『グレイトギフト』『GTOリバイバル』90年代の世間を動かした反町隆史伝説よ、今、再び

2024年3月7日(木)19時0分 マイナビニュース

放送が折り返しや終盤を迎えつつある冬ドラマ。今クールは"おっさんが主役のドラマ"が非常に目立った。
『春になったら』(関西テレビ、フジテレビ系)では、木梨憲武演じる、3カ月の余命宣告をされた"父親"が主役。『不適切にもほどがある!』(TBS系)は阿部サダヲが昭和から令和にタイムスリップしてきた、"時代錯誤のおじさん"として主演。『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(東海テレビ・フジテレビ系)では原田泰造が、"令和の価値観にアップデートできていない、イタいおじさん"に……
見渡す限り、おっさんたちが大活躍。加齢臭がしそうな冬ドラマ界隈に、一点だけキラリと輝く50歳のおっさんがいる。それが『グレイトギフト』(テレビ朝日系)に主演する、反町隆史だ。
若手からすると俗に言う、イケおじ。ただ昭和生まれ平成育ちで、青春期に『ビーチボーイズ』(フジテレビ系・1997年)とともに生きたおばさんからすると……彼は眼福教祖だった。とにかく格好良かった。その伝説を振り返りながら、今年さらに活躍が加速していく、今の彼もなぞりたい。
○チャラかっこいい俳優・代表
1990年代、反町の人気ぶりはまさに白眉だった。
ドラマ出演作が多すぎるので割愛するが、存在が目立ったのは『未成年』(TBS系 1995年)の坂詰五郎(ゴロ)役で、暴力団の構成員という設定。その後『バージンロード』(フジテレビ系 1997年)では、家庭に恵まれなかったルポライター役に。妊娠中の桜井和美(和久井映見)と結婚して、一児の父となる。いつもライダースジャケットを羽織っていた衣装を思い出す。
そして竹野内豊とダブル主演を務めた『ビーチボーイズ』で、女性支持が昇天化。海のそばのペンションで働く、チャラフリーターの桜井広海役がとんでもなく似合っていた。このチャラキャラを担保したまま『GTO』(関西テレビ・フジテレビ系 1998年)で、高校のグレイトティーチャー役となった。フジテレビに愛された男だ。
コラムを書きながらも、彼が歌った主題歌の『POISON 〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜』が私の脳裏に流れてくる。この曲はギャン泣きする赤ん坊を沈めるための音ではなく、れっきとしたヒット曲だ。
当時、反町と同じように女性を酔狂させる人気の男性たちがいた。例えば唯一のアイドル、木村拓哉(通称キムタク)。物静かな佇まいの豊川悦司(通称トヨエツ)は、パブリックイメージと同様の役柄が多かった。そして竹野内豊は真面目で品行方正な役が多く、反町は不動のチャラ悪タイプ。現在のLDH所属のタレントとイメージが近い。
○ぐうの音も出ない、容姿端麗カップル誕生
俳優業だけではなく、歌手としても注目だった反町。彼が音楽番組『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系・1994年)に出演して、サングラスを外すだけで、会場から割れるような悲鳴が上がっていたことを思い出す。
そんな最中、女性ファンの間に衝撃が起きる。それが2001年のトップ女優・松嶋菜々子との結婚だ。これにはファンたちからぐうの音も出ず、光り輝くような夫婦の美しさを見守るしかなかった。その後、反町の熱狂的な人気は少しずつ衰えていく。それを示すかのように主演作が減った。
と、同時に妻の活躍ぶりが盤石なものに。『救命病棟24時』(1999年)、『美女と野獣』(ともにフジテレビ系 2003年)と、彼女が動くだけで世間がざわめくような重鎮女優に。その裏で計画的なのか、妊娠や出産も滞りなく完了。そんな姿を見ながら「あれ……夫……」と、勝手に心配をする往年のファンたち。どうか、彼がくずぶっていませんように。
○「俺は変わらない」知ってる、そんなこと
反町はアイドル的俳優から脱皮しようとしていたのか、テレビ朝日系のドラマへ出演が増えていく。テレ朝といえばご長寿ドラマの宝庫といっても過言ではない。2015年彼が中高年の心を掴んだ『相棒』への水谷豊とのW主演は、おそらくマネジメントもご本人も、菜々子も安堵だったと思う。
ただファンからすると、また90年代の反町が見たいという思いが募る。雑誌でたまに見かける「パパママ芸能人の運動会応援ショット」なんかで、彼を見たいわけではない。また明星やananに登場していたグラビアが見たいのに。
と、くずぶって悶々と時間が過ぎていたころ、彼に『オールドルーキー』(TBS系 2022年)の出演が巡ってくる。スポーツマネジメント事務所の社長役は……なんだか神々しかった。『相棒』の刑事役も良かったけれど、パズルの最後のピースがはまらないようなもどかしさを感じていた……といったら、同士は理解してもらえるだろうか。
そして現在放送中の『グレイトギフト』へつながる。冴えない医者役だけど、毛穴からも漏れるような格好良さが隠しきれていない。これを表す事象があった。彼がドラマのプロモーションとして『家事ヤロウ!!!』『帰れま10』(ともにテレビ朝日系)に出演した際、オンタイムでSNSが大騒ぎ。若い子たちが「誰あのかっこいいおじさん」「え? 松嶋菜々子の旦那なの?」「反町?」とポストがあふれ、ついにはトレンド入り。よくアイドルの活躍ぶりが際立つと「推しの魅力が世間にバレた」とファンはいうけれど、気持ちは同じ。90年代を生きたおばさんたちの宝物なんだよ、彼は。
今年3月には『GTOリバイバル』の放送が決定。あの鬼塚が帰ってくる。宣伝用のポスターを見たら、バイクに乗った反町の脇に「俺は変わらない」とキャッチコピーが置かれていた。そんなことは知っている。変わらないその姿で、またドラマで、歌番組で彼が見たい。青春よ、もう一度。
小林久乃 こばやしひさの エッセイ、コラム、企画、編集、ライター、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。自他ともに認める鋭く、常に斜め30度から見つめる観察力で、狙った獲物は逃がさず仕事につなげてきた。30代の怒涛の婚活模様を綴った「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(KKベストセラーズ)を上梓後、「45センチの距離感」(WAVE出版)など著作増量中。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k この著者の記事一覧はこちら

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