精神科医・名越康文「自律神経失調症でぶっ倒れてしまって…」気苦労が絶えなかった40代を振り返る

2024年2月14日(水)21時30分 TOKYO FM+

TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。1月25日(木)のお客様は、精神科医・名越康文さんと常連客の東京藝術大学学長・日比野克彦さん。ここでは、名越さんが激動の日々を送っていた40〜50代前半当時を振り返りました。

(左から)名越康文さん、日比野克彦さん


◆忙しすぎた40〜50代
日比野:名越さんは、今も精神科医として何百人、何千人という数の患者さんを(診ているのですか)?
名越:40代〜50代前半ぐらいまではそうでした。特に40代の頃は、携帯電話が登場したんですよ。僕は思春期(の年代のカウンセリングを中心に)やっていましたから、子どもたちが「もう自殺したいんです」って(思いを)言ってくるじゃないですか。
それで、心配になって「もしも本当にそんな思いになったときは、電話をかけてください」って、結局450人ぐらいの患者さんに携帯番号を教えたんですよ。
そうしたら、夜の10時から午前2時まで電話が鳴りまくって……(カウンセリングを始めて)4年目に、僕自身が自律神経失調症でぶっ倒れてしまって。
日比野:あぁ……。
名越:その頃は本当に500人ぐらい診ていて、そのうちの450人ぐらいが携帯の番号を知っていました。今は、大学の授業で教えたりするオープンカウンセリングしかおこなっていないんですけど、昔はちょっとやりすぎで、もうちょっとで死ぬかと思いました(苦笑)。
◆日本のカウンセリングは「低年齢化で裾野が広がった」
日比野:実際に今、そういう患者さんを抱えている精神科医、カウンセリングの先生たちは世の中にたくさんいるわけですよね?
名越:そうですね、より一層、必要になっているとは思いますね。いわゆる発達障害っていうことも含めて低年齢化しているじゃないですか。(子どもが)8〜10歳ぐらいになったときに、親御さんが「自分はこの子を愛しているけど、どうもコミュニケーションがうまく取れない」とか。
日比野:うん。
名越:日本人って、自分自身の問題を人に相談するっていうのが苦手なんですよ。2000年ぐらいまで、日本では全然カウンセリングが浸透しなくて、それまで僕らは「自分自身の悩みとかを人に相談してほしい」って言っていたんですよ。
ここ20年は“子どもとのコミュニケーションがうまく取れない”ということに対して、「この子を診てあげてください」と言って来る親御さんは結構出てきたと思いますね。
日比野:うんうん。
名越:僕はもう長い間“日本ではカウンセリングは流行らない”“このまま廃れていく”と思っていたんですけど、(その頃から)子どもを介在して(世間の)裾野が結構広がってきた感じはしますね。僕自身がそういう児童・思春期を専門にしているから、余計にそう思うのかもしれないですけど。
日比野:日本人は自分の悩みを打ち明けるのが苦手。けれども「うちの子を診てください」っていう子どものことを通して、自分の悩みを言うことはできると?
名越:そうなんですよ。だから、話を聞いていると、だんだん子どもの問題よりも、親が抱えているトラウマとかイライラのほうが主体になってきて。とはいえ、別に親が悪いっていうわけじゃないんですよ、その親もまた親に育てられているわけですから。
自分の親とのあいだで、過去にすごくしんどいコミュニケーションがあって、「子どもとも私はそういうコミュニケーションしか取れないんだ」っていう引け目がある、みたいなところが分かってくるんですよね。

本日2月14日(水)のお客さまは、常連客 堀江貴文さん×SODクリエイト株式会社 代表取締役社長・野本ダイトリさんがご来店。一体どんな話が飛び出すのか!? お楽しみに!
<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00〜26:00
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/speakeasy/

TOKYO FM+

「精神科」をもっと詳しく

「精神科」のニュース

「精神科」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ