DVや虐待があふれる日常で育ち…大学進学に立ちはだかる生活保護の制度の壁

2024年3月3日(日)6時0分 マイナビニュース

日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’24』(毎週日曜24:55〜)では、『半透明のわたし 生きる権利と生活保護』(北日本放送制作)を、きょう3日に放送する。
今年1月、富山地裁で9年も続いた民事裁判が判決を迎えた。国が2013年から15年にかけて段階的に引き下げた「生活保護基準」を取り消すことを訴えた裁判。物価下落を理由に下げ幅は最大10%で、前例のないものだったが、国は当時の判断に過誤や欠落はなかったとしている。
全国で生活保護を受けている人は200万人あまり。このうち富山は約4,000人と全国で最も少ない都道府県だ。持ち家率の高さなどから相対的な貧困率が低いとされているが、見えにくい貧困は確かに存在している。
地元富山はもちろん、全国の生活保護訴訟に最前線で取り組んでいるのが、西山貞義弁護士(46)。「この裁判に負けたら法律家を辞める」と西山弁護士がこの裁判に人生をかける背景には、救えなかった支援者の命。そして、親のリストラや離婚により最低限度の暮らしを経験した自らの過去があった。
生活保護をめぐっては、教育・進学の面でも影響がある。現行の制度では、大学・短大・専門学校に通いながらの受給は認められていない。国は「最低限度の生活には当てはまらない」として、子どもが進学する場合は世帯分離をした上、自力で生活費や学費を賄う必要がある。
富山大学2年生の儚(はかない)さん(22、仮名)は、DVや虐待があふれる日常で育ち、生活保護を受けながら生活していた。高校を卒業し、夢を叶えるために大学で自由に学びたいと考える彼女の前に、制度の高い壁が立ちはだかる。自作のイラストを使い、SNSなどで訴え、署名を集める活動で国は動くのか。
生活保護や貧困は、他者からあまり目を向けられにくく、一部の不正受給の問題も影響して関心をもたれにくいのが実情。しかし、西山弁護士や儚さんのように病気やリストラ、離婚など様々な理由で、突然貧しさに直面する可能性は誰もが持ち合わせている。もしも自分が1円を切り詰めて生活する必要に迫られたら…。
富山訴訟の判決が出たこの冬、闘う2人の姿を通して、人間一人ひとりの価値について考える。

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