そんな松田さんにとって、モータースポーツをより深く知るきっかけが生まれる。2021年からスーパーGTの名門ユニットであるZENTsweetiesに就任。スポンサーであるZENTのYouTube企画で、セルモのファクトリーに“工場見学”に行ったのだ。
動画の中でも「すごく貴重な体験をさせていただきました!」と笑顔で語っていたのだが、それがきっかけでサーキットではドライバーのみならず、メカニックとコミュニケーションをとる機会が増えたという。
「レースクイーンと、ドライバーさんやメカニックさんをはじめとしたチームの方々とは、けっこう離れている存在だと思っていたんですけど、工場見学に行く動画の撮影で、セルモのメカニックさんが優しく接してくださって『(レースクイーンも)チームの一員だよ』という感じで受け入れていただいたのが、すごく嬉しかったです」
「サーキットに行った時も『お疲れ様』と声をかけていただいたりして、セルモの皆さんがすごく温かくて、そんなチームでレースクイーンをさせていただけて、すごく幸せだなと思っています」
「やっぱりスーパーGTのメカニックさんたちは、サーキットではとても忙しいので、(工場見学で)接する機会を与えてくださって、より親近感が湧きました」
YouTube動画では、スーパーGTのみならず、スーパーフォーミュラに参戦している車両が実際にメンテナンスされているところを見学したり、タイヤ交換の体験も経験した松田さん。今までは遠くから『カッコいい!』と思って眺めていたピット作業の見方も、随分と変わったという。
「(工場見学をして)もっとレースのことについて知りたいなと思うようになりました。今までだと、『ピット作業しているなぁ、ドライバー交代しているなぁ』っていう感じだったんですけど、そこで具体的に何をどうしているのかを詳しく知ろうとなりました」
「例えば、何周目にピットに入って、何周目に順位が変わって……と、レースの状況をもっと注意深く見るようになりましたね」
「まだ自分の知識とかもいついていないので、今までは38号車しか注目できていなかったんですけど、これからは他のチームのタイヤ交換は何秒で終わったのか?とか、いろいろと視野を広げて注目していきたいです」
「あと、スポンサーであるZENTさんのイベントで、カート大会に参加させてもらったこともあるんですけど、そこで改めてドライバーさんってすごいんだなと感じました。あれよりも、全然速いスピードで走っているわけじゃないですか。そういう普通ではさせていただけないことを、ZENTさんやセルモさんとかに体験させてもらえていることは、すごく光栄だなと思います」
「いろいろな体験をさせてもらえて、レースがどんどん好きになっているので、すごくありがたいです」
気がつくと、積極的にレースのことについて勉強したり、状況をチェックするようになっている松田さん。その頑張りもあってか、2022年はZENTsweetiesの他に、スーパー耐久ではイメージガールのSDGsアンバサダーSwish、さらには東京オートサロンのイメージガールA-Classを2年連続で務めるなど、大忙しとも言える1年を過ごした。
活躍の場を増やしていく中で、松田は自分をきっかけにして現在携わっている各業界の“架け橋”になりたいと語る。
「レースクイーンのことを店舗のイベントとかで知ってもらって『ZENTsweetiesって何をやっている子たち何だろう?』というところから始まって、そこから『サーキットに行ってみよう!』ってなればいいなと思いますし、その逆も然りです」
「実際に、いつもサーキットに来て、応援してくださっている方が、ZENTの店舗に遊びに行ってくださったという方がいたり、普段はパチンコやスロットを打っている人がイベントを通じてレースを知って、初めてサーキットに来てくれたりとか……。『蘭ちゃんがいるからパチスロ行ってみたよ』『蘭ちゃんがいるからサーキットに来てみたよ』という方がいらっしゃいました」
「今はSNSの時代だから、それをどんどん使って発信していきたいです。コロナ禍になって、今まで以上にSNSをきっかけにしていろいろなことを知ることが増えたと思うので、どうやって使っていくのが良いかをすごく考えています」
「そういったところをきっかけに『会いにいきたいな』と思ってもらえる子になりたいし、私をきっかけにモータースポーツを好きになってくれる人が増えてくれたら嬉しいです。ファンとサーキットを架け橋になりたいです」
子どもの頃に見た1枚の写真がきっかけで、レースクイーンに憧れ、その夢を実現した松田さん。しかし、当時思い描いたレースクイーンの理想像に近づきつつある感はあるのだが、本人は「まだまだです!」と謙虚に話す。
「今の私の夢が“トップレースクイーンになること”です。それについてはいろいろな見方や考え方があると思うんですけど……。私は“ただフォロワーが多い子”とか“ただ人気がある子”だけではなくて、やっぱりレースクイーンとして、レースの魅力も発信できるようになりたいなと思っています」
「それに伴う知識をつけることもそうだし、これからコロナ禍の制限も少しずつ緩和されていって、応援してくださっているファンの皆さんと近い距離で交流できる機会も増えると思います。そこでの対応も、しっかりしないといけないなと思っています」
「本当にいろいろな方面から見て、「松田蘭=トップレースクイーン」みたいな感じで、パーフェクトな存在になりたいです!」
今年1月に表彰式が行われたAdam byGMO日本レースクイーン大賞2022ではファイナリストに進出し、大賞受賞には届かなかったものの、Adam賞を獲得した松田さん。ファイナルステージに臨む際も「トップレースクイーンになりたい!」と力強く語っていた。
2023年もZENTsweeties継続が発表された松田さん。彼女が理想とする“トップレースクイーン”になるために……彼女の奮闘は今後も続く。